回想30・食事 in SM | ONCE IN A LIFETIME

ONCE IN A LIFETIME

フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

食事中はほとんど学校内での話題に終始し、
お互いのプライベートな経歴などは一切話さなかったと思う。

Mは医者を目指す医大生で、
人生2度目の大学生活を送っている、みたいな事は、
マッサージの日に聞いていたと思うんだけども、
何故この学校を選んだのか、どうして英語を話せるようになったのか、と言うのは聞く事はなかった。

食事を済ませた後は、
モール内を見て回る事になったんだけども、
ここでMは「一旦別れてひとりずつ回っていきません?」との提案をしてきたので、
午後2時までお互いひとりで見て回る事になってしまった。

まともに見て回るとなるとそれこそ一日がかりになるから、
人を連れて行くより一人で好き勝手見て回った方が効率が良いのは、
俺も十分同意出来るんだけども、
正直な俺の気持ちとしてはもっと二人で居たかったものだったから、
これを言われた時ははっきり言ってショックだった。

仕方ないので俺も一人で色々見て回ったんだけども、
すでにある程度店内を把握してしまった俺としては、
もう新鮮味はなく、
DVDショップでも行って時間を潰すのがせいぜいだった。

そして午後2時過ぎ、
無事にエントランス付近で合流した後は、
Mがスーパーマーケットに行きたい、と言うので一緒に付いて行った。

食事に関して言えば、
寮に居れば普通に3食出るし、
お菓子やジュース類もコンビニで十分調達出来ていたのだから、
ここに関しては完全に「付き添い」だった。

よってここでも適当に時間を潰す羽目になってしまったんだけども、
さすがに社会人経験もあるしっかり者の女性だけあって、
ひとりで何でも出来てしまうものだったから、
特に何の役にも立っていない自分に対して自己嫌悪に陥ってしまい、
次第に一緒に居る事に嫌気が差すようになってしまった。

そんな感じであまり良い思い出とはならなかったので、
それが1年前に触れていなかった一番の原因だったんだけどね、
まあその後の展開からしても、
元々Mとはあまり相性が良くなかったんだろうな、とは思う。

帰りのタクシー内で、
ようやく「何で英語話せるの?」みたいな質問もしていったんだけど、
M曰く、「研修でアメリカの大学に1ヵ月半いた」なんて話をし、
ああ、俺とは違ってホントにエリートなんだな、と実感したものだ。

で、何かもう絡むのにも嫌気が差してしまったから、
もういいや、と思ったんですけど、
ホントね、それが続けば何ともなかったんですけどね、でもなかなかそうはいかないのもまた人生ですね。