【可夢偉レポート】シンガポールGP DAY2(P3&Qualify) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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がっくり・・・。


KOB、シンガポールGPの予選はP18に終わり、残念ながらQ1を通過できませんでした。

P3で、傾向を探るために、セッティングを大きく変更して頑張ってみましたが、残念ながら、状況を大きく改善することは出来ませんでした。
もっとも、苦しんでいるのはSauberだけではないようで、「テスト」で性能を確認済みのFerrari、Mercedes、そして新型エアロをトライしてたLotusも、エアロ・パッケージは「従来型」に戻していました。

トラブルの傾向としては
「タイヤにスイッチが入らない」というものと、
「ダウンフォースが(足りない)出ない」と、いう2種類に大別され、
Sauberは「ダウンフォースが出ない」方の問題です。

ということは、Sauberは本来のパッケージ能力を出し切れていない・・・と、見ても良いと思われます。

この場合、タイヤはコーナリング時の横滑りと加速時のホイールスピンを繰り返し、タイヤの表面がオーバーヒートしてしまうという問題に直面します。


私も、セッション終了後に徒歩で確認して廻りましたが、多分、ファンの皆さんも画面を見ていれば気がつくかも知れませんけど、今回はタイヤかすが少ないのに気がつかれているかも知れません。

実際、タイヤかすが出ているのは最終コーナー1つめと、第1コーナーだけと言っても過言ではありません。他のコーナーでは、ほとんど出ていません。
これが、どういうことかというと、Sauberはもちろんそうですが、他の車両もグリップしていないという証拠と見て良いでしょう。

中には、予選アタック中に、セクター3で、リヤタイヤがデグラデーション(性能劣化/摩耗)を起こしているというというレポートもありました。
おそらく、これはホイールスピン過多のためだと思われます。

ほんのちょっとのダウンフォースで、こうした状況は、局面的に改善されるのですが、Sauberの場合、車両とタイヤの上下動の関係で、気流が抜けてしまい、ラップタイムに繋がらない・・・と、いう状況です。
結局、Sauberも一部のパーツを実績のある「従来型」のエアロ・パッケージに戻して戦うことになりましたが、状況の大幅な改善には繋がりませんでした。


さて、ここからは、個人的な経験談ですが、今をさかのぼる22年前に、LeytonHouseCG901/Bをかのアドリアン・ニューウェイと共に悩んでいた状態に酷似しています。
あのマシンも、バンピー路面では、機能させるのに難がある車でした・・・。
あの頃は、フロー・ビズ(中継でFerarriなどが蛍光イエロー色の液体を吹き付けているヤツ。遅乾性塗料です。Flow:流れ  Visual:可視)が無かったので、気流が途切れてしまうのが解ったのは、カナダGPの雨のセッションの走行後に、アンダー・フロアの清掃時に泥の流れた痕跡で、気流が止まっていたことで、気がついていたのでした。
さらに、次戦のメキシコGP(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)も、パーマネント・コースながら、バンピーな路面で大苦戦を喫して予選不通過でした・・・。
ところが、その次のフランスGP(ポール・リカール)は、路面がスムーズで、その空力性能を遺憾なく発揮し、固い方のグッドイヤー・タイヤを履いて、快走したのは古い(失礼)F1ファンの皆さんなら、覚えてくれているかも知れません。
アンダーフロアとタイヤの間隔の変化は、時として、このような悪影響を及ぼすのです。

市街地コースか、パーマネントコースか・・・で、こうした性能差は決まりません。
どれだけバンピーな路面か・・・と、いうことの方が、こうした「動的空力性能」を左右するのです。

実際、SauberC31は同じ市街地コースでも、バレンシアでは、ちゃんと競争力は有ったわけですから・・・。


さらに、これも個人的な観測となりますが・・・。
次戦日本GPの鈴鹿サーキットは、再舗装が施され、路面がさらにスムーズになりました。加えてC31が得意とする中高速コーナーのレイアウトです。
22年の時を経て、このC31と新型エアロ・パッケージと鈴鹿の路面とレイアウトが、「稼働ウィンドウ」が小さいながらも、CG901/BのフランスGPのような「演出」をしてくれるのではないか・・・と、いう気配を、今回のシンガポールGPの絶不調が示してくれているような気がします・・・。

とにかく、シンガポールのレースに向けては、我慢あるのみです。
予選では、前に行かれてしまったものの、レース・ペースでは、Sauberは、中堅チームの間ではそう悪くはありません。
ポイント圏内まで、前方に8台。
さらには、シンガポールGP、これまでSCが出なかったレースはありません。
SCが出ないと、パフォーマンス・ランでは燃料がゴールまで保たないケースも考えられます。
そういうドライバーは、極端にレースペースが悪くなります。
SCが出た場合は、保持するタイヤの優位性を生かして、STAY OUTでポジションを上げることも可能です。

予選のQ3で、Mercedesはアタックをせずに、新品タイヤをセーブしました。
これは、明らかに、予選11位以降の新品タイヤを抱えたドライバーから順位を守るための戦略で、レース・ペースにも自信が無い証左です。

KOBにも、ポイント獲得のチャンスは十分にあります。

では、長いレースになりますが、結果をお楽しみに!