【可夢偉レポート】シンガポールGP DAY3(Race) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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状況の中では、最大限の仕事で、KOB、なんとかP13でゴールしました。


戦略を駆使して、ポイント・ゲットまで何とか届くか?と、頑張ってみましたが、レース終盤に接触等もあって届きませんでした。
スターティング・グリッドは、予選後にSENがギアボックス交換を行ったために、5グリッド降格となったために、KOBはクリーンサイドのG17からスタートできるようになりました。

タイヤは、新品プライム→新品プライム→新品オプション(HULと接触)→新品オプション
と繋ぎました。
SCについては、2回ともステイ・アウトでした。

痛かったのは、スタート時に、過度なホイールスピンで出遅れてしまい、また、スタート直後の1コーナーの混乱を回避するためにP19にポジションを落として、新チーム勢のKOVとGLOに先行され、彼らの序盤の遅いペースに付き合わされてしまったことでしょう。
タイヤに最も負担の掛かる序盤にプッシュしてタイヤを潰す訳にはいかなかったので、L12にKOVがピットインするまで、ペースを上げることができませんでした。


KOBはL30に2度目のピットに入り、新品のオプションタイヤに交換。

交換してから3ラップ消化したL33に最初のSCが出て(KARの単独クラッシュ)
リスタートのL39に2度目のSCが出ました(VERとMSCのクラッシュ)

KOBはタイヤ交換から9ラップのうち6ラップがSC走行なったため、残りの21ラップをギリギリ無交換で行けるウィンドウが開きました。

KOBの攻略目標ドライバーは、
L31に中古オプションに変更したRIC、
新品プライムながら、すでに13ラップしているSENでした。

SENとKOBの間には、1回目のSC中のL33に新品のオプションに変更していたMASがいるので、MASのオーバー・テイクに乗じて、ひるんだRICとSENをパス・・・と、いう算段です。


一方、後方には、残りの周回数からして手持ちのオプションに変えるしかないWEB、HUL、PERがタイヤ交換して、追い上げに全てを掛けていました。
ポイント圏内フィニッシュの第1ミッションは、前方に居るKOVをリスタートで抜くことでしたが、KOBはこれを第1コーナーで見事に敢行、格上のWEBは別として、HUL、PERはタイム差があっても、なんとか抑えられる・・・との見込みで頑張っていました。
が、WEBをうまいライン取りで抑え込んで、これ以上はタイヤを痛めてしまう・・・と、いうところで先行を許したL49に、その局面で漁夫の利を得ようとしたHULがKOBに強引に並んでフロントウィングを踏んでしまい、双方とも、もう一度ピット作業(KOBはノーズ・アッセンブリと、ついでにタイヤ、HULはタイヤ)が必要となり、それぞれP17とP18でコースに復帰となって「算段」が崩れてしまいました。

KOBは、その後、必死の追い上げでDLR、KOV、PICを抜き、SENのリタイヤもあって、P13でゴールとなりました。
ポイント圏内まで、本当にあと少しだったのですが、今回は、残念ながら、これがベストでした・・・。

セイフティ・カー・ランが長かったので、燃費が楽になり、全員がフルパワーでの走行となったので、淡い期待を持っていた「エコラン」組も発生しませんでした・・・。

終わってみれば、SCが出る前までは、WEBがL8で早くもピットインするなど、トップのHAMを除いて、3ストップが主流となるタイヤの性能劣化との戦い、そして、2回のSCで「助かった」ドライバーや「損した」ドライバーが出るという「ツキ」のレースとなってしまいました。

今回のレースは、レース屋にとっては、空力効果を、こうしたバンピーな路面でいかに機能させるかというチャレンジをしたいのですが、タイヤが機能しない、保たないといったエクストラな要素によってレース結果に大きな影響を与えてしまっていることについて、多くのレース屋から懐疑的な意見が多かったのが印象的でした。

レース・ウィークを通して、全車のラップタイムが、昨年より遅いというのは「技術規制を受けても、必ず速くなる。」という、F1の素晴らしい一面が、スポイルされている観が否めないのは、個人的には残念です。

そういう2012年のF1の側面を理解したうえで、2週間後に迫った日本GPに臨みたいと思います・・・。

ちょうど、このレポートを書き上げたタイミングで、WEBがKOBを追い抜いたときに、コース外を走行して順位を上げたというカドで、レース結果から20秒加算というペナルティが発表されました。

KOBのポジション防御がいかにギリギリ巧みだったかが解ろうというものです。
KOBを抜くには、KOBのミスを待つしか無かった・・・と、いうわけです。
(正式結果は、PERが繰り上がってP10、KOBはP13のまま)

もっとも、KOBは、レース後、タイヤがキツくなっていたので、あの時点でギリギリだったと述懐はしておりましたが。

また、KOBの結果とは直接は関係ありませんが、MSCがVERに追突したカドで、次戦日本GPで10グリッド降格のペナルティも発表されました。

なぜ関係ないか?

日本GPでは、予選でKOBがMSCの後ろにはならないからです(キリッ)!


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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

KOB=小林可夢偉
HUL=ニコ・ヒュルケンベルグ
KOV=ヘイキ・コバライネン
GRO=ロマン・グロージャン
KAR=ナレイン・カーティケヤン
RIC=ダニエル・リチャルド
SEN=ブルーノ・セナ
MAS=フェリペ・マッサ
WEB=マーク・ウェバー
PER=セルジオ・ペレス
DLR=ペドロ・デ・ラ・ロサ
PIC=シャルル・ピック
MSC=ミハエル・シューマッハ
VER=ジャン=エリック・ベルニュ