医療用医薬品の歴史、今回はブチロフェノン系抗精神病薬のハロペリドールデカン酸エステル(ハロマンス)です。
ハロペリドールは1958 年、ベルギーのヤンセン社研究所(のちのJanssen Pharmaceutica)で合成
されたブチロフェノン系抗精神病薬で、動物実験によって薬理作用、毒性などの検討が行なわれた後、臨床試験が行われました。最初の臨床試験は1958 年、Liege 大学精神科のDivry らの手で行なわれ、その後ヨーロッパ各地(ベルギー、フランス、ドイツ、デンマークなど)の施設で経口、非経口投与による臨床試験が実施され、精神運動興奮、幻覚、妄想、躁状態、妄想、舞踏病、チック、精神病質の攻撃性、不安、不眠、悪心・嘔吐、急性、慢性のせん妄、うつ病の不安などの症状軽減に有用であることが明らかにされました。ハロペリドールデカン酸エステルは、1967 年ヤンセン社(ベルギー)で開発されたブチロフェノン系抗精神病薬で、ハロペリドールのプロドラッグであり、ハロペリドールの薬理作用が長期間持続する特徴を持つ持効性筋肉内投与製剤です。
以下、引用
Ⅰ. 概要に関する項目
1. 開発の経緯
ハロペリドールは1958 年、ベルギーのヤンセン社研究所(のちのJanssen Pharmaceutica)で合成
されたブチロフェノン系抗精神病薬である。
ハロペリドールは、動物実験によって薬理作用、毒性などの検討が行なわれた後、臨床試験に供され
た。最初の臨床試験は1958 年、Liege 大学精神科のDivry らの手で行なわれた。その後ヨーロッパ
各地(ベルギー、フランス、ドイツ、デンマークなど)の施設で経口、非経口投与による臨床試験が
なされ、精神運動興奮、幻覚、妄想、躁状態、妄想、舞踏病、チック、精神病質の攻撃性、不安、不
眠、悪心・嘔吐、急性、慢性のせん妄、うつ病の不安など(注:本邦における効能又は効果、用法及
び用量は、外国での承認状況とは異なる)の症状軽減に有用であることが明らかにされた1)。
ハロペリドールデカン酸エステルは、1967 年ヤンセン社(ベルギー)で開発されたブチロフェノン
系抗精神病薬である。本剤はハロペリドールのプロドラッグであり、ハロペリドールの薬理作用が長
期間持続する特徴を有する持効性筋肉内投与製剤である。
2. 製品の治療学的特性
慢性精神病治療において、コンプライアンスや治療継続性の問題を解決する重要な解決手段として
デポ剤は注目されてきた2)。本剤はデポ剤であり、持続的な神経遮断作用と鎮静作用をもつ。したが
って精神運動興奮、昏迷、不安、焦燥、幻覚、妄想、衝動行為などの病的諸症状に有効である。
(1) 薬効の本体は、体内で生成されるハロペリドールである。(「Ⅵ-2-(1)作用部位・作用機序」の項
参照)
(2) 4 週間に1 回の筋肉内投与で効果が期待できる。(「Ⅴ-5.臨床成績」の項参照)
(3) 筋肉内投与直後に、急激な血中濃度の上昇(いわゆるfirst day peak)は認められない。
(「Ⅶ-1-(2)臨床試験で確認された血中濃度」の項参照)
(4) 3~4 回目の投与で、血中濃度は定常状態となり、反復投与によっても蓄積性はみられない。
(「Ⅶ-1-(2)臨床試験で確認された血中濃度」の項参照)
(5) 重大な副作用として、悪性症候群(Syndrome malin)、心室細動、心室頻拍、麻痺性イレウス、
遅発性ジスキネジア、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、無顆粒球症、白血球減少、血
小板減少、横紋筋融解症、肺塞栓症、深部静脈血栓症、肝機能障害、黄疸が報告されている。
(「Ⅷ-8-(1)重大な副作用と初期症状」の項参照)
3. 製品の製剤学的特性
該当しない
4. 適正使用に関して周知すべき特性
該当しない
5. 承認条件及び流通・使用上の制限事項
(1)承認条件
該当しない
(2)流通・使用上の制限事項
該当しない
6. RMPの概要
該当しない
Ⅱ. 名称に関する項目
1. 販売名
(1)和名
ハロマンス注50mg
ハロマンス注100mg
(2)洋名
HALOMONTH
(3)名称の由来
haloperidol+monthly に投与する製剤
2. 一般名
(1)和名(命名法)
ハロペリドールデカン酸エステル(JAN) (デカン酸ハロペリドール:旧JAN)
(2)洋名(命名法)
Haloperidol Decanoate(JAN、INN)
(3)ステム(stem)
抗精神病薬、ハロペリドール誘導体:-peridol
3. 構造式又は示性式
4. 分子式及び分子量
分子式:C31H41ClFNO3
分子量:530.11
5. 化学名(命名法)又は本質
4-(p-chlorophenyl)-1-[4-(p-fluorophenyl)-4-oxobutyl]-4-piperidinyl decanoate(IUPAC)
6. 慣用名、別名、略号、記号番号
治験番号:KD-136、R13672