香港のマクドナルド・その1 | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

アメリカでのマックは以前詳しく触れたものの、これまで数十回も通い詰めてきた香港のマクドナルドに関してはほとんど触れてこなかったと思うので、今更ながら触れてみる。

 

美味しい広東料理屋、そして大家楽などのローカルチェーンもそこらへんに溢れている香港、あえてマクドナルドに行く理由など見つからないと思うだろうが、個人的にはこれが香港滞在時の最大の目的のひとつでもある。私が香港に着いて最初に抱いたイメージは、少なくとも日本よりかは5年は進んでいるであろう「未来都市」であったが、それはマクドナルドにも確実に当てはまる。

 

最初に訪れたのは2011年2月、尖沙咀と香港島・金鐘付近の2店舗であったが、9年前だけあってメニュー以外にさほど目新しいものはなかったものの、全店オクトパスカードによるキャッシュレス決済が可能であったのには非常に新鮮だった。以前も触れたと思うが、このオクトパスカードと言うのは現地人はもちろんの事、旅行者にとっても必須な香港版SUICA、かつソニーのFelicaが初めて採用された世界初の公共交通機関、かつ買い物用のチャージ式ICカードでもある。

 

今でこそ日本でもかなりの場所で対応しているが、9年前の日本はキャッシュレスと言う言葉すら一般的ではなく、決済は現金が当たり前、もちろん私自身もそうであった。そんな時代に、突然タクシー以外ではほぼ現金不要な世界に飛び込んでいったのだから、その便利さにはそれはそれは衝撃を受けたものだった。それ以降、ずっと日本でもこんな風になればいいな、と思っていったのであるが、2015年頃にIDを本格的に使い始めると、以降現金を使う機会と言えば医者か、PASMOにチャージをする時ぐらいであった。

 

それが、昨今の肉体改造により医者へ行く必要もなくなり、そしてそして遂にPASMOがiPhoneに正式対応した事で、ほぼ完璧に近い形でキャッシュレス生活をコロナ禍真っただ中の2020年に実現する事が出来たのだ。あの初の香港滞在から実に10年近い月日が経った今となって。

 

少し脱線したので、またマックの話に戻そう。2011年9月以降、年に1,2回の香港滞在が常態化していくようになったが、そうなってもマックは楽しみのひとつであった。日本では今一つだったメニューにクォーターパウンダーなるものがあったが、香港では数年前までそれにアレンジを加えたビッグンテイスティなるバーガーが存在していた。日本では基地店舗のみに存在していたので、元々はアメリカのメニューであったのだが、これがなかなか美味しく、滞在時はここぞとばかりに食していった。

 

そして最大の目玉と言えたのが、マックカフェだ。日本で正式に展開されたのは2012年4月に開店した、今は亡き原宿表参道店からであったのだが、香港では2007年から展開していたという。つまり、それまでは完全に香港に居る時しか楽しむことが出来なかった、と言う訳だ。もちろん、通常のドリンクよりかは高額なのだが、当時はまだ超円高時代であり、1HKD=15円ぐらいがちょうど良いと言われるの関わらず、1HKD=10円という超破格であったので、安ければ200円程度で買えたのだ。当然、ここぞとばかりに飲みまくっていったのは言うまでもない。

何故、ここまで香港が少なくともアジアでは最先端を行っているのか、と言う理由であるが、単純に考えればそれは当然である。まず、香港島や尖沙咀周辺はとにかく多民族であるので、どの民族が何を好むかと言うマーケティングに絶好の環境である事。そして、何よりも英語通用度の高さだ。中環や尖沙咀であれば、カウンターで英語が通じない事などまずありえないが、移民が多い新界北部の高齢者クルーでは通用しないのはごく普通だ。そんな時、大抵はMGRを呼ばれるのであるが、無論英語が通じない事などありえない。もちろん、現地で雇用された事もないし、内部も見た事はないとは言え、香港の就労事情を考えたらMGR以上に昇進するためには英語力が必須である事ぐらいは容易に想像がつく。

 

さすがに、クルーへの情報伝達などは英語と中文の2種類はあるだろうが、社内メールなどは全て英語だろう。それはグローバル企業と言う理由だけでなく、それが香港では一般的だからである。イコール、正社員であれば英語堪能など当たり前。と言う事は、単純に考えたらアメリカ本社との意思疎通も容易であるし、また彼らが視察に来たりしたとしても、通訳を通さずにダイレクトにコミュニケーションが可能、と言う事だ。それだけでも、香港が日本や台湾よりも、アジアにて重要なマーケティングの要素を全て兼ね備えている事が分かるだろう。

 

しかし、前述したように、英語が通じないカウンタークルーも多いのは確かであるし、また英語は理解出来ても、商品の英語名が分からなかったり、さらには広東語訛りの発音でないと聞き取ってくれなかったりもする。そのため、いつも自分は英語で注文しつつも、常にセットの番号を言っていたし、ドリンクもほとんどコーラで済ましていた。それが一変したのが、日本では未だに正式採用が見送られているセルフキオスクである。

 

記憶にある限り、最初に使ったのは2016年頃であったかと思うが、とにかく発音の壁を一気に取り払ってくれたその機会は非常に便利であり、それ以降それがある店でしか買い物はしなくなった。とは言っても当時はまだ都市部に限られていたので、当然注文できる店は限られていたのであるが、昨年時点ではほぼ9割方は設置されていたので、どこに行っても注文出来たものだった。

 

それをさらに進化させたのがモバイルオーダーである。日本でも2020年の頭ぐらいから開始されたと思うが、香港はやり方が異なり、オーダーを完了したらお店にあるQRコードでオーダーを飛ばす。日本では任意の店舗を選んで飛ばすようになっているが、万が一このやり方だと店舗を間違える可能性も無きにしも非ずなので、それを未然に防ぐためにも香港式の方が良いかもしれない。まあいずれにしてもモバイル可能である事は間違いないのであるが、当然これが開始されてからはこれだけでしか注文していない。

よって、すでに香港ではデジタル方式が浸透しているので、ほとんどの人がそれで注文しているのだが、不思議な事にそれだけ普遍化していても、有人カウンターに並ぶ人は居る。むしろ多い。さすがにどの店でも1台程度であるとは言え、いまやスマホがライフライン、あって当然、ない生活などありえないレベルの域にまで達している、と言うのに、未だに口頭での注文に拘る人たちと言うのは正直不思議で仕方がないものだ。まあとりあえず、モニターに自分の番号が即座に表示され、長蛇の列をしり目に受け取るというのは非常に快感である。

 

また、この際に必須なモニターによる受取システム、通称DPSも香港では2014年あたりから一般的になってきた気がする。当時の日本ではまだカウンター横で受け取るのが当たり前だったので、最初にこれを体験した時もなんて格好いいシステムなんだろう、と感心したものだった。

 

ここではシステム関連の話に終始したが、もちろんメニューも豊富で日本よりバラエティに富んでいる。それは次回で触れていこうかと思う。