古い家ってなんだか不気味ですよね。

部屋は薄暗く、独特のにおいで溢れていて、昼間はまだ良いけれど、夜になると納戸に置いてある日本人形が「ここからはわたしの時間」とでも言いたげにこちらを見ているように錯覚してしまう。

そんな家での出来事です。


私と母が泊まったのは築何年かも分からない古い家でした。立て付けが悪いのか、キッチンの扉を開けると、リビングに繋がる扉が小さく音を立てて開くので、私たちは「きっと座敷童がいるんだね」と冗談まじりに話していました。


母は用事があったため夕方になると出掛けて行って、私はその家に一人残されてしまいました。一人になると、吹き抜ける隙間風も、勝手に開く扉も、こちらをじっと見つめる日本人形もいっそう不気味に感じるようになり、私は早く寝てしまおうと寝支度を始めました。


一人で晩御飯を食べ、歯を磨き、お風呂に入り、私はトイレへと向かいました。リビングを出て薄暗い廊下を進み、右手に曲がった先にあるトイレは何故かユニットバスで、浴槽とは向こう側がぼんやりと見えるカーテンで仕切られていました。


私がトイレに入ろうとドアを開けると、右側から何かの視線を感じました。恐る恐る横を見ると、カーテン越しにぼんやりと人の姿が。

驚いた私は、慌ててリビングへと向かいました。すると玄関の方からガチャガチャと鍵を開ける音が聞こえてきたのです。心臓が飛び出しそうになりながら玄関の方に向かった私の目に飛び込んできたのは、母親の姿。安堵した私は、母親に今さっき起きた出来事を口早に伝えました。


すると母親は、なんとも言えない複雑な表情で

「この家、ちょっと嫌な感じするよね」と言いました。かなり怖くなっていた私は、早く寝てしまったほうがいいと思って、母親を連れて寝室へと向かいました。

寝室は2階の一番奥の部屋で、そこに向かうためには薄暗い階段を登らなければなりませんでした。私は左手で母親の手をとって、右手で階段の電気をつけようとしたのですが、電球が壊れているのかぼんやりとしか明かりがつかず、2階は依然として真っ暗闇に包まれたまま。それでも進むしかなかった私は、一段、また一段と歩みを進めて、ようやく2階に辿り着きました。

母親の手をしっかりと握りながら暗い廊下を進み、やっとの思いで寝室に着いた私は、ほっとして母親の方に顔を向けました。


そこにいたのは、母親ではありませんでした。確かに「それ」は母親の服を着て、母親と同じ声でしたが、顔が気持ちの悪い方向にぐにゃりと曲がり、目は明後日の方向を見据え、私の左手を掴む力は人間とは思えないほど強かったのです。

私はあまりの恐怖に、声を発することも、身動きを取ることもできず、ただその母親ではない何かから目を離すことができないでいました。すると、「それ」が私の後ろを指差しながらこう言ったのです。

「ねえ、あれ見てよ。」













ここまで読んでくださってありがとうございました。これは、私が見たちょっと怖かった夢を盛りに盛った話です。今回の作品のジャンルがホラーということで、こういったものを書いてみました。(今回の本公演とは一切関係ありません!ごめんなさい!)


STEPS Musical Company 第61回本公演『レディ・スカーレットの肖像』は2022年9月25日(日) 19:00〜STEPS Musical Company公式YouTubeチャンネルにて配信予定です。美しいホラーをお楽しみに。