私の黒々とした髪が1年で半分白髪になったのは、上司の熱い視線のお陰でした。 当時役員だった上司のが“一緒にここで仕事しよう。”と言って、自分の役員室に小さなデスクを入れ、彼の対面、約1.6mの距離に、そのデスクを設置しました。まあ、私を彼の後任として、一人前の戦略家(?)に育てようという暖かい心から来たものだと思いました。 ただ、彼と私を隔てるパーテイションは、デスクの上から20cm位の高さしかなく、仕事をしていると彼の視線をまともに受ける状態になってしまうのです。又、役員室のドアはいつも閉まっていて、他の人は必ずノックをして入るようになってました。 その部屋は緊張が充満していました。

 いくら私が、厚顔無恥、猪突猛進の男でも、その直撃は迫力があり、面と向かって、仕事は到底出来ず、なるべく下を向いて、その直撃を避けるように仕事をしていたのです。 そうなると、彼の視線を受けるのは、私の頭てっぺんです。 頭のてっぺんから頭皮に“直撃を受けてるぞ”と信号が発せられ、頭皮が縮むと同時に、毛穴まで縮んでしまい、髪に栄養が行き渡らなくなってしまい、1年で、頭頂から白髪になってしまいました。幸いなことに毛穴が閉まって、禿げになることは避けられました。

ところで、その部署は、彼の為に作られた全く新しい部署で、企業の戦略を司る部署で、彼はその外資の営業に関わる戦略を立案し、トップに提案するのが仕事でした。199し0年当時、日本の流通は問屋の統廃合、小売業の覇権争いいむあかい、流通の激動が始ま会ったばかりで、その変化を先取りをし、先手を打って流通の主導権を握るのがその部署の当初の目的でした。 彼の仕事ぶりは大変なもので、尊敬するに値しました。 マッキンゼーも真っ青。お酒も強いし。

  以前ブログに書いたオランダ人の社長は出世して、本社に戻っており、新しい部署がスタートした時は、イギリス人が社長になっていました。 問題は私の上司とそりがあわず、3年でその部署が閉鎖になってしまったことでした。

  まあ、彼とそりが合わないのは、その社長ばかりではなく、彼の秘書もその一人でした。 118人面接して(本当に)、ようやく雇った上智の外国学部出身で帰国子女の秘書も、半年でお役ごめんとなり、彼女は私の秘書となってしましました。 本当は彼女を辞めさせるたかったので、私を利用したのです。

彼から、私に“彼女には仕事を何も与えないでください。”とか“私物を机の中に置かせないで下さい。”等々、私に指示し、彼女から会社を辞めるように仕向けたのです。 もちろん気ぐらいの高い彼女はしばらくして、会社を去りました。 

“俺はなんてひどい事をしたんだろう。”少なくとも俺の秘書になったんだから、守ってやるのが俺の勤めじゃないか。 後悔先に立たず、先に立つのはウーロン茶柱。”

最後に彼女が出社した日、“本当い悪い事をした。”と彼女に謝りました。“貴方のせいじゃありませんよ。”と言われたのが救いでしたが、それ以降2度とこのようなことはしないと誓ったステイーブです。(アっ!、まだこの時は、ミドルネームついてなかったんだ。)

 しかし、この部署の仕事内容はクリエーテイブで、チャレンジしがいがあり、面白かったのですが、彼の独善的なマネージメントスタイルに、私の白髪が増えるにつれ、段々なじめなくなってきました。

  そして、その秘書の件以降、私の彼に対する考え方が変わり、彼の仕事以外の指示にも、是々非々な対応をするようになってきました。そして最後に‘マネージメントスタイルを変えて下さい“と進言するまでになってしまいました。その時点で、もう半分白髪。

  部員達も、彼にマネージメントスタイルを変えるよう求めるようになっていました。下から突き上げられ、上の社長とはそりが会わなくなった彼は、しばらくしてその会社を去っていきました。 

  残された部員はどうするの? 前年にこの部署に入った新卒4人が、まだアメリカ研修中。 日本に帰って来ても、入った部署はなくなってたなんて、冗談としか思えない。 この4人組を入社させる時には、“戦略”という言葉を最大限に誇大妄想、白髪三千丈、とんびが鷹を生むなどと説得、他社に決まっていた彼らを入社させた経緯もあり、ちゃんと面倒みないとまずいぞ。 他の部署に頼み込み、何とか彼らを配置換えすることができました。

何とか、新卒4人含む、部員全員他の部署に移動させる事ができたなって思ったら、火の粉が自分に降りかかってきました。 取締役人事部長から、3年前に部下だった奴の下で働けって。 “ふざけんなじゃねーの!” つうの。すぐ辞表書きました。

 まあ、こんなこともあるかなって、私をこの外資にヘッドハントしたヘッドハンターから、次の会社(もちろん外資)を紹介され、入社が決まってもいましたが。 こんなことは外資では良くある話ですから。

これで退職した会社3社目。この前もう一度数えてみたら、10社で仕事してました。ブログの自己紹介で8社って書いたけど、訂正10社です。

ということは、後7社残ってるんだ。

 

“お前、それ多すぎ!!”