初めてフィリピン、
そして外国での朝を迎えた6月28日、
その日は朝の9時からレベルテストを行う予定となっていた。
同期、つまりバッチメイトは15人ぐらいおり、
そのうち日本人は一緒に乗ってきた友達同士の女性二人と、
おそらく定年を迎えたおじいさんがひとり、
そして自分の計4人だけ、後は全員韓国人だった。
女性二人はほとんど会話が出来ないレベル、
いわゆる日本人の平均レベルな感じで、
おじいさんはすでに他の学校に留学経験があるものの、
流暢と言う訳ではなくブロークンな英語だった。
自分は文法は適当だったけど、
日常会話でのコミュニケーションは取れていたんで、
初日から韓国人と話せたのは自分だけだったように思う。
しかし、その時点ではまだまだ緊張し、
大勢の韓国人を前にして萎縮しまくりだった。
やっぱり両国には複雑な歴史があるし、
「日本人」と言うだけで拒絶されるのではないか、
特別な目で見られるのではないか、と言う根深い先入観があった。
そんな萎縮気味の自分に気を使ってくれたか、
Rosaと言うひとりの女性が積極的に我々に話しかけてくれてきた。
前述のよう、女性二人はまともに英語も話す事も、
また理解も出来ていなかったようだから、
まともに会話出来たのは俺ぐらいだったけども、
それだけでも大分俺の緊張はほぐされていったものだ。
因みにその時点で韓国人は全員英語名を持っており、
本名なのは我々日本人だけだった。
その時点で英語名を使おう、と言うのは決めてはいたんだけども、
まだ日本人を前にしてそれを名乗る、と言うのは恥ずかしさもあったし、
またリアルネームを名乗ろうにも、
外国人には発音し辛い事この上ないものだったから、
結局まともに名乗らず終わってしまい、ちょっと恥ずかしい思いをしてしまったものだ。
ただ、自分に話しかけてくれたRosaと、
もうひとり隣にいた家族で来ていた主婦の人は、
その時点で大分流暢な感じだったから、
それだけでも韓国人らの勉強熱心さ、
いかに英語が重要視されているのか、と言うのは実感出来た。
そんな感じで、
レベルテストが始まる前から、
今でも心に残る思い出が刻まれていき、
Lotaと言うヘッドティーチャーがやってきていよいよ初のレベルテストを迎えた。
機材トラブルなどもありつつ、
何とか2時間無事に終える事が出来たものの、
レベルテストの重要性も理解していなかった事もあって、
当時も書いたように会話以外はほとんど事前に勉強していなかった。
だから結果が出てからは大分後悔してしまったんだけども、
その時点ではそんな事は露知らず、
終わった後は教室前のベンチでひとり座って待っていた。
そうしていると先ほどのおじいさんがやってきて、
かの有名なCPLISにも留学経験があり、
ここでの滞在はわずか2週間、
つまりビザが不要な旅行感覚で来た、と言う、
自身の身の上話などをオリエンまでしてくれていた。
もうその時点で、
出来るだけ日本人は避けていきたい、と思っていたから、
正直あまりありがたみなどはなかったんだけども、
さすがに話し相手が欲しかったのだろうから、
最後までちゃんと聞いてあげた。
そして11時過ぎにオリエンテーション、
普段は日本人スタッフはひとりだけなんだけども、
今回は第2校舎の方も助っ人として加わってくれていた。
ここでは主に学校内のルール、授業内容に終始し、
あまりセブ、フィリピンの文化には触れてはいなかったと思う。
そんな感じで午前中は過ぎていったんだけども、
48時間前まで普通に店で働いていて、
わずか24時間前までは日本の成田空港に居た、
そんな自分が今は遠く離れた異国の地で、
多数の韓国人に囲まれて教室にたたずんでいる、
そんな思いがテスト前、そしてオリエン中によぎっていき、
何とも不思議な感覚に陥っていたものだった。