【可夢偉レポート】シンガポールGP DAY1(P1&P2) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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のっけからこんな始まりで申し訳ないのですが、
今回のSauber、結構、困ってます(苦笑)。


公約通り、車両のアップデートは投入されて、シミュレーションによる「伸びしろ」も、中規模チームであり、9月末という時期を考えても、イイ数字ではあったのですが、いざ投入してみると、ここシンガポールでは「不発」でした。
その不発度合いは、今シーズンのDAY1の中で、最悪の部類に入る有様で・・・。
その困惑度合いはKOB本人を含めてかなりのモノです。
日本GPを直前に控え、期待が高まるファンの皆さんには、残念な思いをさせてしまっております。

不発と記したのは、それが失敗ではない・・・と、いう所が、実際、悩ましいところです。
プラクティス終了後、データを検討した結果、どうやら今回のアップデートは作動ウィンドウが極端に狭く、市街地サーキットであるシンガポールではバウンシングが激しくて、車両の上下動がありすぎて、この作動ウィンドウを外れてしまうのです。

外れたらどうなるか。
今回のアップデートの場合、最低限必要なダウンフォースが出ません。

それで、他車に比べて、タイヤの保ちも悪く、ラップタイムも伸びないのです。
これまで、1~50/100秒でトップ10の車両と絶対的なスピードと順位を争ってきていて、今回はトップから2秒近く遅いのですから、車両が、そもそも戦うレベルに達していないというのは明らかであります。

もっとも、我々の場合、このようなダメな理由を羅列したところで、建設的ではありませんので、現在は、この状況を、どう克服するかに力を注いでおります。
まずは、車両に(空力的に)何が起きているのか、その原因は何か、状況を良くする手立てはあるのか・・・と、いったところです。

一つ前のスペックに戻して戦うという手もありますが、これは時間が無くなった場合の最後の手段です。
常に新しいものをトライして、機能するはずのものを機能するようにしていくのがF1ですからね。


もっとも、順位もタイムも悪いSauberだけがトラブっているだけでなく、他車もトラブっているのは明らかです。
なぜなら、ほぼ全車両が、昨年のプラクティス比で、かなりの「遅さ」なのです。
もちろん、エキゾースト・ブローが禁止されたことはありますが、それでも、ここまでの遅さは「ちょっと・・・どうしたの」という状況です。
コースも部分部分で再舗装されており、全体的にはスムーズになっているのに・・・、です。
その中で、誰が何をして、現在のポジションにいるかということを吟味しなければなりません。

ただし、Ferrari、Force India、Mercedesは、別に考えないといけません。

というのも、彼らは本来ならアブ・ダビ・レースの後に居残りで行うヤング・ドライバー・テストを前倒しして、9月11日~13日の3日間、フランスのマニ・クールで「テスト」してきているからです。

彼らは、基礎データをこの「テスト」で、先取りしてシンガポールに来ていますので、セッティングの合わせ込みという部分ではアドバンテージがあります。
事実、この3チームはP1、P2共に比較的上位のタイムをマークすることができています。

一方、Sauberを含む他のテストに参加していないチームは、新型パーツを、このバンピーなシンガポールで「テスト」しなければならないので、物理的な作業量や「予測」作業が難しい状況にあるということを加味しておくべきでしょう。

実際、SauberはKOB車とPER車で持ち込んだアップデート・パーツの「仕様」を手分けしてセッションを走っているので、ラップタイムは直接比較の対象とはなりません。

とはいうものの、順位が上位の車両とはラップ・タイムの差が大きく、一晩で「解決策」を見いだすのは難しい状況と言えます。

ただ、こうして差が付いてしまったものの、Sauberだけが苦労しているわけではなさそうです。
他チームも空力の問題が発生していたり、タイヤの暖まりの問題が発生していたり、タイヤの性能低下の問題が発生していたり・・・で、前述のように、ほとんどのチームが昨年よりラップタイムが大幅に低下しる訳です。

P2終了時点での話ですが、おそらくはタイヤのオーバー・ヒートが原因だと思われます。
2日後のレースは、予選のラップタイムや順位ではなく、このオーバー・ヒートをコントロールしたチームとドライバーが勝つことになる・・・、という気がします。


では、苦労すると思いますが、予選の結果をお楽しみに!