今、アメリカの「Z世代」(デジタルネイティブ世代)の中で、ファストファッション「SHEIN」(シーイン)が大人気だ。
「SHEIN」の企業価値は、最近、投資家の間で、12兆円超と評価された。
この「SHEIN」はリアルな店舗をもたず、オンラインによるD2C(製造者がダイレクトに消費者と取り引きをする)の仕組みを採用している。
SHEINは、中国の起業家クリス・シュー(Chris Xu)が2008年に中国・南京で創立したブランドだ。
創業当初は、「SheInside」というドメイン名でウェディングドレスと女性ファッションに特化した、米国および英語圏市場向けのオンラインショップとしてスタートした。
創業者のシューはファッション業界の出身ではない。SEOマーケティングに長けたデータ解析に強みをもつ起業家である。
ZARAは2週間に1度のペースで、新作を発売しているのに対し、SHEINは3日に1度のペースで新作を発売という迅速性を持っているとされる。
生産に関しては、約6,000の中国工場と提携している。ZARAなどよりは格段に小規模、すなわち100もしくはそれよりも少ない数での生産を実現。
SHEINは、大量の新商品を、ZARAをしのぐスピードでマーケットに投入することで、在庫リスクを最小化。「ファストファッション」ならぬ、「ファスターファッション」だ。
SHEINの事業運営は、ZARAやH&Mなどのファストファッションというよりも、ロジスティクス管理に長所を持つAmazonに類似しているという分析がある。
アメリカでのビジネスのスタートは2017年頃。2021年の米国マーケットの売上は、31億ドル(3,100億円)に達した。
中国発の企業であるにもかかわらず、アメリカ人の多くは、「SHEIN」のSNSマーケティングの影響で、SHEINをアメリカの企業だと思っているといわる。
SHEINのアメリカでの成功の要因は次の3つだとされる。
第1の要因は、「低価格」である。ZARAと同じようなファッションスタイルの洋服が、ZARAの価格の70%ぐらいだとされる。ブラウスが2,000円以下。Tシャツが1,000円、ジーンズが2,000円から3,000円。キャミトップが500円。アクセサリーは、100円から300円ぐらいである。とにかく、全体的に安いという印象だ。
第2の要因は、「ファッション性」である。比較的にフォロワー数が少ない「マイクロインフルエンサー」に、SHEINの洋服を着てもらって、Tik Tok、Instagram、YouTubeに画像を投稿してもっているが、そうした画像・動画がかなり「オシャレ」感を創出している。「中国のZARA」とたとえられているとおり、ファッション性の評価は決して低くない。低価格には、「悪かろう、ダサい」のイメージがつきものだが、SHEINの場合、その心配はない。
第3の要因が、SNSマーケティングだ。前述したマイクロインフルエンサーにくわえ、米国の人気アーティストであるケーティ・ペリー、リタ・オラ、リル・ナズ・Xなどを強力なインフルエンサーとして活用している。そうしたこともあり、アメリカ人の多くは、SHEINがアメリカの企業だと思っているのだ。ちなみに、Instagramのフォロワー数が2,400万人。Tik Tokのそれが、400万人である。
SHEINは、未上場の企業である。近い将来、新規株式公開(IPO)のニュースも飛び込んでくるかもしれない要注目企業である。
