こんにちは。2025年度新人公演振付チーフを務めさせて頂いてる者です。


私は「舞台芸術」に携わる身として、ある芯を持っています。


それは「届ける、魅せる」ということです。


「舞台」という「見てる人」が伴う場所である以上、その「見てる人」たちに何かを届ける、魅せると決めています。


この芯を貫き通すために、私は表舞台に立つとき、「絶対に自信なさげなところを見せない」と覚悟をして立ってきました。「たとえ自分の技術が充分でないことを自覚していたとしても、ステージに立ってからは、その姿を見せてはならない」というのが私のモットーで、美徳でもあります。何かを届けるためには、見に来てくれた人達に自信が無さそうな姿を見せるのは言語道断であると思うのです。


ですが、最近、その芯がポキりと音を立てて折れた出来事がありました。


その瞬間、いちばん怖かったのは、舞台という場では絶対に味方であるはずの自分が、突如敵へと姿を変えたことです。


仮初の、応急処置的な自信が剥ぎ取られて、普段の自分が舞台にさらけ出される。舞台に上がるには必要不可欠である「自信」という武装が剥がされた瞬間、自分が自分を裏切ったような感覚を覚えました。


でもそれって、普段の自分を味方につけることができてないのかなって今になって思うんです。どこか、普段の自分を否定している。普段の自分は人様に見せるには相応しくないと暗示しているような気がします。


そんな中思い出したのが、オーディション番組No No Girlsで聞いたとあるフレーズ。




「過去の自分に中指を立てるな」




────────あれ?私、中指立てまくってない?笑




※ちなみに、ノノガは最近になって見ました。めっちゃ良かった。もっと前から見とくべきだった。




話を戻しますと、これまでの生きてきた足跡を引っ括めて自分のことを愛せるか?と問われたら、私は即座にNoと言えてしまいます。たとえ、当時は努力していたのだとしても、今振り返ってみると、自分のその努力を認めようとは到底思えない。努力が足りない、そんなものは努力と呼べない、甘えるなと私は中指を立ててしまう癖があります。


演技でも、歌でも、ダンスでもなんでもいいです。誰かを感動させる力がある「パフォーマー」は鎧のような武装から生まれる虚飾的な力じゃなくて、その人自身から滲み出る内発的な何かがあるなと確かに思います。きっと、鎧を被ったパフォーマンスは見てて飽きる。


当たり前のことを言いますが、私以外私じゃありません(どっかで聞いた事ありますね)。でも、他にない唯一のものだからこそ、信じるのが難しい。だから、それを信じることができた人達にしか出せない、その人から生まれる個性というか、等身大の力が最大限発揮されたとき、人に初めて感動を与えられるのではないのでしょうか。


確かに、「パフォーマンスにおいて自信の無い姿は見せない」というのは間違いではなかったのかもしれません。ただ、「舞台で剥き出しの姿でいる」という勇気を持った人だけが、誰かの心を動かせるのだと思います。

そのためには、まず、「自分のことを信じて、愛する」必要があるのかもしれないと思った今日この頃です。




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公演の概要は以下の通りです。


STEPS Musical Company2025年度新人公演


「Statice」

脚本:松井優芽 演出:神武優麻

「空は見ている。」

脚本:榎並慶一郎 演出:河原由依


舞台監督:渕上翔平

稽古場隊長:木村真緒


〇公演日時

6/21(土)

12:30〜/17:20〜「Statice」 

14:10〜/19:00〜「空は見ている。」

6/22(日)

14:20〜「Statice」

16:00〜「空は見ている。」


〇公演場所

慶應義塾大学日吉キャンパス塾生会館地下合同練習室C


〇予約方法

以下のリンクより、弊団体のLINE公式アカウントをご登録ください。その後、トーク画面の「予約」メニューよりご予約いただけます。

https://liff.line.me/1655301377-OYWrdArQ?liff_id=1655301377-OYWrdArQ&group_id=125521


〇料金

一般:500円

学生:無料(要学生証)