よく聞く、ジャズとクラシックの違いは、ジャズはウラ(拍)を出す、等の話を皆さん聞いた事があると思います。

以前に書いた[弱拍を意識するだけで、すべてよくなる。]の記事でも触れましたが、ジャズ(ポピュラーも)は理論的にクラシックをベースにしている事に異論を唱える方はいないでしょう。

ジャズもクラシックも、ウラ拍から始まるのが基本であり、ジャズの場合リズムがクラシックに比べモールス信号の様なメリハリが特長です。

リズムの多様性という意味では、実はクラシックの方がはるかに多様性があり、ジャズの様々なリズムもクラシックに含む事が出来ます。

もちろん、ジャズと言ってもスタイルは様々でラグタイムやデキシーみたいな古いスタイルからフリーの様なモノまで様々です。

そのスタイルの変遷はまるでクラシックのそれをなぞる様に変化していった事は非常に興味深い事です。

少々乱暴ですが、ラグタイムやデキシー等のスイングはモーツァルトやベートーヴェンなどの古典派、モダンジャズと言われるビバップはショパンやリストなどのロマン派、モードはドビュッシーやラヴェルなど印象派、フリーは近現代、と当てはめられなくもありません。

実は、音楽理論的にはジャズもクラシックも大差なく、親子、親戚みたいな関係です。

クラシック音楽からハーモニー理論の影響を受けたジャズミュージシャンは数知れず、その逆もあります。

俗に言うアドリブも、以前の記事(歌うということ)で書いたとおり、和声音、非和声音で成り立つ、バロック時代のバッハの方法論と何ら変わりはなく、全てはここから始まっていると言っても過言ではありません。(それ以前の音楽にまで踏み込むと、きりがないので分かりやすいところでバロックとしておきます。)

モードは元々教会旋法なわけで、旋法ありきなわけですが、それさえクラシックからのアイデアです。(ドビュッシーやラヴェルをモードと対比させるのは、ちょっと強引過ぎます。ドビュッシーやラヴェルの方がはるかに多様性があります。)

ですのでタイトルに書いた“ジャズとクラシックの違い”なんて実際ないんじゃないの?というのが正直な感想です。

あえて挙げると、クラシックの方がハーモニーの連結という意味ではより転回型を多用して複雑化させている、という事でしょうか。この場合の転回型とは、ベースがルートを弾いた時にテンション入りのヴォイシングを色々なポジションで弾くといった意味でなく、ハーモニーの連結に関わる構造上の意味での転回型です。(四声体を思い浮かべて頂ければ分かりやすいと思います。)

ジャズのスタンダードにも、あるにはありますが、クラシックの比ではありません。

やはり、ジャズで特長的なのは誰が聴いてもわかる、あのリズム感なんでしょうね。

アメリカ人の抗議デモを聞くと、まるでジャズのリズムそのモノです。他のどの国でもなく、アメリカでジャズが生まれたのには、言語との関わりが大きそうです。

ここまで読まれた方は、まるでクラシックの方が優れているみたいじゃないか‼と思われるかもしれませんが、そうではなく、あくまでも構造の複雑さの違いを比べての話で、優劣ではありません。

そんな事を言ったら、クラシックやジャズよりはるかに人気のあるポップスはどうなんだ、という話になってしまいます。

人の心に響く音楽にジャンルの違いや構造の複雑さは関係なく、いい音楽を聴いた時のあのフィーリングが得られさえすれば、幸せです。

それは普段気づく事のない、きっと私たちがこの世を全うする時に “生まれてきて良かった!” と言う事が出来る、人間にとってのかけがえのない宝物なんでしょうね。

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