香港エクスプレス搭乗記 | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

香港渡航11回目にして、念願の初搭乗となった香港エクスプレス、と同時に人生初ともなるLCC。詳しい情報・時間帯などは公式サイトなどを見ていただければ分かるとして、まず第一印象と言えば、乗客の9割方が香港人であり、ほぼ香港人専用エアライン的な印象をまず受けた。

LCC特化当初は怪しげな日本語が羅列していたので、英語が苦手な日本人にとっては多少ハードルの高いものではあったものの、今ではしっかりとした日本語サイトが用意されているので、予約に関しては大きな問題はないはず。それでいて何故日本人比率があまりにも低いのは謎ではあるが、まあ日本人の日系エアラインの搭乗率の高さと、セールで安すぎるが上の外資系エアラインという不安などがあるのかも知れない。また、代理店経由などエクスペディアぐらいしか扱いがないのも大きいのかも知れない。

しかし、上記の理由を抜きにしても、実際に搭乗してみると、日本人には未だハードルが高いエアラインであるな、と実感する。まず一番は、離陸・着陸時を除き、日本語アナウンスがないこと。アテンダントも、基本全員香港人。一応、最低限の日本語は対応可能ではあるものの、やはり乗る側も最低限の英会話力はないと厳しいものがあるだろう。

逆に、私のように、日本人としてはかなり英語を介するレベルであれば、それはメリットにもなる。私が初めて人生で利用したエアラインは、フィリピン留学時に利用したフィリピン航空だ。成田発セブ行きだったので、一応日本人アテンダントも搭乗していたとは思うが、私の周りにいたアテンダントは全員フィリピン人、食事の問いかけも英語オンリーだった。

しかし、私はそれが凄く嬉しかった。つまり、英語のレッスンなどを除けば人生で初めてグローバルな環境、英語を使用せざるを得ない状況に飛び込んでいたからだ。幸い、文法力はえらく低かったものの、一応最低限の英会話力自体は備わっていたので、普通に英語を使える環境に感激と興奮を覚えたものだった。それの瞬間から、「国際線に乗る=英語が話せる環境」という認識が自然に身についていったのは言うまでもない。

しかし、それが全てではない事に気付くのに時間は要さなかった。2回目の留学時に利用したのは、香港が世界に誇るキャセイパシフィックだ。世界的なエアラインだけあって、日本人アテンダントも多数在籍、やはり前述のフィリピン航空に比べると英語の頻度はどうしても落ちてしまう。そして、ここ3年ほどずっと使用していた台湾のフラッグキャリア、チャイナ・エアラインは外資系でありながら日本語にほぼ完全対応、台湾人アテンダントも問題なく綺麗な日本語を話し、機内エンターテインメントももちろん日本語対応。そのため、「国際線」という感覚を味わえる区間は、「台北-香港間」のわずか1時間半のフライトにとどまっていた。

前回渡米時に利用した、アメリカン航空はほぼ全員アメリカン、搭乗直後からアメリカンな雰囲気を味わう事が出来たものの、少なくとも香港路線に関しては、国際線の雰囲気を味わう事はほぼあきらめかけていた。そこにきての香港エクスプレスだ。アナウンスは広東語と英語のみ、乗客もほぼ香港人オンリー。香港人はどう思っているのか分からないが、少なくとも私的には搭乗直後から香港の雰囲気を味わう事が出来るだけあって、この上ない満足感に浸れていた。もちろん、機内販売メニューは日本語も用意はされているが、まだ一部おかしな表記もあるので、こちらも基本的に英語に頼らざるを得ない、と思っていいだろう。

その機内食であるが、大体はどれも60HKD以上、炭酸飲料も25HKD、それぞれ1000円、400円と高額なので、私はいずれも試さなかった。ネットの評判を見ても、味は期待出来ない、といったレビューが多いので、出来るだけお腹を満たしてから搭乗した方がいいだろう。幸い、羽田発の深夜便でも、それなりに遅くまで空いている店も多いので、困ることはないと思われる。また、水も持ち込み禁止、と言う話も見かけたが、搭乗前に色々チェックされる事もなかったので、制限エリア内で購入した水であれば、問題なく持ち込めた。しかし、座席にそれを置く場所がないので、バッグの中に置くか手で持たざるを得なくなるが。

そして、預ける荷物に対しては重さに応じて、片道最低3000円を事前に支払わなければならず、それが料金上の大きなネックとなったため、お金をセーブするのであれば機内持ち込みオンリーが必須だ。よって、今回は初めてスーツケースなしでの渡航となったため、改めて出来るだけ軽く、それでいて容量の大きいバッグをアマゾンで購入する事となった。当然、機内持ち込みの場合は荷物の種類、特に液体やジェルなどに大きな制限が設けられるため、荷物は最低限の着替えと歯磨き類、シェーバーなどにとどめ、洗顔料やマウスウォッシュなどは現地で購入する事となった。

重さ制限は、公式サイトによると7Kgとの事だが、バックパック、ショルダーバッグいずれも重さを測られる事はなく、何の問題もなく機内に持ち込む事は出来た。しかし、あまりにも大きく、常軌を逸しているような場合があれば、何らかのチェックは入るだろう。しかし、とりあえず常識的な範囲であればほぼ大丈夫と思われる。

一般的に、LCCはぎりぎりまで乗客を詰め込むため、座席はフルキャリアに比べて大分狭いと言われている。標準的日本人体形の自分にとってはあまり心配する必要はないのだけれども、それもLCC利用時のひとつの不安となっていた。しかし、ピーチなどに比べたら広い、との話もあったので、一応まあ大丈夫だろう、との思いもあったのだが、結論を言えば杞憂に終わった。今回は運よく両方のバッグとも棚に入れられた事もあったのだけれども、少なくとも172センチの自分的には全く狭いとは感じなかった。確かに、席はやたらと垂直だな、とは感じたものの、それだけにリクライニングにも制限があるため、何度も礼儀知らずの客のリクライニングに悩まされた私にとっては、それもありがたかった。

座席指定は予約時に400円払えば可能なので、事前に後ろの通路側を抑えていった。2列x3シートの並びなので、トイレの近い私にとってはその程度で通路側の席を選択出来るのは非常にありがたい事であった。

当然、機内エンターテイメントはおろかモニターすらもないので、エマージェンシー用具の使い方は離陸直前にアテンダントが通路で実演する。これももちろん初めてであるが、ちょっと照れてる様子もあってほほえましかった。中華圏、特に香港人女性は、接客業であっても見知らぬ人に対して不愛想に振る舞うのは、香港滞在経験者にとってはよ~くご存じだろうと思うが、今回のアテンダントに対してはそういった印象は全くなかった。サービスにうるさい日本路線、と言う事もあるかも知れないが、キビキビ動くし、愛想も良かったので、それに対しては非常に好印象だった。特に、帰りの便には自分好みの子がいたので、どうにかして絡みたい、とも思ってしまった。

羽田発の便はボーディングブリッジであり、ゲートもそう税関から近かったので便利だったが、香港国際空港ではLCCならではの我慢を強いられる。到着、出発いずれもタラップ使用でバスに乗ってターミナルに向かう。到着時はアライバルまで割と近かったが、出発時はターミナル2からであり、しかもシャトルに乗ってターミナル1に向かう羽目となるので、パスポートコントロールからゲートまでそれなりの時間を要する。そして、ゲート前も自販機がある程度なので、制限エリアに入るまでに、お腹を満たしておくのが良い。幸い、ターミナル2の作りはモールのような感じであり、セブンイレブンもあるのでお買い物には全く不便を要さない。展望デッキやシアターもあるので、なくて残念なのはマクドナルドぐらいだろう。

因みに、当然入国前にはアライバルカードに記入しなければならず、それを知っていた私は機内で記入したのだが、何と香港からのデパーチャー用だった。記入していた何かおかしいな、と思ったのだけども全く気付かず、入国時に言われて初めて気付いたので、せっかく前の方に並んだのにまた並びなおす羽目になってしまった。早朝時はカウンターの空きも少ないので、余計な時間のロスとなってしまった。それでもまだまだ早朝の5時半、大きなダメージとはならなかったものの、今後のひとつの課題となった。

早朝であっても、さすがにアジアのハブ空港である香港国際空港はすでに沢山の利用者で賑やかだ。しかし、セブンイレブンを始め、ほとんどの店が開いてはいるものの、その時間帯ではようやくエアポートエクスプレスが動き出す頃であり、さらに中心街へ向かったとしても夜型の香港、マック以外どこの店も開いていない。よって、自分もとりあえず大好きなマックのブレックファーストメニューで朝食、と計画していたものの、予想以上の長蛇の列。国際空港、しかもアジア最大級の空港のマックは、いついっても大混雑であるものの、今回はオーダーまで下手すれば30分以上、もありえたので、仕方なく断念し、ATMで現地通貨引き出しと、セブンイレブンでオクトパスカードへのチャージ、飲料の購入を済まし、バスで尖沙咀へと向かった。

空港から市街地への最安手段は、S1のバスで東涌線駅へ向かい、そこから東涌線に乗って九龍、香港駅へと向かう。尖沙咀へ向かう場合は、前述の駅からでは多少面倒なので、途中の南昌駅から西鉄線に乗り換え、尖沙咀東駅まで行き、そこから徒歩で重慶大廈へと向かうのがベストで、トータル20HKD強となる。A21のバスだと33HKDかかるので、円安の今13HKDの節約は大分大きい。ただ、もちろん事前に分かってはいたものの、早朝しかもまともに寝れたかどうか分からない状態ではさすがに面倒に感じたため、高いのを承知しつつバスで向かう事を選択してしまった。

通常、どの空港経由バスも2階立てがデフォルトであるのだけれども、今回は早朝便という事もあるせいか何と1階のみ、せっかく2階から青衣大橋の絶景を眺める事が出来ると思ったのに拍子抜けしてしまった。しかし、さすがに早朝だけあって交通量が少なく、さらに1階立てだけあってスピードも速かったためスイスイ進み、通常1時間近くの所を30分ちょい、あっという間に重慶大廈に着いてしまった。

その時点でまだ7時半、中節秋の休日と言う事もあって、いつもなら大混雑のNathan Roadが初めてみるゴーストタウン状態だった。幸い、重慶大廈2階の大家楽は開いていたので、そこで朝食は取れたものの、まだチェックインは不可能状態。しかし、荷物は預けられたため、仕方なくフェリーターミナル横の広場のベンチでお休み。幸い、天気も良く気温もほど良かったため問題はなかったものの、これが雨だったり、真冬だったりしたら空港で過ごすなりして時間を潰さないとえらい目にあった事だろう。深夜便は1日を最大限に使えるのは非常なメリットではあるが、そのあたりの点で入念な計画が必要、行き当たりばったりでは多少のリスクがある、とも思い知らされたものだった。

ただ、運行時間帯、座席の快適さと機内の清潔さ、アテンダントの接客、そして自分的には日本語アナウンスがない事など、ほぼ全てにおいて自分の期待以上であった。通常だと若干安いかな、という感じなものの、頻繁に行っているセールを逃さなければ往復1万円前後で渡航が可能なため、これは使わない手はないだろう。これまでCAに4万円前後払っていたのがバカバカしく思い、もっと早く使って入れば、と思わされたものだ。ただ、そのお手軽感と羽田発という近さ、そしてしょっぱなからお金をセーブ出来た事もあり、いつものような「これから海外行くぞ!」みたいな高揚感は低かった気もなく、現地でお金を落とす気にもなれなかった。もちろん、11回目の香港、しかも直前までアメリカ、という事もあったせいも大きいのだろうけども。なので、今回は都内に出かけるような感覚に近かった。もちろん、それだけ香港が身近になった、という事は大変素晴らしい事ではあるので、メリットの方が遥かに大きいのだけれども。まあとりあえず、ひとりで海外に行ける力のある人であれば、是非香港渡航時にはHKエクスプレスのご利用を胸張っておすすめしたいと思う。