ネオジオを愛す・その2 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

ストII人気が爆発して以降、初めてストIIライクなゲームとしてリリースされたのが「餓狼伝説」であった。正直、当時の私はストIIの対戦に夢中であったのだが、仲間内で次第に餓狼が流行り始めていき、ゲーメストの人気ランキングにおいてもネオジオのゲームとしては最上位にランクされるほどのヒット作となったのだ。

 

実際、見た目的には完全にストIIタイプなので、まあパクリかなと思うのが普通なのであるが、実際の開発はストII発売前から行われており、ストIIの発売後にあまりにもテイストが似すぎていたため、強引にライン移動などを入れた事が餓狼伝説2のゲーメスト増刊で明かされている。まあ、実際はストIIよりも、初代ストIのようにCPU対戦がメインであり、必殺技の威力が強く、その代わり出しづらい、と言うのも同じである。まあ、実際は初代ストIよりかは出しやすいのであるが、ストIIの感覚で出そうとすると絶対に出ない、と言った感じだ。

 

私の友人も良くプレイしていたそうなのだが、私自身はどうしてもヒットゲームのパクリ的なゲームは敬遠しがちであり、プレイする事なくしばらく傍観するのみだった。ただ、私はそうであっても世間的には大ヒットを記録し、ネオジオのゲームながら単独筐体が設置されている事も珍しくなく、これはそれまでのネオジオのゲームでは見られなかった現象でもあった。つまりはそれだけ大ヒットを記録したという証明でもある。

 

餓狼以降はしばらく目立った作品はなかったが、秋のAMショーにてSNKが満を持して発表したのが「龍虎の拳」である。こちらも初代ストIのテイストであったが、ネオジオの拡大縮小機能を最大限に利用し、当時としては最大級のデカキャラが躍動する姿はとてもインパクトがあったものである。ただ、それ以上に驚いたと言えるのが、主人公のリョウ・サカザキの名前から姿形まで、ストIIのリュウにそっくりだった事である。特に、当時は特殊技扱いであった「ビルトアッパー」が、まさに昇龍拳そのものであり、これはいくらなんでもどうなの?と思わざるを得なかった。

 

現在、「餓狼伝説」と「龍虎の拳」のプロデューサーが、カプコンから移籍してきた初代ストIのスタッフであったという事は広く知られている事だと思うのだが、当時はそんな大人の事情など知る由もなかったため、いくらなんでも何故ここまでの露骨なパクリはないだろう、と思ったものだった。そして、当時はストIIダッシュが大人気であったのだが、ストIIからアーケードに入ってきた連中が一気に増えてきた時期でもあったため、ストII以外の格ゲーを求めていたゲーマーたちの受け皿となったものである。

 

当然、この「龍虎の拳」もそれなりのヒットを記録し、この時点でSNKが完全にカプコンに次ぐ格ゲーのNo.2の座についた。因みに、格闘ゲームとか、対戦格闘と言う呼び方はすでにあったが、格ゲーと言う略し方はゲーマーもゲーメストもしていなかった記憶がある。ゲーマーの言葉は、当時圧倒的な影響力を誇っていたゲーメストから広まったのがほとんどである。

 

そして12月、ネオジオの格ゲー3作目にして、遂に対戦格闘を前提とした格ゲーが登場してきた。もちろん、あの「餓狼伝説2」である。プレイヤーキャラが8人、ボスキャラが4人と、その辺りはまんまストIIであったのだが、実際にプレイするとストIIとはまるでプレイ感覚が異なり、つまりは「SNKならでは」の格ゲーテイストがここで確立された、と言う訳である。