【可夢偉レポート】イギリスGP DAY2(P3&Qualify) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

GOODSMILE RACING 広報ブログ

ファンと共に走るレーシングチーム『GOODSMILE RACING』

KOB予選は、12位でした。
これに、グリッド・ペナルティを足して、レースは17番グリッドからスタートとなります。
赤旗中断となるQ2まで、いかなるコンディションでも、ずっとトップ10を確保できていたので、かなり残念な結果です。

orz…。


まず、この予選12位に至るまでの流れをおさらいすると、
予選を控えてのP3は、なんとかドライタイヤで走れる状態だったので、ウェットパッチに足をすくわれながらも、KOBはP9でセッションを終えることができました。

そして、このP3、どのチームも、レースがウェットとなることが予報されているので、正真正銘のドライ・セットアップで走っているわけではありません。
規定で、これも雨が予想されている予選で走行したセットアップでレースも走らなければならないことから、レースがウェットからドライに変わった状態を想定してのセットアップで走っていると推測されます。

もちろん、これまでP1とP2では、誰もドライタイヤで走っていないので、チーム内でメニューを分けてデータ取りという状況と見て良いでしょう。

もちろん、KOBもそうでした。

具体的には、ライドハイト(車高)のチェックや、タイヤ内圧のチェックです。
前者はアクアプレーニング対策、後者は、タイヤの暖まり具合のチェックです。
そして、これらのパラメーター変更に対応しての、フロントウィングの角度の調節です。

なぜ、フロントウィングの角度の調整を、あらかじめ知っておかねばならぬかというと、ウェットタイヤとドライタイヤでは、フロントタイヤとリヤタイヤのグリップバランス(接地力)が違うため、ウェットからドライ、またはドライからウェットへのタイヤ変更時に、どれくらいフロントウィングの角度をアジャストするかを知っておく必要があるのです。

そして、最終的にはレースが、どれくらいの雨量になるのかを見越して、セッティングを決めておく事になる・・・と、いうわけです。

ドライ寄りのインターミディエートタイヤにサスペンションを合わせておくのか、それともウェット寄りのウェットタイヤにサスペンションに合わせておくのか、ということです。

雨用の、この2種類のタイヤは、溝の深さや、溝のパターンが異なっていて、それぞれ最適なセッティングは、違うのです。もちろん、その中間の中途半端な、どちらにも対応できるセッティングもあります・・・・。

こういう状況になると、順番的にはレース・セッティングを決定し、その状態で予選を「それなり」に戦うという事になりますので、ギャンブル的な要素満載です。

こうして始まった予選は、ほぼドライ路面から、雨が降り出してコンディションが悪化していきそうな「中途半端」な状況で始まりました。
KOBは、タイヤが冷えてしまうリスクを取って、コースオープンのグリーンライトが点灯する前にピットロードに並び、水煙による視界の悪化の影響を受けない先頭でコースイン。
まずは、好ラップタイムを記録して、他ドライバーのラップタイムに反応して、ポジションをP17以上に留めておくという作戦にでました。

この作戦は功を奏し、KOBはラップ毎に常に上位にとどまる事に成功。
P7で、危なげなくQ1を通過しました。
Q2も、雨脚が強まり、コンディションがさらに悪化する中、ほぼ同じ作戦でスタートし、アタックラップ中のセクター3で、前方を走るGROがミスした影響を受けながらもP6のタイムをマークしたところで、雨脚がさらに強まって赤旗中断を迎えました。

1時間以上もの予選セッション中断を経て、雨足が弱まったところでQ2が再開。
KOBは再開時にはインターミディエートでコースインして、アウトラップでタイヤがコンディションに合っているかどうかを判断するという作戦でコースに出たものの、水の量が多すぎるということで、すぐにピットに戻ってエクストリーム・ウェットに交換して、再アタックに出ました。

しかし、まずはアタック・ラップに入るところで、直前を走っていたROSがコースオフしたために、イエロー・フラッグ区間が発生して減速を余儀なくされて思うように加速できず、そのまま最後のアタックとなってしまい、チェッカーを受けることになりました。

チェッカーを受けた時点では、P9でした。
が、この後、急速にコンディションは回復し、後続の車両3台にタイムを上回られて、残念ながら、Q3進出はなりませんでした・・・。


本当のところは、KOBはチームにエクストリーム・ウェットで出たいとリクエストしていたのですが、チームの判断はインターミディエートで、そのチーム・オーダーに従っての今回の結果です。

結果としてはチームの「判断ミス」ということになります。
当然のごとく、予選後に、この判断に至るプロセスについては、十分に議論を重ねています。


いずれにしても、F1はとどのつまりチームプレイです。
もちろん、KOB陣営としてはフラストレーションは大きいのは確かですが。。。


さて、気持ちを切り替えて、P1からQualifyまでの各ドライバーのデータを見てRaceの予想をしてみると・・・。

仮に、グリッド通りに無事にL1が終了した場合、ドライに近いウェットのコンディションの場合、HAMとBUTが活躍する可能性が高そうです・・・。
エクストリーム・ウェット→インターミディエート→ドライ(オプション)に変えるタイミングによって、中位グループの順位は変わることになるでしょうが・・・。

エクストリーム・ウェットのコンディションの場合は、中位グループで、このHAMとBUTの追い抜きを巡ってイロんな事が起きるような状況となる間に、ホールショットを決めるであろうALO、WEB、MSC、VETのうち、誰かが逃げ切ることになりそうな気配・・・と、いうところでしょうか。

ウェットということで、エンジンの全開率が下がり、燃費には余裕が出るので、例のラムダドライバを搭載している車両は、必要な時は、いつでも、何回でも使えることでしょう・・・。


肝心のKOBはというと・・・。

大丈夫です。

どのようなコンディションでも行けます!
どちらかというと、エクストリーム・ウェットのコンディションの方が、向いているかもしれませんね。
ただ、前述のように、リーダーには水煙の関係で逃げられてしまうのは避けられませんが、SC導入等で感覚が詰まればチャンスは、ちゃんとあります。

必要なのは、諦めないことです!

ただ、ドライ寄りのコンディションになると、タイヤ交換の時期が、KOBだけで無く、全員の成績を左右することになるでしょう・・・。
つまり、ピットストップの回数も増えて、種類やタイミングの選択を含め、チームワークの総力戦となります。

では、レース結果をお楽しみに!


※今回の予選結果が、バレンシアのレース結果に似てる・・・ゲルググ手練れが上位に来ているのは、偶然では無い・・・と、個人的には見ています。
その説明は、またいずれ!
(ひょっとしたら、レースの結果次第で触れることになるかもしれませんが。)


============================

※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

KOB=小林可夢偉
ROS=ニコ・ロズベルグ
HAM=ルイス・ハミルトン
BUT=ジェンソン・バトン
ALO=フェルナンド・アロンソ
WEB=マーク・ウェバー
MSC=ミハエル・シューマッハ
VET=セバスチャン・ベッテル