2016年に書いたブログである“恐山でイタコの口寄せを初体験“は掲載したSNSでは6000view以上をカウントされ、これまでの私のブログでは圧倒的に読まれた回数が多い。
ほとんどの読者は外部の検索エンジンから来るのであるが、検索に引っ掛かるための本文中のキーワードという意味では、恐山関係の使用語彙などは私のブログによく登場するエロス・殺人・B級グルメ関連などに比べるとそれほど“刺激的”ではなく、別の理由がありそうと考えているうちにはっと気がついた。
それはこの日記が恐山参拝?の珍しいハウツー本になっていることである。
確かに私も恐山を訪問する前に、イタコの口寄せ(要は降霊です)を経験するのにどこでどう頼むのか、又費用はいくらくらいなのかをガイドブックなどで調べたが、あまり情報が無かったのを覚えている。
なおハウツー本というと何か低級な?本のようなイメージがあるが、考えてみれば“本”というのはそもそもの起源はハウツー本である。史上最高のベストセラーとされる聖書などの宗教書は“How to 天国へ”だし、ハウツーハッピーとか新興宗教に近いものもあるが、伝統宗教も最初はそんなもので深遠な哲学より今直ちに救われますという類ではなかったか。
その他How to 健康・戦争勝利・人格形成・政治宣伝・試験合格etc、要は昔から一般的に人が読みたいものというのは何かに上達・成功するためのハウツー本なのであり、私の本棚の1/3近くを占めている囲碁関連の本(今はもう開くこともなくなったが)も典型的なハウツー本といえる。
そのハウツー本の中でもそのものズバリのタイトルで刺激的であったのが1971年の大ベストセラー”How to Sex”(奈良林祥)であり、人間をモデルにしたカラー写真で構成されていて、子供心に強烈な印象であった。
なおこの場合のsexは自動詞として用いられており珍しい用例とはいえ文法的に間違いとはいえないが、入国申請書類などのsex欄に3/weekなどと記載するのは明らかに間違いなので念のため。またこのジョークには続きがあって、審査官「そこはMとかFとかを記載してください」、申請者「それでは私はSかな」、審査官「S・・・?」、申請者「FastでもMiddleでもなくSlowなもので」・・・
こういう勘違いはどこにでもあるもので、SとかMとかいうのは日本の日常会話でもしょっちゅう出てくるようになったが、海外ではslaveとmasterかと正反対に解釈される場合がある。誤解を受けないのはD(dominant)とs(submissive)であり、私もBDSMテイストの歴史小説を英語で執筆中なので気を付けるようにしている。
なお人間をモデルにというのは当時は画期的であり、それまでは人形を用いた謝国権の"性生活の知恵”が古典?として権威(笑)を保っていた。もっとも現在ならば球体関節人形などが流行っているのであるから、謝国権の方にエロスを感じる方が多いかもしれないが・・・
とはいえ現代においては出版業界の発展・文章術の進歩により、ハウツー本よりは一般的なフィクション・ノンフィクションの方が売り上げも大きく書店の売り場面積も広いが、これは近代以降のごく短期間の現象に過ぎない。
しかしながらネットで大量の情報が出回るようになった現在、少なくとも無料情報においてはハウツー(本・コンテンツ)の方が需要は大きいようだし、この状況は将来有料情報(これが紙の本の大半を駆逐することは将来間違いないと思うが)にも拡がっていくのではないだろうか。