こんにちは

いつもお読みいただきありがとうございます。

暫くぶりの投稿です。

先日のピアノ講座『Jazzハーモニーのマジック』には沢山の方にお出でいただき、とても充実した時間を過ごせました。
かなり濃い内容でしたので、受講者の方々もお疲れ気味のようでした😅

ビル・エヴァンスのリハーモナイズの手法を一気に解説したので当然といえば当然ですが、手前味噌ですが他のどこでもやってないお得な講座だったと思います。エヴァンスのコピー譜を弾いた解説ではなく、『このコードだとこういうサウンド、別のコードだとこういうサウンド』といったふうに、音で示しながらの解説だったので、刺さる方には有益な講座だったのではないかと思います。


さて前回マウリツィオ・ポリーニ氏の逝去について私個人のFacebookの投稿を貼り付けましたが、今日は別の角度から書いてみたいと思います

ポリーニ氏が亡くなった事を知った後の喪失感は思っていた以上のものでした

おそらく自分の音楽への影響に深層心理でかなり大きな存在だったのだと思います。
自分にとって“ピアノの父”、いえ“音楽の父”のような存在だったのかもしれません

ピアノを弾く上で、というより音楽を演奏する上で“あのとことん誠実に音楽に帰依する姿勢”を自分にも投射していたのかもしれません

他にポリーニよりもっと影響を受けたピアニストは挙げればきりがありません。
ホロヴイッツはもちろん、ホルショフスキ、チェルカスキー、グールド、シフラ、フランソワ、ポーランド系、ロシア系ピアニストも辟易するほど聴いてきました

他にもポゴレリッチやツィメルマン等、当時に影響を受けたピアニストがいるなかで、
なぜポリーニが“親父”なのか?

ちょうど世代的に親世代にあたる事もありますが、音楽に夢中で多感な学生時代に栄養をバンバン吸収していた育ち盛りの小僧に、『音楽家とはこうあるべき』という事を直に音を通じて示し続けてくれた存在だからです

今思えば初めてポリーニの生演奏に触れたのは、高校生の時に両親と東京文化会館におもむき、最上階で聴いた“触れれば切れる”ような凄まじいまでの集中力で演奏されたモーツァルトやベートーヴェンでした(モーツァルトハ短調のソナタ、テンペスト、ワルトシュタインなど)

そのあまりの“異様さ”に怖じ気づいたのか、当時の三羽烏の一人(もう一人はアルゲリッチ)だったアシュケナージに靡いてしまうことになりました

音楽も人柄もポリーニよりはるかにフレンドリーで取っつきやすいアシュケナージや他のピアニスト達を聴き倒していくうちに、ようやくポリーニの凄さと素晴らしさに気づくようになり宗旨替えしたわけです

それ以降は日本講演は毎回聴きに行き、感動的な演奏に触れて栄養をバンバン吸収しました

ポリーニの演奏についての細かい解説はこちらのブログや、X(旧Twitter)、Noteの方をご覧ください

そしてポリーニがこの世から去り、喪失感を埋めるために弾きたくなったのは、ベートーヴェンでもショパンでもなく、何故かツェルニーだったのです

理由はさっぱりわかりません🤔

世のピアニストやピアノ教育者さん方は、こんな事書いたらさぞ馬鹿にするでしょう😆
芸術作品でもない練習曲?ツェルニー?
自分を上げる⤴️ためには“ベートーヴェンやショパン等大作曲家の偉大な作品を弾きたくなった”と書けば自分の価値を上げられるわけですから

無理もありません、ショパンでさえツェルニーから影響を受けたなんて言いません🤣
でもツェルニー50番とかあらためて弾いてみてください、素晴らしいコード進行、ベートーヴェンの匂い、シューマンやシューベルト、ブラームスはおろか、ショパンなんかほぼパクりといえるような箇所があちこちに散りばめられています

言ってみれば古典的なピアニズムからロマン派的なピアニズムへ連綿と受け継がれた“現代のピアニズムのエッセンス”が詰まっているんです❗

ツェルニーの練習曲を弾いてこの事が感じられない音楽家はハッキリ言って“もぐり”です😓


ハーモニーの配置の仕方や音を散りばめるピアニスティックな手法が満遍なく効率的に勉強できて、技術も音も磨く事ができ、様式感も身に付く

ポリーニを失って直感的にツェルニーを弾きたいと感じたのは『ベートーヴェン仕込みのこういった基礎的な音楽の作り方、技術の鍛練を積んだからこそのあの演奏だったんだろう』と思ったのかもしれません

あの素晴らしいショパンのエチュードやベートーヴェンのソナタは結果であって、いきなりアレを練習してもポリーニに近づくことは出来ません

皆さんポリーニに負けじとショパンのエチュードを頑張って弾いているのには感心しますが、ツェルニーを音楽的に弾けるようになることの方が余程有益でポリーニみたいな演奏に近づけるような気がするのは私だけでしょうか・・・

この記事を書きながらフィッシャー・ディースカウ(Br)の “冬の旅” の伴奏をした若い頃のポリーニの演奏を聴いて少しでも喪失感を埋めています🎵
まるで亡くなった大切な人の写真を眺めるかのように・・・

ポリーニ氏のご冥福をお祈りしたいと思います🙏🪦


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