どうにか、無事、走れました。膝裏の足の痛みもでずに、最後まで足がもち、ほっとした。
きょうは、最初から、「完走できるか、どうか・・・」という心配があったのだけれど、同じく練習不足で完走があやぶまれる、ラジオの仕事仲間のtoyaちゃんと、ふたりで、ゆっくり走ることにした。
笑いながら、喋りながら、走る。
実はレースで人とずっと一緒に走るのははじめての経験で、本当に不思議だけれど、彼女とは仕事も一緒によくやってるので、違和感はない。
お互い励ましながら走る作戦で、収容バスにのらないですむようにがんばろーねと誓い合う。
本当によく晴れた。晴れすぎだ・・・。でも、お天気とは裏腹、頭の中には走れない理由ばかりがかけめぐる。どんよりしている。「膝裏が痛んで、練習不足だったなぁ」とか、そんなことばかり。ぐちぐちぐちっと。
最近のレースにでるときは、ちょっと自棄で、「なるようになれ」という感じ。
でも、スターターの欽ちゃんの天真爛漫な笑顔と温かい応援に、心もほぐれる。
そして、走り出したら・・・、そんな余計なことを考えなくなっていくからありがたい。
トーヤちゃんとずっと、どうでもいいおしゃべりをする。仕事のこと、三十路をすぎたら徹夜はダメだとか、他のランナーのTシャツに書かれたメッセージにつっこみをいれたり、たらたらと喋る。
いつも皇居を走ってる時のよう。
汗がだらだらとでて、気持ちいい。ただ暑いので、全部の給水所でドリンクを補給。そして、キロ7分台だと思われるゆっくりペースで走る。
実は、時計もせずに、走り出してしまったので、タイムがよくわらかない。そんなことこれまでのレースではありえなかったことなのに、レースに対する集中力が最近欠けている。東京マラソンだって時計もってたのに、スイッチ押し忘れて、自分のタイムがわからなかったり、とにかくひどい有様だ。
でも、トーヤがいてくれたので、「もう、平塚だよ」「茅ヶ崎市になったね」など、道路標識を見ながら、お互い励ましあった。
そして、折り返しが見えた頃・・・。なんか、やっと、折り返しだ・・・とバテ気味だったところへ、女の子が白い紙に応援メッセージをもってたっているのが見えた。
その紙には、なんと・・・「STEP編集長、がんばれ」と書いてあるのだ。びっくり!!
でも、見覚えのない女性だったけど、思わず、「おおっ!」っててをふった。
すると、「編集長ですか~?」ときかれたので、うなずく。誰だったんでしょう。もしこれを呼んでいたら、名乗りでてほしいです!そして、本当にありがとう。
そんなサプライズのおかげで、少し元気を取り戻し走る。途中、エイドに立ち寄った時は、屈伸をする。お互い、口数は減ってくるものの、一緒に走り続ける。やはり練習不足でばてばてで、やめたくなるけど、トーヤちゃんもがんばってるんだからと、ムチを打つ。
20キロの表示を見た時は、ちょっとほっとする。フルならまだ半分だけど、あと、10キロ。30キロで本当によかったとかみしめる。
そして、25キロ時点でトーヤちゃんが「足のストレッチしたいので、先にいってください」といってきた。最後の5キロ、一人になった。足が悲鳴を上げている。暑さで体力も残ってない。その後は「歩きたい」欲求がやってきた。
・・と同時に、思い出した。初めてのフルマラソンのこと。去年の湘南で、わたしは初フルを体験したのだ。なんだか、あの時のことがフラッシュバックのようにおそってきた。
見覚えのある景色。1年前ダーリンがわたしに声援をおくってくれた場所だ。
今よりちゃんと練習もして、走れたけど、でも、あの時だって、大変だったはず。だけど、あの時の私は、大変なのは 当たり前とおもって、がむしゃらに前へ進むしかなかった。
初フルの時は、歩くなんて、考えもしなかった。
防風林をぬけると、海が広がる。あの日もとても天気がよかった。そして、みんなに応援されながら、感謝で心をみたして、痛みに半泣きになりながら、最後まで、体をゴールに運んだんだった。
走れ。走れ。走れ。1年前の私が命令をする。
走る場所は同じだけれど、一番違うのは、「心」かもしれない。できないかも・・・ってどこかに弱気な自分がいて、足にブレーキをかけているのだ。
走れ。走れ。走れ。初フルを走った時の苦しくて仕方なかった私が横で、伴走をはじめる。波の音と足音と泣き声のような自分の息遣いで、瞑想気分になる。
「走れるから、最後まで走れるから」と呪文のようにとなえると、足があがるようになった。
負けていたのは、足よりも、練習量よりも、心かもしれないと、はっとする。そして走ろうときめたら、体はちゃんとついてきた。体は本当に偉い。勝手に頭で思い込んで決めちゃってたんだね。まだ走ってくれるんだぁ・・・と、自分の体がいとしくなる。
だから、走る。最後のゴール前だけ坂道になっていたけれど、その坂だって足はのぼっていく。「はあはあ」という呼吸は大きすぎて、声になっている。
あと、ちょっとだから、がんばろうと思うと、足はそれについてくる。
ゴール前、わたしをよぶ声がする。走る仲間のよしさんが応援してくれている。STEPを出す前のわたしは、そんなに仲間はいなかったけど、今は、本当にいろんな人に支えられているんだなぁと思ったら、ゴールゲートをくぐってた。
そして、ゴールゲートのまん前で、STEPのカメラマンの四谷さんと話し込んでたら、ランナーズの松田さんに声をかけられる。
「今、僕、ゴールしたんですけど、今回、制限時間ぎりぎりで走るとどんな景色が見えるのか?って企画で走ってみたら、けっこう、ドキドキしちゃいました」というではないか。
えっ?と思って、ゴールのところにあった時計をみると、制限時間の4時間まで、あとちょっと。そうだ、トーヤちゃん。
トーヤちゃん、どうしたかなぁ・・・と思ってたら、ギリギリに帰ってきました。3分前にすべりこみセーフ。でも、彼女も時計してないので、そんな自覚はない。
「制限時間ギリギリラン企画なんて、わたしたちの得意分野ですから、今度仕事あったらふってください!」・・・と思わずいっちゃいました。
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それから、四谷さんと、わたしと、トーヤちゃんで、大磯プリンスにご飯を食べにいったら、ホテルで、湘南国際マラソンのステージの司会をしていた、KBS京都ラジオのパーソナリティ若林順子さん、ワカちゃんにあう。
実は、ワカちゃんとは2日前にあって、食事をしたばかり。立ち話をしていたら、今回のレース、選手として参加して、1位だった高尾 憲司 さんを紹介してくださった。名刺交換もしていただく。
こんなに遅くゴールしといて、1位の選手とお話できるなんて、すごいラッキーだ。
「もっと、ちゃんと走りなさい」という神様からのメッセージなのかもって思った。