(「その4」から続く)
ネイルバフ博士は、自身の「交渉のモデル」を次のように説明する。
「多くの人が交渉(ネゴシエーション)に違和感を抱いている。その理由のひとつは、『交渉の目的は何か』という問いから出発していないことだと思う。私が考えるに、あなたが分けようとしているパイは、『取引が成立した場合』と『取引がない場合』とを比較して、両者がどれだけ有利になれるか、ということを考えることが大切なのだ」
「その枠組みの中で、どちらかが手を引けば、双方はその価値を共有できなくなる。つまり、最初から『対称性』が見えている。この価値を生み出すために、企業Aは、たとえそれがはるかに大きな会社であっても、企業Bよりも重要であるというわけではない。AとBは同じように必要な企業なのだ。パイを正しく測れば、両者が同じようにお互いを必要とし、同じようにパイを分かち合うべきだと理解できる。そうすることで、争いの部分がなくなり、人々、あるいは企業Aと企業Bはパイを大きくすること、つまり協力的な部分に集中できるようになる」
ネイルバフ博士は、さらに説明を続ける。
「交渉において、大きなパイを作ること、そしてそれを均等に分けることが目的であることに前もって合意しておけば、心配や懸念はずっと少なくなる。交渉は、基本的なルールから検討するとよい。いきなり飛び込むと、企業や人は情報を隠してしまうかもしれない。自分の発言がすべて不利になるのではと心配になり、協力的な枠組みを感じられなくなるかもしれない。
また、最初に、協力的な枠組みを提案しても、相手は『そんなことはどうでもいい!』と言い、拒否されるかもしれない。相手がもしそういう態度に出るなら、最初の時点で『この交渉は好ましいものではない』と警告されているわけであり、こちら側としては、他の交渉相手を探した方がいいということになる」
ネイルバフ博士の交渉論も、「バリューネット」モデルと同様に、ゲーム理論に軸足を置きながら、『価値の創造』と『価値の獲得』をバランスよく見据えていることが理解できる。
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