当時、PS3が格ゲーやシューティングのメインストリームから外された最大の要因は、発売当初からユーザーを悩ませてきた遅延である。私がPS3を購入した当初はまだHDブラウン管であり、もちろんD端子で接続していたものだったが、ブラウン管を持ってしてもまともにゲームにならないぐらいの遅延だった。特に後方互換機能は顕著であり、シューティングや格ゲーなどはまるでお話にならず、RPGやシミュレーション限定機能、と言った感じだったのだ。
当時は抜本的な改善案が見当たらず、皆が皆それはPS3の仕様であり、こちら側ではもはやどうにもならないものだと思われていた。しかし時は流れ、機能の向上により、ブラウン管並とは言わないものの、少なくとも当時よりかは遥かに少ない遅延でプレイする事が出来るのだ。これに関してはここでも何度も触れてきたのだが、ここに来てほぼ対応策が固まってきたので、改めて紹介していこうと思う。
まず用意するものは、もちろんゲーミングモニターである。今日のテレビにはほとんどゲームモードが搭載されているのであるが、それでも最終的にはゲーミングモニターを用意するものしかないと思っている。昨今のモニターはほとんどが8ミリ秒の遅延、つまり1フレームの半分未満の数値であるので、体感できるのはほぼ不可能と言っていいだろう。なのでほとんどお好みでいいと思うが、ゲーム特化的な機能を考えた場合、個人的にはやはりBenQのものをお勧めしたい。TNであればXL2411K、IPSであればEX2510S、余程拘りがない限りこれを買えば間違いない。
そして、最大のポイントがアケコンである。理由は定かではないものの、PS3における遅延の要因がほぼUSB接続のアケコンにあるのは間違いないので、いかに応答速度の速いアケコンを用意するかであるが、実は歴代のPS3のみに対応するアケコンは全てNGである。理由はほぼ全てと言っていいほど1フレーム以上の遅延が起きるので、それらを使っている限りはまず改善される事はない。
ではどうするかだが、その答えはひとつ、「PS4・PS3両対応アケコン、かつPS4モードでもPS3を操作出来るアケコン」。これである。これに当てはまるのは旧MadCatzのTE2+、Razerの旧Pantheraなどが当てはまるのだが、安定性と遅延を考慮すれば後者一択である。切り替えスイッチを使えば一目瞭然なのだが、PS3モードとPS4モードを比べた場合、明らかに後者の方が操作が軽くなるのだ。もちろん、ブラウン管レベルとまではいかないものの、少なくとも当時の遅延が嘘みたいに軽快にプレイする事が出来るはずである。
遅延が少ないと言えばUFBであるが、こちらは自然とPS3モードに認識されてしまうため、実は上記よりも遅延が大きくなってしまう。なので、実はPS3には向かないのだ。しかし、PS2を初期型PS3でプレイする場合、何故か大抵のアケコンは操作不能になってしまうので、それに関してはUFBを使う以外はない。PS2ソフトを起動する時から立ち上げまで□ボタンを押し続けるのが必須となるが、成功すれば無事PS2をアケコンでプレイする事が出来る。
しかし、当然PS3仕様の遅延となってしまうため、PS2アーカイブスを旧PantheraのPS4モードでプレイした時よりも当然遅延が大きくなる。なので、アーカイブスがあるゲームはそれで、ないゲームはPS2実機でプレイするのがやはり一番良い。後者の場合、HDMIアダプターをかました場合は遅延が起こってしまうので、良質なコンバーターが必要となるのがネックではあるのだが。
まあとりあえず、これらの環境を用意出来れば、発売当時よりかはかなり快適にプレイ出来るはずである。また、私が試した範囲ではあるものの、初期型では反応しないアケコンがいくつかあったため、PS2を考慮に入れないのであれば中期以降のモデルが良いだろう。私が使用しているのはCECH-2500である。
そして、後方互換やアーカイブスでそれだけ遅延が軽減できるという事は、PS3用ゲームに関してはさらに快適になるのは言うまでもない。私はカプコンアーケードキャビネット、雷電IV、ワンダーボーイ・モンスターランド、そしてケツイなどのマルチタイトルを所有しているが、いずれもXbox360と比べても遜色はなくなる。雷電IVなどは、ひょっとしたらXbox360版よりも快適かも、と思うぐらいだ。
まあ、雷電IVに関してはもうすぐPS4/PS5でも発売されるので今更だとは思うし、それ以外もあえてPS3を選ぶという選択肢はないかも知れないが、それでも今なおPS3は非常に遊べるハードなので、あっても損はしないと思う。