まだ10代の頃、どんなに上半身の筋トレを自重で行っても、ブルース・リーやミル・マスカラスのような逆三角形の身体になれず、どうして?と疑問に思っていた事があった。まあこれも説明するまでも無いが、どんなに大胸筋を鍛えても、広背筋の広がりがない限りあのような肉体にはなれないのである。
しかし、この部分は自重では非常に鍛えづらい場所である事も確かである。なので、筋トレを始めてしばらくしても、どうしてもあのような美しい肉体にはなれなかった。そんな時に大きなヒントとなったのが、私の人生に大きな影響を与える事となったフルコンタクトKARATEのムックである「格闘ボディの作り方」において、ヒクソン・グレイシーのトレーニングが紹介された事だった。
グレイシー柔術が、ウエイトを一切使わない事は当時からすでに知られていた。しかし、見ての通り、ヒクソンの身体は惚れ惚れしてしまうほどの完璧な肉体である。イコール、ウエイトを使わずとも、あのような身体を作り上げる事は不可能ではない事を同時に示していた。そんなヒクソンが行っていた自重トレーニングのひとつが、帯を使った懸垂だ。「これだ!」と思った私は、当時存在した地元のスポーツショップで柔道の帯を買い、ベランダに繋がる外階段に引っ掛けて懸垂を行なった。
構造上、どうしても帯が破れてしまい、また引っ掛けぱなしで雨でもそのままにしておいたので、何度か買い換える羽目にもなってしまったのであるが、効果は抜群であり、次第に広背筋がついていった。それでもなかなかブルース・リーのような広がりを得る事は出来なかったものの、それでも一般人と比較すれば完璧な逆三角形である。そのおかげで、ようやく見栄えの良い肉体を得る事が出来たのだ。
しかし、当然の事ながら、一般的な家庭において帯を引っ掛け、さらに人間の体重を支える事の出来る場所などそうそうある訳がない。さらに、自分の場合は運良く存在はしたとは言っても、その時だけ外に出なければならないのは億劫だった。当然、雨の場合は濡れてしまうし、やりたくてもやらない事の方が多かったかと思う。
それを解決してくれるアイテムとして、チューブトレーニングなるものも存在する。かつて、元新日本プロレスのレフェリーだったミスター高橋氏が宣伝していたあれである。スポーツ用品さえ扱っているお店であれば、ほぼどこでも売られているはずなので、それさえ使えばある程度負荷をかけたトレーニングも出来るし、広背筋もつける事が出来るだろう。しかし、私の経験上、やはりウエイトや器具に比べると、今ひとつ鍛えている実感が薄く、長続きもしなかった。
そんなある日、あるガジェット系YouTuberがドアジムなるものを紹介していた。それまで全く存在すら知らなかった私であったが、調べてみると筋力をつけるには非常に効果的なアイテムである事を理解した。これは前にも触れたように、今年の4月下旬に購入し、2日に1度のペースでトレーニングを行なっている。最初は1回もキツかったが、何度も繰り返していくうちに10回は軽く出来るようになった。たかだか10回であるが、自衛隊の最低回数が8回らしいので、一般人にとってはそれなりにきつい回数である。当然、それはセット数を考慮しての事なので、それを考えなければ15回、逆手であれば20回は出来るようになった。
さすがに、プルアップ器具のように腕を限界まで下げるのは厳しいので、それに比べたら広背筋をつけるのは難しいかも知れない。しかし、それでも購入以前よりも、確実に広背筋がついているのは分かる。当然、力そのものもついている事も実感出来るし、実際に上腕二頭筋が2cmほど増えていた。握力や筋力が増えると、当然のごとく重いものを持ち上げる事が非常に楽になるため、日常生活でも大いに役に立ってくれている。そして、これも前にも触れたのだが、世の中には男が思っている以上に筋肉を好む女子が多く、異性受けもいいのだ。
昔フジテレビで放送した内容によれば、女性がプロレスに最も惹かれる部分というのが「筋肉美」との事である。実際、プロレスラーは国内外問わず非常にモテる。ストレス解消にもなるし、という訳で筋トレのデメリットはほとんどないと言って等しいので、少しでも興味が沸いたらすぐにでも始めるべきである。