音楽にはいろいろな音楽がありますね。
綺麗なメロディにうっとりしたり、物悲しいハーモニーに涙したり。

今日はスリルのある演奏について書きたいと思います。スリルのある演奏というと、一般的には物凄く速いテンポで演奏するとか、人間業とは思えない技巧を駆使して人を感動させるといったサーカスに通じるような要素があると思います。音楽業界ではよく、技巧的な曲=サーカス=非芸術的のように言われる事が多いのですが、私はこの意見には反対です。人間が生物としての限界に挑戦する美しさというのは、スポーツなどにも共通しているのは言うまでもありません。

そこでスリルとは何か?これはシンプルで、勝つか負けるかわからない、成功するか失敗するかわからず予想出来ないというワクワク感と人間の限界に挑戦する姿の美しさとの融合のバランスに尽きると思います。

例えば往々にして、あまりにも技術的に完璧過ぎてつまらない演奏というのがあります。テニスなどに例えれば、運動能力も技術も凄すぎて全ての球を楽々と拾ってしまうから、ギリギリ球に届いて凄い角度で切り返すようなスーパーショットも生まれないという事になり、結果的に面白くないゲームになるという皮肉です。

音楽も非常に似たところがあり、出来るか出来ないかわからない、と思わせる(仮に技術的に余裕があったとしても)事が重要で、ギリギリ感があれば技術的に高くなくてもスリル感は出るのです。

↓の映像はイーヴォ・ポゴレリッチというピアニストがバラキレフのイスラメイという難曲中の難曲を弾いている映像です。この曲は私も弾いた事がありますが、本当に難所続きで息つく暇もなく、最難の1曲と言われるのも頷けます。最初は本プロで自分のペースで弾いて安定はしていたものの、スリルがなかったので、何年か後アンコールで弾きました。スリル感を出すために自分としては限界のテンポで弾いた結果、スリル感は出ましたが、やはり無傷というわけにはいきませんでした。(イスラメイをアンコールに組み込んだせいで、練習量が倍必要でした😅)

ポゴレリッチのイスラメイの演奏は何度も生で聴いていますが、アクセントや強弱など至るところにスリル感を出す工夫がなされ、特にこの演奏はスリル感では群を抜いています。(途中拍手による中断がありますが、さすが大物の対応です)

貴重な映像ですので御覧になれるうちに是非どうぞ。


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