私にとっての初めてのiPhoneは、2012年2月に購入したiPhone4Sである。スティーブ・ジョブズの最後の遺産として今でも名機とされるこの4Sであるが、当時の日本ではソフトバンクとAUしかiPhoneは扱っておらず、私の一家がずっと契約していたドコモはひとり蚊帳の外の時代であったのだ。もちろん、当時すでにアンドロイドのスマホ自体は存在したものの、かつての家庭用ゲーム機=ファミコンの如く、スマホと言えばiPhoneが絶対な時代であったため、正直「iPhone以外の」スマホの存在などはほとんど眼中になかった時代だった。
そんな経緯もあって、今も変わらず日本人は世界でも有数のiPhone大好き民族となっているのだが、長年一家で契約し続けたドコモから乗り換えるのはそうそう簡単にはいかない事であったので、iPod Touchを愛用していた私としてはどうしてもiPhoneが欲しかったのであるが、そんな大人の事情により断念せざるを得なかった。
そんな時にやってきたのが、2012年2月に行った香港研修である。リアルタイムの日記で触れているよう、担当者が蒸発してしまったがために@黒歴史」と化しているこの研修なのであるが、それとは別に香港でSIMフリーのiPhone4Sを入手する、という目的もあった。まずはCentralのアップルストアまで買いに行ったのであるが、理由は忘れたが何故かこの店はおろか、周辺でも買う事は出来なかった。色々中心街をさまよったあげく、具体的な場所こそ忘れたものの、確かMong KokかSham Shui Poのアップルリテイルストアにてようやく買う事が出来たのだ。
すでに生活に不自由しない程度の英会話は出来たので、すんなり買う事が出来たものの、私が日本人であるという事をしった女性店員が、それまで不愛想だったにも関わらず、店を出る時に照れ臭そうに日本語で「ありがとうございました!」と言ってくれた光景は実にほほえましかった事を機能の事のように覚えている。それから、香港滞在中の3週間は、誰でも買えるローカルSIMを挿入して使っていった。
そして、もちろん日本に帰国後も、ドコモショップでSIMオンリーのクロッシイ契約だけを済ませて、念願だった「ドコモの契約でiPhone4Sを使用」する夢がかなったのだった。しかし、数ヵ月も立たないうちにWi-Fiが繋がらなくなり、3G回線のみで使用する羽目となってしまった。当然、これでYouTubeを見続ける事は厳しいので、泣く泣くドコモを諦めてソフトバンクに乗り換えたのだった。
一応、その前にその壊れたSIMフリーiPhone4Sを、渋谷の修理ショップに持っていたりもしたのだが治る事はなかった。そこで、ソフトバンク契約後に、ダメ元でアップルの修理に頼ったのだが、なんと海外購入にも関わらず修理を受け付けてくれたのだ。しかも、SIMフリーのままである。当時、まだ日本のアップルストアではSIMフリー版は販売されていなかったので、ヤフオクで売ったところかなりいい値段がついたのであるが、契約してしまった以上その後2年以上ソフトバンクのまま使い続けていった。
つまり、iPhone5シリーズは全てスルーしていったのであるが、その理由としてはiPhone4Sがスティーブ・ジョブズの遺産であった事、つまり3.5インチこそが究極である、という勝手な思い込みをしていたため、どうしても単に縦長にしただけとしか思えない安直なデザインの5は買う気にはなれなかったのだ。2013年のiPhone5Sから遂にドコモが参入したのにも関わらず、である。とは言っても、4インチとライトニングケーブルを試したいがために、iPod touchだけは買いなおしたのであるが。
しかし、2014年を迎えるとさすがにアプリを開くのにも時間を要するようになる。一度キャッシュをリセットしたりすれば改善はされるのであるが、さすがにそのもたつきを覚える動作には我慢がしきれなくなっていった。そして、9月にiPhone6が発表されるが、こちらは画面サイズのみではなく、外見が丸みを帯びるようになり全く新しいフォルムへと生まれ変わった。一目で気に入った私は、1ヵ月後ぐらいして町田のよどばしにてとうとう2年半ぶり機種変更、そしてドコモへと返り咲いたのだ。
もちろん、あまりの処理速度の違いに感動の一言、あれほど時間がかかっていたFacebookを開くのにも一瞬と、2年以上にも渡り3.5インチに拘ってきた自分がバカみたいだ、と思ったほどである。さらに、カメラの画質も大幅に向上、当時すでに一般化していたInstagramをはじめ、ネットにアップロードするぐらいであればデジカメなどいらないほどの性能を誇るようになっていたのだ。
事実、当時セルカ棒などと呼ばれていたセルフィースティックがアジアを中心に普及し始めた事もあって、私自身もこの頃から海外旅行においてデジカメを使用する頻度が激減した記憶がある。まだ画質そのものはデジカメの方が上であったのだが、すでにPCでSNSを更新する時代は終わり、スマホでアップロードするのが当たり前となっていた以上、利便性という点では全くデジカメはスマホに及ばない時代となっていたのだた。
翌2015年4月からの、3ヵ月に渡るアメリカ生活においても、もちろんiPhone6は重宝していた。しかし、まだSIMフリー化は不可能であり、さすがに新たにSIMフリーのiPhone6を買う余裕などはなかった事から、その間は格安アンドロイドスマホに現地のSIMをかませて使用していった。しかし、現地の電波の事情かなにかは不明であるが、かつてのアナログモデムほどに回線が遅く、電話ぐらいしかまともに使える道がなく大変不便を強いられたものだった。
まあそんな思い出もあり、このiPhone6は今でも思い入れのある機種であるのだが、同年9月にiPhone6Sが発表されると、新たなフィーチャーの3Dタッチ、そしてライブフォトに非常に魅力を感じた私は、「これは買うしかない!」と即決し、iPhone史上初めて発売日前に予約し、発売日の朝にヨドバシカメラに出向き、あれほど気に入っていたiPhone6をあっさりと機種変更したのだった。