「グラディウス」シリーズと言えば、1980年代のゲームシーンを代表するアーケードゲームの大金字塔である。もちろん家庭用にも何度も移植されてきたこのシリーズであるが、ハード性能の違いにより完全移植に至るものはひとつもなかった。最もアーケードに近い移植としては、かのX68000用があるものの、当時の定価で40万円近くする代物だっただけに、余程裕福な家庭でない限り高嶺の花に過ぎなかった。
それが、遂に次世代機においての移植が発表された。私はどの雑誌を読んでその一報を知ったのかは覚えてはいないが、待ちに待った待望の完全移植にそれは胸が躍ったものである。もちろん、かつての家庭用のように家庭用オリジナルステージなどはない。完全にアーケード版を元にした移植である。
その発売日は忘れもしない1996年3月29日の金曜日だった。当然、それまでにハードを買う事は必須であるが、当時のコナミやカプコンはマルチプラットフォーム展開をしており、こちらも例に漏れる事なくPSとSS両ハードで同日発売が決定していた。当時、両ハード共に初期の定価からは大幅値下げがなされており、資料によれば1996年3月当時、PSは29800円、SSはなんと脅威の20000円ジャストまで値下がりしていた。
普通にグラディウスをプレイするだけであるならば、断然後者である。発売当初の44800円から、わずか1年半も経たないうちに半額以上の値下げである。もちろん、当時であってもSSの2D性能は一線級であっただけに、これだけのハードが20000円で購入出来るというのは脅威的な事であった。
ただ、ひとつだけSSには致命的な弱みがあった。それは、メガドライブでは参入していたはずのナムコが、SSにはソフトを供給していなかったのである。一応ライセンス契約は結んでいたとかの話は聞いた事はあるが、出していなければしていないも同然。という訳で、当時のナムコソフトをプレイしたいのであればPSを買う以外の選択肢はなかったのだ。
つまり、PSに興味を抱いたきっかけとなったナムコミュージアムをプレイしたければ、初代PSを買う以外はない。それだけの理由で、ソフト発売5日前の日曜日に遂にPS本体と、HORIのファイティングスティックを同時に購入したのである。グラディウス発売1日前に24800円に値下がりしたとあるが、私が購入したお店ではすでに24800円となっていたので、別に損はしてはいない。ただ、後にファイティングボックスと称した本体が同価格でコントローラー2個ついていたので、それを知った時は損したなとは思った。
また、私が購入したお店は相模原市相模が丘に存在したブックオフである。神奈川県相模原市はブックオフのお膝元なので、全国的に有名になる前からかなりお世話になったものだ。今の感覚で言えばブックオフでハードを新品で購入するイメージは皆無に等しいと思うのだが、何故かこの当時は新品が扱っていた。アケコンもしかりである。それだけゲームに力を入れていた店舗であったし、割と盛況でもあったと思うので、いつの間にかなくなっていたのはショックだった。