香港・深水埗 | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

日本で電気街と言えば秋葉原であり、ほとんどネットショップで済ます今となってはそうそう足を運ぶ必然性はなくなってしまったが、それでもゲームやPCに関心があるならば、歩き回っているだけでも楽しくなってしまう街である事は間違いない。

 

当然、海外でもそのような街があると聞くと、自然と訪れたくもなってしまうものだ。深センで言えば華強北、そして香港で言えばもちろん深水埗(Sham Shui Po)である。香港好きのバイブルである「転がる香港に苔は生えない」の著者である、星野博美さんが返還当時住んでいた街としても有名であるが、やはり深水埗のイメージと言えば電気街だ。

 

とは言っても、秋葉原のようにきらびやかな印象はなく、全体が昔のラジオデパートのように電化製品の露店がずらりと並んでいる印象のほうが強い。Cheung Sha Wan Roadを挟む東西でかなり街の印象が異なるものの、個人的には西九龍中心(Dragon Centre)が存在する西側で降りる事が多いので、スマホやデジカメなどを扱う露天商がずらりと並んでいる印象のほうが強いものだ。因みに星野博美さんが住んでいたAp liu Streetもこちらである。

 

スマホに必須なものがSIMカード、と言う訳で、この付近にはそれを売る露店が多数存在する。香港は法律上SIMロックがかけられないので、スマホ黎明期からSIMロックフリーバージョンのスマホしか存在しない。もちろんiPhoneもなので、日本で公式にキャリアがSIMロック解除を受け付けるまで、香港はSIMフリースマホ天国などと言われたものだった。実は私も2012年2月の香港滞在の際は、すぐにこの深水埗まで足を運んでiPhone4Sを購入し、帰国後もしばらくはドコモのSIMカードを入れて使用していたものである。

 

今では前述のように、キャリア版でもSIMロック解除、さらにアップルストアでの公式SIMフリーバージョンの販売も解禁されたので、輸入版スマホの価値は激減したものだ。当時は旅行の度に怪しげなツールを挟んで、現地のSIMを使用していったものである。

 

さて、その当時はネットでも香港のローカルSIMカードの紹介などがされていたのだが、あいにく空港や尖沙咀では容易に見つける事が出来なかった。そこで日本の秋葉原の如く、「電化製品ならなんでもあるだろう」と言う最終手段がこれこそ深水埗である。2016年頃に香港政府から旅行者に特化したディスカバーSIMが発売されるまで、尖沙咀の宿で休んだ後に真っ先に向かったのが常に深水埗であったのだ。

 

そういう意味では私的にも馴染み深い街であるのだが、前述のようにディスカバーSIMが容易に空港で入手出来るようになった事もあり、行く必然性はなくなってしまった。同2012年、Wifiルーターを求めて東側のGolden Computer Centreにも足を運んだ事があり、英語で色々相談した思い出もあるのだが、さすがに最近はPCそのものに疎遠だったので数年は行っていないと思う。向こうはすぐに広東語で話しかけてくるので、じっくり見られないし、いちいち日本人だと説明するのも面倒なので行きづらいのだ。

 

そして、深水埗もうひとつのお目当てが西九龍中心(Dragon Centre)と言う小規模なデパートである。尖沙咀や香港島の洒落たデパートとは異なり、完全にローカル香港人向けの庶民的なデパートだ。それだけにそういう雰囲気を求めてたまに行くこともある。そして、今は多分なくなったかも知れないが、少なくとも2013年まではAKBの公式ストアが存在し、私自身も別にファンでもないのに訪れた事がある。店員は香港人であるが、片言の日本語でいらっしゃいませ、と言ってくれた記憶もある。

 

で、運よく2013年の滞在中、当時大人気だった(と思う)まゆゆこと渡辺麻友の握手会があった。この公式ストアでグッズ購入が参加条件だったので、せっかくだから買ってみるかと思ったところすでに終了していた。しかし、行くだけならタダだったので、上から本物の渡辺麻友を見る事が出来た。芸能人だから当然だとは思うが、さすがに生まゆゆは恐ろしいほど可愛く、やはり本物のアイドルは一般人とはレベルが違うな、と実感したものである。

 

それでずっと上の階から見ていたのだが、握手会とはいいつつも一瞬で手を引き離されており、確実に1秒もないだろう、と言う感じであった。正直これはないだろう、と同情したものであるが、万が一の事があればいつでもバリケードを突破出来るような作りだったので、まあ致し方なかったのだろう。

 

前述のように、今では行く必要があまりない街となってしまったが、それでもMong Kokからもほど近いだけあって、ついでに訪れる事はままある。2019年の香港プロテストの際も割と平和だったような感じがするので、その辺は安心して出歩けたものだった。