【可夢偉レポート】スペインGP DAY1(P1&P2) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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いよいよ、F1が本場ヨーロッパに来ました
・・・と、専門誌(紙)の皆さんは書くところでしょう。


でも、我々はF1屋は、2ヶ月前からこのサーキットで走ってるし、
今年は20戦のうち8戦しかヨーロッパのサーキットで走りません。

今回のバルセロナと、再来週にモナコを走ったら、また、ヨーロッパ域外のカナダに行きます。

F1は、基本的には、訪れる国の、一番良い季節(大体、夏)にスケジュールされることが多いです。
(バーレーンや、アブダビでは、暑すぎて、それは困りますが。)

ということで、パドックには、開幕から続くヨーロッパ域外4戦には、
それぞれのチームの本拠から近い事も有り、
チームカラーをまとったモーターホームがパドックに鎮座することもあって、
ヨーロッパ域外のパドックと、雰囲気も変わります。

それを「本場」の雰囲気と、表現するのでしょうね!



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さて、前にも触れましたが、
我々は約2ヶ月前に、ここバルセロナで、それこそ毎日100ラップ前後の走行を重ねてテストしています。

従って、ドライバーのコース習熟度や、最適なギアレシオ等のデータは、すでに豊富に蓄積されていて、他のグランプリ開催サーキットとは前提条件が大幅に違います。

大まかに言って、気温路面温度風向が、テスト時点と違うだけです。

これに、テスト時からのマシン開発によって、ダウンフォースが増加している・・・と、いった違いもありますが、
実際にはテスト走行のデータを元に「ファイン・チューニング合戦」といった趣となります。

つまり「プロ」のレースです。
(もちろん、我々F1屋はプロですが、内容が濃いという意味です。)

ですから、ここ数年、
ヨーロッパ戦の最初のレースであるここカタルーニャのスペインGPの結果が、
そのまま、その年のチーム&マシーン&ドライバーの優劣の尺度と言っても過言ではありません。

ただ、今回、やっかいなのはカタルーニャ地方の天候が良すぎて、
気温が29度路面温度が40度以上という、タイヤに負担に大きなレースになりそうなことです。

加えて、開幕して5戦目を迎えていることもあり、
エンジンの使用時間も、モノによってはライフ(寿命)に近いものを使用せざるを得ないチームドライバー)があることも予想されます。

一般的に知られているところでいうと、
このカタルーニャ・サーキットは、エンジンに対する負荷の高いサーキットであり、
F1屋の常識ではニュー・エンジンを予選(ということは、つまりレースも)に投入することになります。

そのような理由で、今回のスペインGPのFP1、FP2、そしてFP3は、これまでの4戦に使用したエンジンの中でも、ライフが近くてパワー・ダウンしたエンジンを使用しているチーム(ドライバー)が多数存在する可能性があり、
予選レース)に向けては、今回はチャンス無しっぽいということで、新エンジン投入を、より有利に戦える可能性のある後のレースまで見送るところもあるかも知れません。

もちろん、その一方で、新エンジンを投入するチームはラップタイムの「伸びしろ」を持っていることになるわけです。(今季は車輌不振で、しかも地元のALOなどは、逆に使わざるを得ないでしょう!)

こういう状況であることを理解したうえで、FP1とFP2のデータを俯瞰すると、想像が膨らみませんか?


さて、予選とレースの時間帯に近い、FP2のデータを見てみましょう。


まず、下記は、FP2の最高速のスピードトラップです。
前回のバーレーンのレポートと見比べてみると・・・良いかも知れません。)

1   10   R. GROSJEAN 321.6
2   9 K. RAIKKONEN 321.3
3 15 S. PEREZ 320.6
4 11 P. DI RESTA 317.3
5 8 N. ROSBERG 317.0
6 7 M. SCHUMACHER 316.5
7 20 H. KOVALAINEN 316.3
8 5 F. ALONSO 315.6
9 21 V. PETROV 315.6
10 4 L. HAMILTON 313.4
11 6 F. MASSA 313.4
12 12 N. HULKENBERG 313.2
13 3 J. BUTTON 313.1
14 17 J. VERGNE 312.5
15 16 D. RICCIARDO 312.3
16 18 P. MALDONADO 312.1
17 19 B. SENNA 311.5
18 2 M. WEBBER 311.5
19 1 S. VETTEL 311.2
20 14 K. KOBAYASHI 309.5
21 22 P. DE LA ROSA 308.2
22 24 T. GLOCK 307.5
23 25 C. PIC 307.4
24 23 N. KARTHIKEYAN 305.4

ロータスの2台、バーレーンと同様に、速いですね。
SauberのPER、速いですね。
レッドブルの2台、バーレーンと同様に、遅いですね。
つまり、セッティングの傾向、変わってません。

ところが、バーレーンでレース中のペースが上がらず、
痛い目に遭ったBUT、VER、RIC、SEN、MAL、KOBといった面々、
遅くなってますね。

ダウンフォースを付けた?と、見るべきでしょうか?


ちなみに、ダウンフォースの効くセクター2のセクションタイムのトップ10を見てみましょう。

1 8 N. ROSBERG 31.470
2 1 S. VETTEL 31.499
3 3 J. BUTTON 31.564
4 10 R. GROSJEAN 31.573
5 14 K. KOBAYASHI 31.634
6 2 M. WEBBER 31.657
7 4 L. HAMILTON 31.686
8 9 K. RAIKKONEN 31.696
9 15 S. PEREZ 31.719
10 7 M. SCHUMACHER 31.812

VET、いいですね。さすがダウンフォース・マシン!
そして、入ってますね、KOBとBUT!
ROSとMSCは、ダブルDRS効果で適度なダウンフォースを確保しつつも、ストレートスピードを稼いでいる?

ところが、
GROとRAIは、ストレートも速くて、ダウンフォース区間も速いと来ています。

これは、今回も表彰台候補的な速さと言えます。
おそらく、リヤウィングのDRSのON/OFF効率が、とても良いマシンと推測できますね。

そういう意味では、ロータスの仕上がりに及ばないまでも、
今回はBUT、HAM、KOB、PERも悪くない?

そして、
誰がライフの来たエンジンを使い、
誰が予選
(レース)で、新エンジンをおろすのか。

これが、明日の予選内容に変化を与える事でしょう。

では、予選結果、お楽しみに!




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ムジェロテストレポートで、2007年ユーロF3の写真の二人、KOBとHUL。
今回のFIAの記者会見に呼ばれました。





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Sauberは、プレミアリーグのチェルシーFCとコラボ。
ロン・グーレイ(チェルシーCEO)さんから、チェルシーFCユニフォーム「KOBAYASHI」仕様を貰うの図。
もちろん、adidasのchelseaロゴ入りの本物です。


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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

PER=セルジオ・ペレス
BUT=ジェンソン・バトン
VER=ジャン=エリック・ベルニュ
RIC=ダニエル・リチャルド
SEN=ブルーノ・セナ
MAL=パストール・マルドナド
KOB=小林可夢偉
HAM=ルイス・ハミルトン
HUL=ニコ・ヒュルケンベルグ