【可夢偉レポート】ハンガリーGP DAY3(Race) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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KOB、レースは油圧システムの圧力低下により、P15で走行中の最終ラップでリタイヤとなりました。
(規定集回数を満たしていますので、正式結果としては18位となります。)

ゴールまで、なんとか保たそうとしておりましたが、ポイント圏外であることから、被害を最小限に留めるためにリタイヤを決定した次第です。
KOBのポイント獲得へのチャレンジは、スタート時にVERにT1外側に押し出されて、ポジションを落としてしまった時点で潰えてしまいましたが、実質的にはスタート時に先行されたケータハム勢とトロロッソ勢をクリーンエアで抜くために全ドライバー中最も早いL8でプライムタイヤに交換(ピットスタートのMSCのタイヤ交換は除く)し、長尺となったプライムタイヤでのペースが悪かったことが主因です。


狙い通り、ケータハム勢とトロロッソ勢を早めのピットストップによるクリーンエア中のラップタイムで稼ぎ、この2チームが最初のピットインをする間に追い抜くことには成功しましたが、L8までのスローペースと、プライムタイヤでのペースが上がらなかった事から、スタートをうまくすり抜けたP10のROSまでは届きませんでした。
チームメートのPERも、1度目のピットストップを遅らせた戦略(1ストップ狙い)が機能せず、KOBがリタイヤするまでは、KOBの前を走っており、チームとしてはP14とP15を走っていたという状況でした。

KOBのペース自体は、L8にプライムタイヤに交換した時点ではP9 のMASと同等のペースで、P10のHULのオプションタイヤでのタイムより速かったのですが、なにしろアンダーカット(予定より早くタイヤ交換に入る)して32ラップ(他のドライバーは、18ラップから22ラップ)を走行しなければならなかったので、タイヤの性能劣化を考慮してペースを思うように上げられず、最後には著しくラップタイムが落ちたために、L40でオプションタイヤに変更して残り39ラップを走りきるという、これもチャレンジングな戦略に出ました。

奇しくも、このL40にトップ争いのHAM、P10争いのROSもタイヤ交換に入り残りをプライムタイヤで走りきるという作戦に出ました。
つまり、残りの周回数はKOB、HAM、ROSは一緒でした。
そして、KOBのHAMとROSに対するギャップは、L39の時点で、それぞれ約73秒と約40秒。
そして、KOBがリタイヤする前のL65でのギャップは、それぞれ81秒と32秒。
HAMに対しては約8秒置いていかれていますが、ROSに対しては8秒先行しています。
(しかも、尺の短いオプションタイヤで、です。)

つまり、セッティング不整合(KOB勢的には、1ラップあたり0.3秒~0.5秒のロス)による影響があったとしても、レース後半のKOB車両のペースはポイント圏内を走れる状況にあったという数字的な根拠があった訳です。

こういう部分が、ポジティブだった・・・と、いうぐらいしか、今回はピックアップする部分がありません。

そうしたスピードを持ち合わせていたとしても、予選で前に行かないと、ポイント獲得には活用できない訳ですから・・・。
それに、スタートから、リタイヤ時点まで、対ROSで合計32秒程遅かったわけですから、この事実は消えることはありません。
対ROSのΔ32秒は、1ラップ平均では、約0.47秒の遅れですから、不整合分でロスしている部分を鑑みても、ギリギリだったか、届かないという状況です。

それだけに、P1&P2で、数あるセッティングの「適合」作業において、タイヤに「スイッチ」が入らないことに気を取られ、もう一つの重要なポイントを見逃したのは痛手でした。


とにかく、レース後、直ちに、この「不整合」の発生した部分について改善作業に入ることを相互確認して、サーキットを後にしました・・・。
まずは、不整合自体の分析、そして、なぜ適合作業でピックアップされなかったのか、を重点的に洗い出して、次戦、ベルギーGPに備えます。

一方、上位陣はHAMが全力で逃げて、最初のタイヤ交換を長引かせ、GROがHAMより2ラップ遅らせてタイヤ交換、特にRAIが3ラップ遅らせたのが功を奏しました。
これには、上位陣でL15に最初に動いたBUTと、それに反応したALOとの戦いが大きく作用しています。
ALOに引っかかっていたRAIは、突然クリーンエアを貰うことになり、L18からL21までに、アタックラップを決めて、ALOをあっさり自らのピットストップまでの間に抜いてしまったのです。

おそらく、ペース的にALOはRAIとは戦う気はなかったモノと思われます。
効率よく走って、自分のレースをしようとしているALOに対し、BUTが翻弄されてしまって、不必要にRAIにスペースを与えてしまった形です。
また、終盤、VETも思い切りよく3ストップに切り替えて、ALOを抑えこみ、かつペースの落ちたGROにチャレンジするという戦略に変えたものです。
そして、これらのトップ5は、素晴らしい戦いを繰り広げたと思います。
中でも、プロとしての勝者は、自分のマシンのペースを見据えていたALO、当然のことながら逃げ切ったHAM、そして、動揺したBUTとVETを戦略で、また、僚友GROを実力(格の差!?)で抜いてきたRAIでしょう。

きっと、BUTとVETは、反省モノでしょうね。


もちろん、KOB勢も、改善を重ねて、何とかこうした高度な戦いに食い込んで行くことを目標に精進します!

現状のC31をもってすれば、決して、不可能な事ではありませんから・・・。


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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

KOB=小林可夢偉
MSC=ミハエル・シューマッハ
ROS=ニコ・ロズベルグ
PER=セルジオ・ペレス
MAS=フェリペ・マッサ
HUL=ニコ・ヒュルケンベルグ
HAM=ルイス・ハミルトン
GRO=ロマン・グロージャン
ALO=フェルナンド・アロンソ
RAI=キミ・ライコネン
BUT=ジェンソン・バトン
VET=セバスチャン・ベッテル

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