【可夢偉レポート】中国GP DAY1(P1&P2) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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例によって、まずはセパンのおさらいです。

セパンから上海までは2週間のインターバルがあるので、チームは一旦、本拠地のスイスに戻って、落ち着いた環境でデータを解析することができました。

結論から言うと、KOBとほぼ同じタイヤ戦略をとったVERが8位に入賞していることもあり、
ブレーキトラブルが発生していなければ、タイヤ戦略にミスがあったとしても、ポイント圏内に届いていたという可能性はあったということ、
そしてブレーキトラブルはQ1から徐々に始まっていたということも解りました。

Q2でのシャーシ・バランスの不整合問題も、物理的なトラブルは別にして、なぜ起きたのかの原因も、ほぼ究明されました。

もちろん、こうしたことが解ったところで失ったレースは戻っては来ませんが
不運を嘆いたり、忘れたりせずに、
感情を排除して、
問題を直視して素早い解決を図るのが、
我々F1屋です!


というわけで、上海に持ち込まれたKOBのC31-01シャーシのリヤサスペンションは、マレーシアの予選で発生した事が、機構上でも理論上でも、発生しない状態になっているのは確かです。(スイマセン、詳しくは書けないので。)

ブレーキトラブル・・・、これは、物理的な設計では無くて、使用状態による原因だったので、使用状態を改善して臨んでいます。



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さて、今回の中国GPの舞台となる上海サーキットは、TVではクレーン上のカメラでの俯瞰撮影が多用されて、解りづらいとは思いますが、実はアップダウンがあって、コーナーには正バンクがついている「リアル・レーシング」な、レイアウトです。

なので、開幕戦のメルボルンのように、低速コーナーで、リヤタイヤが空転したり、横滑りしたりするオーバーステア状態が少なく、こうした低速コーナーでは基本的にはフロントタイヤが、外に外に行こうとするアンダーステアになってしまうコースです。

だからといって、責めすぎてコースオフすると、人工芝ゾーンで、大幅にタイムロスするペナルティの大きなコースです。
ただ、サーキット自体は2004年のオープン以来、常用というわけではないので、
ストレートで舗装が波打っていて、シャーシが底付き(バンプ)する場所があり、これが難儀です。

特に、第1コーナー手前のバンプは、ブレーキングゾーンということもあり、ドライバーのコントロール能力がモノをいいます。

一般的には、F1マシンはこの底付き状態まで、ライドハイト(車高)を下げて走ろうとします。

F1マシンは、車高を下げれば、下げるほど、ダウンフォースの発生量が多いので、これがまず最初のチェック事項です。
そして、DRS(ドラッグ・リダクション・システム)のセッティングで、最大ダウンフォースと最小ドラッグの兼ね合いを実車計測して、もっとも効率の良いところを探ります。
そして、詳細なセッティングに入るという段取りになります。

今回のP1は、これらのチェックリスト・メニューを行おうにも、細かい雨がずっと降り続けるという状態で、
ドライタイヤを履いて走れる時間が少なく、どのチームも難儀したという観があります。

KOBの所属するSAUBERはアップデート・パーツを持ち込んでいないのですが、トップチームは、結構持ち込んできている様子なので、ひょっとしたらパフォーマンスの差がでるのではないかと心配でしたが、アップ・デート・パーツ搭載のチームこそが、このチェックリストをこなせないというコンディションになってしまいました。

KOBは、午前中は1アタックのみで、ベストタイムはトラフィック有りのタイムで5番手だったのですが、以上のような状況で、誰もがそれぞれのチェックリストをこなしているので、あくまで参考レベルの順位と見るべきでしょう。

P2は、コンディションはドライとなって、フルアタックできずに参考程度であたとはいえ、P1で得たデータを元に、各車とも本格的にセッティングを開始。
KOBもプライムとオプションの両タイヤを試して、さらにロングランまで行って7番手のタイムでした。

トラブルが出なかったわけではありませんが、実際、KOBのP2のタイムはなかなかものです。
その上、向上の余地が十分にあり、その余地の「予想」もある程度ついているので、DAY2はチャレンジしがいのある予選日になりそうです。
ちなみに、チームメートのPERがP2にてブレーキ・トラブルという状況ですが、これはマレーシアのKOBに発生したモノとは全く違う内容のもので、同じようなトラブルがKOBに発生する可能性は無いものと思われます!

ただ、予選日の天候が不順なのが唯一の不安要素です。
コースコンディションが連続性に欠けるよう(プラクティスや予選セッションがドライからウェットになったり、また、その逆)であれば事によっては、波乱の結果( w もしくは orz)が待っているかもしれません!


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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

KOB=小林可夢偉
VER=ジャン=エリック・ベルニュ
PER=セルジオ・ペレス