前に触れたように、初めて購入したPSの格ゲーは鉄拳2であったが、2Dはやはり「ストリートファイターZERO」であった。アーケード版は一度しかプレイした事はなかったのだが、やはり2D格ゲーと言えばストリートファイターを置いて他ならない。画面解像度の違いこそあれ、当然その出来は旧世代機の比ではなく、アーケード版そのままと言っていいほどの出来であった。
しかし、さすがに格ゲーとなるとアクセス時間は避けようが出来ず、ステージ間では実に13秒ものアクセス時間が発生してしまう。私はPCEのアーケードカードを体験しているとは言っても、それでもさすがに10秒を超えると長いと感じてしまうものだ。当時、ゲーメストの家庭用部門であったゲーメストEXが攻略本を発行しており、私も購入したのであるが、そこでSS版は5秒程度という事を知った。その辺りから、私はSSへと昏倒しPS離れを起こしてしまうのだ。
アーケード版からわずか5ヶ月後のリリースとなった「ストリートファイターZERO2」は、PS版が先行発売された事もあり、私もこれを先に購入した。BGMが大人の事情かアーケード版のそれとは若干アレンジが異なっており、Qサウンドでもなく、さらにオープニングムービーがまさかのムービー垂れ流しという衝撃などもあったものの、ゲーム内容自体はほぼアーケード版と遜色ない出来であった。
こちらのSS版はほぼ1ヶ月後に発売されたが、ボイスこそノイズ混じりなものの、オープニングムービーが自然であり、さらにアルファの隠しキャラなども使えたりするなど明らかにPS版を上回っていた。その他「極上パロディウス」なども圧倒的に出来が良かった事から、前述のようにこの辺りから一気にPSの稼働率が下がっていってしまった。
よってしばらくはSS中心に回っていくが、久々に購入したソフトが「新日本プロレス闘魂烈伝」とその続編である「2」であった。前者はまだのっぺりしたポリゴンであり、いかにも初期というゲームであったが、後者はテクスチャが貼られ、さらにアントニオ猪木が史上初めて実名でゲームに登場、という話題もあった。
まあ、猪木をモデルとしたレスラーが登場するゲームなどいくらでも存在したので、キャラの目新しさはなかったのであるが、それでも実名、かつカバーバージョンとは言え炎のファイターが実際に流れるのはやはり一味違うものだ。また、当時はFFVII発売前夜という事もあり、スクウェアが立ち上げたデジキューブのおかげで、コンビニでPSソフトが購入出来るようになっていた。
まだ新品を扱えないゲーム屋も多かったので、これは便利ではあったのだが、流通が広がる事につれて定価販売オンリーのデジキューブは次第に窮地に追いやられてしまった事は周知の通りだ。しかし、それはまだ数年後の話であり、ネット黎明期にソフトがほぼ確実に買えるというのはやはり革命的な発想だった。