前にも触れたよう、1996年という年はゲーム業界が非常に活況を呈していた。その中で新たな注目を浴びたのは、前年末のナムコミュージアムから端を発したレトロゲームの復刻ブームである。アーケードと家庭用のクオリティの圧倒的な差により、1990年代前半までアーケードゲームの完全移植は不可能と思われていた。
実際に不可能であったのだが、PS・SSの発売によりその差が一気に縮まる事になり、過去のレトロゲームの移植であれば容易に出来るようになったのだ。この時代はまだエミュレータではなく手移植であったので、実際は本当にそのままとはいかなかったのであるが、それでも過去の家庭用移植と比べると圧倒的にアーケードに近かったため、かつてのレトロゲーマーたちは狂喜したものである。
しかし、当然私などはそれで満足しきってしまったため、アーケードとはさらに遠くなっていった。よってここから数年ほどゲーセンからは足が遠のき、再び足を運んだのは1999年の夏ぐらいになってからだったと思う。この頃、かつてグラディウスIIIにハマった小田急相模原前の「ペンギンハウス」にレトロゲーム中心の別館が出来ており、そこにはパロディウスだ!も含まれていた。
最後にプレイしたのは、小田急線伊勢原駅のそばにあったゲーセンだったかと思うが、この時点でまだワンコイン1周は達成出来ていなかった。実際に1周だけ目指すのであれば、5面ボスで残機を2、3機潰していくのがセオリーなのだが、ビデオの影響かあくまでワンコインクリアに拘ってしまった私は10面が最高だったのだ。
そこで、おおよそ7年ぶりのプレイとなった1999年の夏は、最初からそのセオリー通りにプレイしていく事に決め、遂にツインビーでワンコインクリア出来たのだ。初プレイから実に8年3ヶ月ほど過ぎた頃だっただけに、喜びもひとしおだったものである。その後、ビックバイパーとタコでも1周を達成し、あれほど苦労していたワンコイン1周が実にたやすいものとなっていった。
そして、その近くのコンピューターランドにも寄った際、なんとドルアーガの塔が設置してあった。私は長らくファミコン版しかプレイした事がなかったので、アーケード準拠の移植はPS版までプレイした事がなかったのである。そのPS版は5人設定ながらワンコインクリアは出来たのであるが、さすがにブランクもあったためアーケード版はそこまではいかなかった。このゲームは、後半よりも前半面の方が忍耐を強いられるので、時間的に余裕がないとなかなかプレイする気は起きなかったものだ。
さらに、そこで印象的だったのは、数年前と比べて明らかにゲーセンが空いていた事である。もちろん、理由としてはそれまでのゲーセンの主役であった格ゲーが衰退していった事が挙げられるが、それ以上にやはり自分と同じく家庭用で満足してしまった人たちが多かったのではないだろうか。