コンポーネントの換装 | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

昨今のロードバイク熱の高まりによって、長年の願望であった、13年ほど前にフレームセットで購入したレッドカラーが眩しい2007年MadoneSLの、6600系アルテグラからのR7000系105へのコンポーネント換装をとうとう実現した。

 

ずっと、かつてはツールドフランスをも駆けたこの高性能なOCLVカーボンフレームを活かさない手はないか、と思っていたのであるが、一番の障害となっていたのは11速化によるホイールの交換だった。コンポーネントだけならまだしも、ホイールも込みとなったらそれなりの価格はする。これまで使用していたのがEastonの4万円弱程度のものだったので、最低でも同等レベルを購入する必要がある。しかし、そうなると軽く10万を超えてしまうので、ずっと躊躇っていたのだ。

 

なんとかホイールを交換せずに11速化できないものか、と色々調べていたのだが、ここで朗報。なんと比較的新しい、CS-HG800と言う11-34Tのスプロケットは、そのまま10速ハブに付けられるというのだ。かなりのワイドレシオとなるので、その辺りはまた迷う材料となってしまうのだが、現状この方法しかないし、坂の多い地元の特性を考えたら役に立たない事はない。と言う訳で、このスプロケットの存在のおかげで、とうとうフル換装を決意したのだ。

 

で、かつては自転車専門店のネットショップでパーツを全購入していたものだが、今回は全てAmazonで揃えた。一応、国内他店との比較もしてみたものの、それでもやはりAmazonが最安だったので、プレミアムメンバーの私はまとめてコンポーネントを購入した。しめて59000円ほどだったと思う。完成車は対面販売が基本なだけに、まだ街の自転車屋の需要は消えないのであるが、それでも一部メーカーを除き、ほとんどのパーツがAmazon、しかも格安で購入出来てしまっては、リアル店舗にとってはかなりの打撃であるかと思う。

 

コンポーネントの交換における最大の難関は、もちろんデュアルコントロールレバーである。もちろん、過去に経験があるとは言っても、ロードの場合はまずバーテープをはがす所から始まるので、MTBなどと比べるととても面倒くさいのだ。バーテープもおそらく10年以上交換していないものだったので、案の定ボロボロに剝がれてしまい再利用出来なかった。すぐに、Amazonで最初に出てくる980円のを購入したのだが、思ったよりも出来が良く、満足だった。

 

105も、最新のデュラエースを元としてデザインされているので、ディレイラーなどは以前と勝手が若干違い戸惑ったものだったが、なんとかネットの情報とにらめっこして無事にアッセンブルが出来た。BBや、スプロケの脱着も専用工具が必要であるが、これも私はまだ所有していたし、経験もあるので何事もなく交換が出来た。

 

もちろん、スプロケもそのままつける事が出来たし、思ったよりも簡単に11速化が完成した。しかし、タイヤが23cのままだった。今の主流は完全に25cであり、多少でもパンクのリスクも減らしたい私はどうしても25cでなければ気が済まなかったので、すぐにAmazonでコンチネンタルの5000を購入した。2本で11000ほどとかなり高価なタイヤであるが、それだけの価値がある素晴らしいタイヤである。私は長年ミシュランのプロレースを使用していたが、若干パンク耐性が良くないので、評価の高いコンチネンタル4000に交換し、それ以来ずっとコンチネンタルである。その4000も素晴らしかったが、5000はそれ以上だ。

 

翌日届き、すぐに装着していったものの、元のEastonのリムがやけに細い。よく表記を見ると、なんと13mmしかない。無理して付けようとしたが、非常に硬く、チューブもダメにしてしまった。そこで一瞬絶望を感じてしまったが、まもなく、赤Madoneを購入して以来、ほとんど乗っていない7800系デュラエースを身にまとったMadoneSLが眠っている事に気づいた。神に祈る気持ちでボントレガーのレースライトホイールのサイズを確認すると、15だった。主流の17よりかは細いが、これならなんとか25cも入るだろう、神に祈る気持ちで取り付けにかかった。

 

さすがに17mmよりかは取付け辛かったが、それでも辛うじて取り付ける事ができ、チューブも問題なく入れられた。これでタイヤも問題ない。しかし、10年以上もリムテープを交換していなかった事もあり、スポークの穴が完全に食い込んでいたためこれではパンクのリスクが高すぎる。よって、またAmazonでビットリアのリムテープを購入し、後日換装した。

 

チェーンの取り付けなどはお手の物のはずだったが、基本通りにアウターローで決めた所、どこをどう間違ったか明らかにチェーンの長さがオーバーしており、これも改めてアンプルピンを購入し、後日再度やり直す羽目となった。一度失敗してしまったが、2度目で成功した。自身は初のロングケージと言う事もあり、こちらは若干調整が難しいとの事だったが、確かに若干時間はかかったものの、なんとかほぼ完璧に動くように調整出来た。

 

ペダルも最初に購入するのを忘れてしまったため、これも後日になって購入し取り付けた。もちろん、SPD-SLであるが、105クラスであっても軽く1万は超えていたため、ペダルにそこまで金をかけたくない私としては一番安いやつを選んだ。ペダルレンチでつける所に若干の安っぽさを感じてしまったし、重量も軽いとは言えなかったが、着脱のフィーリング自体は大きな差は感じなかったので、これで十分だった。また、これには黄色いクリートが付属してくるが、私は一貫して赤オンリーなので無用の長物だ。

 

そして、最初のパーツ購入から5日目にして遂に完成した。元々フルアルテグラだった事もあって、若干の重量増な感じもしないでもなかったが、まあグレードからして仕方がない。しかし、当然ながらSTIレバーの感触や、ブレーキの剛性などは15年以上前のアルテグラよりかは遥かに上である。しかし、逆にEmondaALR5にアッセンブルされている5800系との大きな差は感じなかったものだった。

 

そして、スプロケットの歯が全て2T以上の刻みと言うのも、クロスレシオに慣れた自分としては思った以上にやり辛かった。一番良く使う位置すらクロスではなく、一段変えただけで一気に重くなってしまうため、ケイデンスの維持が難しいのだ。正直、これなら3万円ぐらいのホイールを買ってでも、11-28のスプロケットを使用すべきだった、とすら思ってしまった。一応、Wiggleにちょうどいいのがあったので、金に余裕が出来たらまた交換するだろう。

 

そして、ここ最近はずっとEmondaオンリーだったので、やはり剛性感もあってか踏み出しの重さが気になった。TREKのラインナップ中、Emondaは最も山岳を意識したモデルだけあって、非常に踏み出しが軽いのが特徴であり、街乗りメインの私にとってそれは絶大なる効果を発揮してくれるのだ。それ故に、剛性感に若干乏しく、特に高速域でスピードが出辛いという弱点も併せ持ってはいるのであるが、街乗り時では明らかに踏み出しが軽い方が楽である。

 

なので、そんな違いもあり、わざわざ10万近くもかけて換装した事を若干の後悔もしてしまったのであるが、馴染んでくるに従ってその気持ちは薄れていった。確かに、踏み出しではEmondaに負けるものの、それはワイドレシオのスプロケットがカバーしてくれた。上り坂でもしかりである。そして、やはり同じギアで漕いでいても、高速域での伸びが明らかに違う。あのランス・アームストロングを勝たせるために作られたフレームなのだから当然ではあるのだが、やはりプロの使用に耐えるだけの剛性だな、と改めて実感したものだった。

 

そして、やはりフルカーボンなだけあって、振動吸収性は桁違いに素晴らしい。人に言わせると、これでもカーボンの中では弱い方らしいが、それでもアルミと比べたら雲泥の差である。EmondaALR5のフレームも、かつてのアルミとは比較にならないほど振動吸収性は高いのではあるが、やはりそれでもアルミはアルミである。明らかにカーボンにはかなわない。今では珍しい、ホリゾンタルフレームと言うのも吸収性が高い要因だろう。

結局、しまいには「やっぱりカーボンにはかなわないよな」と思うようにもなってしまった。もちろん、同じカーボンとは言っても、前述のようにツールドフランスを駆けたOCLVカーボンである。その辺りのカーボンとは事情が違うのだ。確かにフレーム自体は15年近く前であり、軽さと言う点では劣るものの、私のようなアマチュアにとってはまだまだ現役バリバリである。

 

EmondaALR5のあまりの出来の良さに、趣味の範囲であれば別にカーボンなんて要らないだろう、とずっと思っていたのであるが、やはりプロ仕様のカーボンを味わうとなかなかそうも言ってはいられないものだ。10万近くかけて、換装した甲斐があったと言うものである。