【可夢偉レポート】イタリアGP DAY2(P3&Qualify) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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いや、正直なところ、ホッとしています。
KOB、予選順位はP9ですが、予選順位P4のDIRが5グリッド降格のペナルティ(ギアボックス交換)を受けますので、KOBは8番グリッドからのスタートとなります。

DAY1はトラブルで、思うように走り込みが出来ずに、データが足りなかった事を考えれば、上出来の結果です。

特にQ2は激戦で、KOBを含むQ3通過車両は
トップ通過のALOが1:24.242、
P10通過のRAIが1:24.742と、
僅か0.5秒の中に10台がひしめきました。

これが、どういう状況かというと、ざっと計算してみると:
例えば、この10台が一斉にヨーイ・ドンとして、全長5.793kmの距離を走った結果、先頭のALOがゴールした時点で「画面」を止めると、大体3.4メートルおきに、この10台が順に並んでいるということになります。
見た目としては、F1マシンの全長は約4.9m前後ですから、ALOのリヤタイヤあたりにBUTのノーズ、BUTのリヤタイヤあたりにDIRのノーズ・・・と、いう具合に10台が被ってしまうという僅差です・・・。
もっとも、実際には、そういう事にはなりませんが、データを元にどれくらい僅差かという指標として参考にして貰えればと思います。

また、ラップタイムも、P1とP2に比べると随分と速くなりました。
DAY1で回収したデータを元に、一晩でダンパー、スプリング、ロール・バーといったサスペンション構成パーツ、そして、車高とドラッグ/ダウンフォースといったセッティング・パラメーターの最適化、そしてベルギーGPに続いて、ニュー・エンジンの投入・・・といったところが貢献しています。
(実は、これがF1の技術力のダイナミックなところなのです。今年は13戦のうち7戦において、D1の雨のプラクティスで、この「ダイナミックさ」を発揮できませんでした。)


見た目ですが、昨年と比べて、各車とも縁石の乗り越えでの挙動がスムーズになっており(KOB車もそうです。)、シャーシ性能は、かなり向上しているものと推測されます。

ちなみに、2011の使用タイヤ選択はミディアムとソフトでした。そして、2012年の使用タイヤ選択はハードとミディアムです。
が、2012のハードタイヤは、2011のミディアムと同程度の「グリップ力」で、今回のミディアムは、2011年のミディアムとソフトの中間程度の「グリップ力」です。
つまり、2012年のプライムタイヤは2011年とグリップ力は同等ですが、オプションタイヤは2011年と比べてグリップ力が低いのです。
ちょっと解りにくいのでまとめると、2012年は、2011年に比べてグリップ力の低いタイヤのコンビネーション(固くて使いにくい)であるにもかかわらず、車両の挙動が向上しているということです。

残念ながら、KOBに関して言えば、2010も2011も、このイタリアGPでは、ドライブ・トレインのトラブルでリタイヤしているため、レース距離を走ったデータがありませんが、これまでのレースの状況を見ても、このグリップ力の低いタイヤのコンビネーションの使い方に関しては、縁石の走破性を含めて、かなり進歩していると言っても差し支えないでしょう。

さて、レースに向けての予想ですが、相変わらずメルセデス・ベンツ・エンジン搭載車両の速さには目を見張るものがあります。
車両トラブルで最後尾スタートのHULは別として、全ての車両が予選トップ10入りを果たしています。
おそらくはライバルのスピードを見て、多少、多めのダウンフォースを付ける余裕すらあるでしょう。
それが、ブレーキングとトラクションの両方に効いています。
従って、タイヤの保ちも良くなります。最後尾のHULを含めて、全6台が、おそらくは前車がポイント圏内に入ることでしょう。残りの4つを争うのがフェラーリの2台、レッドブルの2台、そしてザウバーの2台といったところでしょうか。
さらには、SEN、MALも侮れません。
特に、新品タイヤでスタートできるWEBとPERは有利でしょう。

つまり、KOBに関して言えば、ポイント圏内フィニッシュを死守・・・と、いう戦いになりそうな気配です。

ただ、メルセデス勢とフォース・インディア勢のタイヤの保ちは(?)なので、そのあたりがレース結果のカギとなるでしょう。
もちろん、ベルギーGP同様、スタート直後の第1シケインと第2シケインは「アクシデント」の可能性があります。

また、ハイスピード・コース故のメカニカル・ストレス(KOB、PER、MAL、ALO、DIR)と、エアロ・パフォーマンス優先(ルーバーを閉めることによる)の熱害(VET、HUL)が、不確定要素ですね。

「ズバリ」していしまうと、スピード・トラップの速度や、セクター・タイムを見ていくと、パフォーマンス的にはKOBは、今回、RAIとほぼ同じと目されます。
RAIと戦うことが、真価を問われるレースになりそう・・・かな?
では、KOBが生き残り、多くのポイントが獲得できるよう、期待しましょう!

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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

KOB=小林可夢偉
ALO=フェルナンド・アロンソ
RAI=キミ・ライコネン
BUT=ジェンソン・バトン
DIR=ポール・ディ・レスタ
HUL=ニコ・ヒュルケンベルグ
SEN=ブルーノ・セナ
MAL=パストール・マルドナド
WEB=マーク・ウェバー
PER=セルジオ・ペレス
VET=セバスチャン・ベッテル