
バイナリーオプションは投資を装った
「オンライン賭博」に過ぎない?
子供の時、僕と兄のマイクはテレビを見るのが好きでした。同じ番組が好きな場合、問題はなかったのですが、好みが違うために、どの番組を見るか合意できない夜も少なくありませんでした。ある金曜日の夜、大喧嘩になりました。それを聞いた父が2人の喧嘩の仲裁に入りました。僕たちが事情を説明した後、父が思いがけない解決策を示しました。いつも子供たちに明確に命令を下す父にしては珍しい提案でした。僕とマイクは、8時から9時の番組と、9時から10時までの違う番組が見たかったので、2回硬貨を投げて表か裏かで選択権を決めることにしました。この提案を聞いたとき、僕は妥協した方がいいかなと最初に思いました。例えば、兄に8時から好きな番組を見てもらい、僕は9時からの番組を見れば、公平なだけではなく、お互いに歩み寄る重要性も学ことができたでしょう。まあ、厳密に言えば、51%は通貨が投げられたときに、上に向いていた面が出るはずですが、大きな問題ではないでしょう。ともかく、僕がその2回とも勝ったので、嬉しかったです。残念ながら、負けた兄マイクは、「不公平」と訴え、初めのうち、その結果に納得できなかったようです。
確かに、この出来事は、当時12歳のマイクにとって、重要なことでした。もしかして、それが、彼が今でも一切ギャンブルをしない理由かもしれません。勿論、僕もギャンブルをしません。でも、その出来事が、理由ではありません。あのとき負けていても、僕にとっての損失はあまり大きくないので、たぶん印象に残らなかったと思います。大人になってから、今持っている財産を蓄えるためによく働いたので、馬鹿げた一獲千金を狙った計画でその財産を失いたくありません。その代わりに、長期的に、その富が着実に増える不動産や新規事業に投資しています。なぜなら、分析に基づいて成功の見込みの高い投資対象を選び、場合によっては、自分が何らかの形で関与することにより、直接、その価値に影響を与えることもできます。一般的な人と比べると、この考えは保守的だと思います。ですから、投資ファンドなどには投資していません。勿論、そのお陰で、リーマンショックの直後、富が著しく減ってしまった多くのアメリカ人と違い、僕は、不動産の購入を通し、着実に財産を増やすことができました。同様に、リーマンショックに始まる金融危機の主な原因となった不動産担保 (モーゲージ)証券は金融派生商品のため危険だと判断し投資を控えた日本の銀行も、金融危機からあまり強い打撃を受けませんでした。リスクを回避する保守的な日本人なので、そうした日本の銀行の決定には驚きません。
不思議なことに、同じ日本人が、もっとリスクの高い、モーゲージ証券の様な金融派生商品である「バイナリーオプション」に活発に投資していることを最近知りました。実は、日本市場はこの投資家が多いそうで、先日、日本で、現地法人を設立した香港の金融会社から連絡が入りました。当時、僕は金融業界の出身にもかかわらず、いわゆるバイナリーオプションとはそもそも何か分からなったので、たぶん読者のみなさんも詳しくは知らないと思いますので、簡単に紹介します。
金融派生商品とは、その名称が示唆するように、他の資産に基づいて、もしくは、その特徴を利用して、構築された金融商品のことです。つまり、派生商品とは、他の金融商品に由来しているのです。由来とは英語で、deriveといい、その名詞形であるderivativesが通称となっています。日本の金融会社でも、カタカナの「デリバティブ」と呼ばれることも少なくありません。一つの典型的な例は先物為替予約です。これにより、本日、「将来の日付に固定した為替水準でドルを円に交換する権利」を得ることができます。この契約があれば、直物相場がどのような水準になっても、将来の日付の時点で、今日契約した為替水準になります。もちろん、この権利を得るために、手数料を支払いますが、輸出入会社は、為替予約の価値を認めています。一般的に、取引の整理と支払いの間に時差があります。後者が前者の3カ月後の場合もあります。支払の通貨がドルだったら、90日後、ドルを円に交換したいときに、円の価値が上がったら(円高/ドル安)、その為替の変化で、損失が生じます(より安い価値のドルで、より高い価値の円を買う事になるため)。こうした為替リスクを回避するために、商社などが、先物為替予約を利用しています。
残念ながら、全てのデリバティブが、このような崇高な目的(実利的)に利用されているわけではありません。反対の極にあるのが、金融投機やギャンブルに悪用されるケースです。その一つの例が、現在、日本で流行っているバイナリーオプションではないかと、僕は思っています。Binary (2値)という名称に由来するバイナリーオプションは、起こりうる結果が二つのパターンしかありません。投資期間が終了したら投資家が固定した金額をもらうか、何ももらえないかのどちらかです。そのどちらになるかは、デリバティブが由来する原資産の価格変化次第です。例えば、1万円の権利行使価格で決済日がその購入日の一カ月後の「10万円の価値のオプション」を購入したら、決済日において原資産となる株価が1万円以上の場合は、10万円をもらえます。株価が1万円を下回る場合は、何ももらわず、オプションの権利を獲得するために支払った金が損失になります。
このオプションを知ったとき、兄のマイクとテレビの番組を決めた「硬貨投げ」のようだと思いました。バイナリーオプションは30分のような短期の取引であるため、株分析はあまり意味がないと考えられるので、特にそう感じます。でも、実は違います。普通のアメリカの硬貨を投げると、50%に近い確率で、表または裏面に分かれますが、バイナリーオプションの場合はそんな風にはなりません。この種のデリバティブの顕著な特徴は、「見込み報酬は常に、負担するリスクより低い」ことです。この特徴は、「負担するリスクよりも多くのリターン」を求める金融トレーダーの鉄則に反するという意味で、途轍もないほど危ないと、僕は考えます。おまけに、このバイナリーオプションは特に日本市場ではまだ十分に規制されていないので、詐欺や不正取引に巻き込まれてしまう恐れもあります。この意味で、パチンコより危険なギャンブルだと僕は判断します。あえて英語で言えば、Buyer Beware! (購入者よ注意せよ。)
英語塾
“Binary Options Pro Signal”
上記にリンクされるアニメはバイナリーオプションを簡単に説明します。それを見ながら、空欄を埋めてください。
注意:このビデオをここで掲載していますが、この会社のバイナリーオプション取引を支持しているわけではありません。このブログの掲載が示唆するように、原則として、こうした「投資」を一般の人には勧めません。ただ、ビデオのアニメが、格好よく、英語の説明が分かりやすいと思ったので、学習素材としてここで紹介しています。
1. Binary options are simply _____________ which you make based on whether the current price of an asset will rise or fall by the expiration time.
2. The reason binary options are so popular is because of their amazing _____________ amounts.
3. You can buy a call and you win if the market closes higher at the _____________ time as little as one hour after the trade is placed.
4. Or you can buy a put and you win if the _____________ closes lower at the expiration time.
5. You select the _____________ to trade.
<推薦図書>
本ブログの著者ジョセフ・ガブリエラと杉本有造は、両者ともにMBAの保有者であり、英語と日本語の両方でエレベーターピッチを実施する豊富な経験を有しています。くわえて、両者の経験を活かして、ビジネスパーソンに対して、仕事の現場で直ちに活用できるエレベーターピッチの技法について指導しています。エレベータースピーチのテクニックを習得したいと思われている方に、二人の共著『エレベーター・スピーチ入門~アメリカビジネスで成功するためのプレゼンテーション&自己イメージ作りの技法』を読まれることを強くお勧めします。
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「アメリカ・ビジネスの最前線を切る!!」の目的
皆さんのビジネスリーダーとしての知識欲をさらに刺激するために、毎月、2回の頻度で、「アメリカ・ビジネスの最前線」を主な対象にして、「アメリカ・ビジネスでいま何が起こっているのか」「どのような最新技術に注目が集まっているのか」「日本や日本製品はアメリカでどのように評価されているのか」といった点について、アメリカ人としての見解を掲載します。日本のメディアでは、日本人による単一的(あるいは一方的)な見解が主張される傾向が強いように思えます。このブログ記事では、「世界には多様な考えがある」ということを日本の読者に具体的なテーマで知ってもらうことを意識しています。日本や日本人に対する外国人の見解、考え方を知ることで、読者自身の世界観を広げ、最終的にはビジネスチャンスにつなげてもらえればと願っています。とりあげてもらいたい「旬の話題」や建設的なご提案など、お気軽に著者までご連絡いただければ幸いです。
ジョセフ・ガブリエラ 博士/MBA
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「世界のどこでも働ける日本人になろう」
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杉本 有造 博士/MBA
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