【可夢偉レポート】モナコGP レポートDAY2 (P3&Qualify) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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モナコの予選が終わりました。


意外と言っては失礼ですが、MSCとWEBという、かつてココが得意だったドライバーが光る走りを見せました。

さて、KOBはラップタイムとしてはP12で、
スターティング・グリッドはMALの10グリッド降格ペナルティによりP11という結果に終わりました。


これが良い結果か、悪い結果かは、状況が複雑で断言できません。


KOBはラップタイム自体は、P1からQ2まで、一貫して向上しており、これについては問題ありません。
また、昨年と比較しても、KOBは昨年の1:15.973から1:15.508に向上していますので、車輌の状況も改善していると言うことができるでしょう。

(逆にVETは昨年の1:13.556(Q3、PPタイム)もしくは1:14.277(Q2、2番手タイム)から、大きく遅れる1:15.234(Q2タイム。Q3は、タイヤ温存のため未計測)と、大幅にラップタイムを落としています。)



ただ、P1、P2の相対的な順位で言うと、ポジションを落としているのは確かです。

考えられる理由は:

1. P1、P2時に比べて、P3、Qualifyは路面温度が高かった。
  (順に、33度、31度、37度、47度)

2. P1、P2から、ほぼ全車がエンジンを交換している。


俯瞰で見ると、P1、P2に比べると、全体的にMBエンジン勢が前に出てきた観が強いと推測できます。
これは、以前のレポートで触れた、エンジンのライフ末期のパワーダウンの影響を考慮に入れるべきかもしれません。

もちろん、それが問題だと言っているのではありませんが、このポイントと、路面温度の上昇は、順位の趨勢の変動に影響を与えているものと考えても、間違ってはいないでしょう。
また、ライフ末期とはいえ、予選時のみギリギリの使用をする「予選マップ」の程度の違いも考慮に入れるべきでしょう。

エンジンの投入に関しては、ヨーロッパGP(バレンシア)で、新エンジンを投入したいALO、ドイツGPに新エンジンを投入したいメルセデスGPや(または、ドイツ人ドライバー)、イギリスGPで新エンジンを投入したいマクラーレン、フォースインディア、レッドブル等、事情もそれぞれ違うことでしょうが、VETやRAIのパフォーマンスを見るにつけ、ルノー・エンジンも、P1でKOVがブローしているように、意外とキツイかもしれません。
GROは、モナコはフランスと言っても過言では無いので、RAIと違って新エンジンを投入していると考えれば、何となく合点が行く・・・と、思えます。

現実的に言うと、エンジン・キャップ(年間8基)のレギュレーションが施行されてからは、予選がどうであれ、レースが高い割合で荒れるモナコでは、新エンジン投入は徒労に終わる事が多いのは、チーム関係者の共通認識ですから・・・。

タイヤのポイントについては、なんと言っても路面温度の変化が、今日のトピックだったと言えるでしょう。
コースレイアウトの特徴と、予選の混み具合からして、モナコではこれまでの5レースのように、コース幅を使ったウェイビングや、ダウンフォース(つまり、高速コーナー)を利用してタイヤを温めることが出来ず、タイヤ・ウォーマーとタイヤ内圧だけで、適正なタイヤの温め方を実践しないとなりません。
(ちなみに、参考値ですがタイヤ・ウォーマーでタイヤを90度~100度に加熱していても、ガレージからピット・ロード出口に進むだけでタイヤは30度~40度まで冷めてしまうために「温め方」が、問題になるのです。大体、走行中の動的適正温度は80度くらいです。)

メディアに流れている話では、どこかのチーム関係者が路面温度が2度変わると、セッティングを変えなければならないとコメントしたようですが、それは大げさとしても、だからといって、外れていなくも無いというのが実感です。


今回、KOBは車輌に問題があったわけでも無く、アタック中にミスをしたわけでもないのですが、タイムが思ってたほど伸びませんでした。
路面温度はQ1中に最高の47度を記録し、Q2の最中に、路面温度が5~7度ほど、ガクッと落ちているので、
今回は、予選アタックを何ラップにするかそのためのイニシャル内圧を、どれくらいに設定するのか・・・が、明暗を分けたような観があります。

ただ、これは予選が終了して、各種データを見た上で論じることができることであって、PERのクラッシュによる赤旗で、のっけから、タイヤの投入方法の組み直しを、残りの全ドライバーが強いられた訳ですから、何かを「原因」として、ピックアップできる状況にはありません。

それが、冒頭で触れた「複雑」と記した理由で、また、それが「モナコ」でもあります。


ともあれ、MSCは復帰からこのかたメディアから公然と「引退勧告」批判されていたわけですから、モナコという特別な舞台であることも手伝って、痛快な気分でしょう。

それに、KOBにしても、スターティング・グリッドのご近所には元チャンピオンのRAIやBUTがいるので、特に悲観的になっているわけでは無いので、ご心配なきよう。

逆に、ニュー・タイヤを温存できていて、ポイント圏に近いので、確実にポイントを稼いで、まずは同僚のPERをランキングで逆転しつつ、ウィリアムズとのギャプを詰めることが、今回の目標と言えます。

では、レースをお楽しみに!



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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

KOB=小林可夢偉
MSC=ミハエル・シューマッハ
WEB=マーク・ウェバー
VET=セバスチャン・ベッテル
MAL=パストール・マルドナド
RAI=キミ・ライコネン
KOV=ヘイキ・コバライネン
GRO=ロマン・グロージャン
RAI=キミ・ライコネン