イェール大学 ネイルバフ教授の「コーペティション」「バリューネット」「補完的生産者」 その2 | Pepmalibuのブログ

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「その1」から続く)

 

 

この取材記事をより深く理解するために、ネイルバフ教授が提唱する理論で重要となる次のような3つの概念を事前に説明しておこう。

 

第1が、「コーペティション」である。「コーペティション」(Coopetition or Co-opetition)とは、共通の目標や成長を達成するために、ある企業が競合関係にある企業と協力関係を築くことである。協力(cooperation)と 競争(competition)を合わせた造語である。

 

第2が、「バリューネット」である。「バリューネット」(Value Net:価値相関図)は、アダム・ブランデンバーガー教授(Adam Brandenburger、ニューヨーク大学スターンスクール(経営大学院))とバリー・ネイルバフ教授(Barry Nalebuff)によって開発された「戦略モデル」である。1996年に出版された2人の共著『Co-Opetition』の中で紹介されている。

 

このモデルは、ある企業(Company、例えば、あなたの会社)に関して、次のような 「4 つの主要なプレーヤー」との間の相互依存関係を示している(下図を参照)。

 

 

 

 

顧客(Customers):たとえば、あなたの会社の製品やサービスを購入するユーザーたち。

 

サプライヤー・供給企業(Suppliers) : 販売可能な製品を製造するために必要なリソースを提供する企業。

 

競合他社(Competitors) :類似、または競合する製品やサービスを提供し、あなたの会社がターゲットとする市場で、競合関係にある企業。

 

補完的生産者(Complementors):あなたの会社の製品やサービスと連携することで、両社の製品をあなたの会社の顧客にとってより魅力的にすることができる製品やサービス。そうしたリソースを提供する「競合企業」。

 

このバリューネットの特徴として、自社を取り巻く上記の4つのプレーヤーが「対称的」(symmetry)に配置されていることがあげられる。言いかえれば、あなたの会社を中心にして、等価の関係があるということだ。

 

垂直方向でいえば、バリューネットは、あなたの会社が、「顧客の事情」と「サプライヤーの事情」を同じレベルで考慮することが重要であることを示唆する。すなわち、あなたの会社は、顧客の声ばかりに耳を傾けるのではなく、同じレベルで、サプライヤーにも配慮する必要があるということだ。

 

水平方向でいえば、競合他社との競争に対して注力するだけでなく、あなたの会社にとって恩恵をもたらしてくれるコンプリメンター(補完的生産者)にも、同じレベルで目を配る必要があるということだ。

 

「5つの競争要因分析」モデル(ハーバード大学経営大学院 マイケル・ポーター博士)

 

そして、このバリューネットは、コンプリメンターというプレイヤーを含むことで、マイケル・ポーター博士の「5つの競争要因モデル」(上図を参照)に見られるとおり、従来の「ゼロサム」(zero-sum)の視点で考えられていた競争戦略に対して、「プラスサム」(plus-sum)の概念を導入したことに大きな特徴がある。

 

ちなみに、「ゼロサム」とは、一方が利益を得たならば、もう一方は同じだけの損をし、全体としてはプラスマイナスゼロになることという。他方、「プラスサム」とは、全体が拡大することにより、各部分(この場合、当該企業と補完的生産企業)もそれぞれ同時に拡大し得る環境を意味する。

 

 

 

 

「その3」に続く)