念願の香港〜深セン間の高速鉄道に乗ってきた。
まずは尖沙咀から西九龍駅への行き方だが、これは重慶大厦目の前の中間道からバスが出ているので、それで終点まで乗る。バスが使いこなせない場合は、East TSTからWest Raiに乗ってAustinまで行き、そこから徒歩で行く事も出来るが、当然この場合一度逆方向へ歩かなくては行けないので、時間が不安定ではあるもののバスで行く方が良いだろう。
チケットはネットで予約も可能であるが、私がスマホで試した所本土のサイト、簡体中文しか出て来なかったので、直接カウンターで買う事にした。外国人は必ずカウンターで買わなければいけないが、香港永久居民と大陸人とは別枠になっているので、早朝という事もあったせいかさほど並ぶ事はなかった。
その後はすぐ側にDepartureゲートがあるので、道なりに進んでいき香港の出境手続きを行うが、ここから先お店は免税店がある程度なので、ここを過ぎてしまったら深センに着くまで食事処がないので要注意。そしてそこを過ぎると、いよいよ物議を醸し出した香港と大陸との事実上の国境がある。つまり、香港の領域であるにも関わらず、飛び地のように中国の法律が適用されるエリアが香港内に存在していると言う事なのだ。我ながら緊張と共に興奮もしたが、だからと言って余程変な事をやらかしはしない限りは大丈夫なので、あまり気にする事はないと思う。
しかし、その先のボーダーからはいきなり文字が簡体字に変わり、MTRの制服を着ているとは言え、スタッフも本土人で普通話が第一言語ともなるので、この時点ですでに大陸内にたどり着いてしまったかのような錯覚を覚えるだろう。もちろん、前述のようにボーダーを超えた瞬間から大陸の法律が適用されるので、それもそうなのではあるが、それでも不思議な感覚ではある。
そして、最大の難所とも言えるのが中国本土への入境手続きだ。イミグレカードのみではなく、指紋まで採取される羽目となるのだが、当然それなりの手間を要するため、場合によってはかなりの時間を割いてしまう事になるかも知れない。幸い、自分の時は香港の観光客が激減しており、白人が数人、と言う感じであったのでさほどでもなかったのだが、そうでない場合はかなりの時間を覚悟しておくべき。
そこを無事通過すると、あとはプラットフォームへ行くだけであるが、ここもまるで飛行機のゲートの如く、出発15分前にならないと進む事は出来ない。そこを過ぎれば、エスカレーターで降りいよいよ搭乗となる。
私の時は前述のように空いてはいたので、チケット購入からおおよそ45分でゲートまでたどり着く事が出来た。しかし、比較的スムーズであってもこれだけの時間を要するので、現地でチケットを購入する場合はそれこそ搭乗の1時間半前ぐらいには駅に来た方が良いかも知れない。食事の事を考えると、2時間前に来ても早くはないぐらいなので、時間には十分余裕を持ってくるべきだと思う。
一番近い駅は福田であるが、近過ぎるが故か止まる本数は少ないので、多少遠いながらも今回は深セン北駅へと向かう事にした。地下鉄も複数止まり利便性の高い駅ではあるが、地下鉄だとShenzhen North Stationと英訳されているのに、高鉄になるとピンインにしただけのShenzhenbeiのままだ。何故かは不明であるが、もちろんカウンターでは前者の言い方で通じるし、また漢字が読める日本人にとっては大きな問題でもないだろう。
深セン北駅まではおおよそ20分ぐらいで着くが、そこに着く直前までほぼトンネルなので景色を堪能する事は出来ない。つまり、香港領域内はほぼ全て地下という事だ。よくもまあ九龍の南から本土までトンネルを掘ったものだな、と感心せずにはいられない。
深セン北駅まで来たら、そのまま上に上がって出口まで行くだけであるが、ここから一気に英語表記が激減するので、漢字とは言え簡体字が並ぶ中はさすがに緊張を強いられるものだ。ATMも両替所も見当たらなかったのでかなり焦ったが、地下鉄の方へ行くと両替所も中国銀行のATMもあるので、そこで人民元を手に入れる事が出来るだろう。ATMの場合は国際カードが使えるかどうか不安であったが、無事にVISAでキャッシングする事が出来て300元引き出した。
その近くには券売機があるが、少額しか受け付けないので、1日の滞在であっても深セン版オクトパスとも言える深圳通を購入した方が良いだろう。これも100元から自販機で買う事が出来るが、まさかの簡体字オンリーなので、日本人なら大体分かるとは言っても事前にネットで調べておいた方が良いだろう。オクトパス一体型もあるが、香港経由であれば大抵の人は持っている訳で、わざわざ一体型を買う事もないとは思う。
そこからは深センメトロ中心に移動していくが、電車の中ではフリーWi-fiを接続する事が出来る。が、当然ながらここは中国大陸、ほぼ大陸オンリーのアプリしか開く事は出来なかった。幸い、百度の地図などはインストールはしていたものの、やはりGoogleもFacebookもTwitterも、当然LINEも使えないというのは不便な事極まりなかった。まあ通常であれば無理に使う事もないのではあるが、この時は香港のデモやMTRの運用事情もチェックする必要があったため、自分にとっては死活問題に等しかった。
そして、深センと言えば中国の中でも屈指のキャッシュレス社会として知られている。一応WeChatPayをインストールしてはいたが、外国人の入金はほぼ不可能になっていたため、役に立つ事はなかった。幸い、駅構内のセブンイレブンは全て深セン通に対応していたため、少量の食べ物は確保する事は出来たが、それ以外で使う場所はほとんどなかったように思う。また三井住友の銀聯カードも作ってはおいたが、こちらも使える場所は極めて少なかった。
深センに短時間滞在する際の最大の楽しみは、老街での本場の中華料理食べ歩きであったが、正直そのおかげで最初はほぼ諦めていた。しかし、行ってみないと分からないと思ったので、一応足を運んだ所、もちろん全てのお店がQRコードを出していたが、なんと現金も用意されていた。スマホ決済がなければ何も買えないと思い込んでいたが、やはり実際に足を運んでみないと分からないものだ。おかげで、何事もなく本場の中華料理を堪能する事が出来た。
帰りは深セン北まで行く事はないと思ったので、落馬州経由で帰った。香港入境と同時に、MTRが18時打ち切りというニュースが入ったので、午後4時前後に再入境出来たのは九死に一生を得たものだった。ただ、まだこの時はEast TSTが閉鎖中だったので、仕方なくホンハムから徒歩で尖沙咀へと歩いて帰っていった。
以上のような感じではあったが、空いていたとは言え尖沙咀から行くのであれば、多少高くは着くが高速鉄道経由の方が遥かに楽と感じた。久々の深センの滞在も良い経験になったし、あえて深セン通にチャージを残したままにもしているので、次回はある程度普通話を勉強してからまたいつか行こうと思う。