ここ暫く、長野マラソンがわたしの心を占めていた。
長野の制限時間が5時間・・・ってことが重荷すぎるらしい。
だから、この大会のことをけろっと忘れてた。きょう、3月30日に行われた、湯河原オレンジマラソン。前日から泊まりでいくことになっていたのに、前日夕方まで原稿に追われていた私。正確には、オレンジマラソンのことを忘れていたのではなく、やること、約束が多すぎてきょうが何曜日で、自分が何をするのかが頭の中に入ってないのだ。
湯河原オレンジマラソンは、長野にむけての練習くらいのつもりでいた。
「温泉にいきたーい」っていう軽い気持ちもあった。でも申し込んで、暫くして、調べたら高低差がすごいあることがわかった。
なんと、わたしが出場する10キロの部は、160mあるという。
坂が多いといわれる、青梅だって、85.8m。わたしの初レースで坂に苦しめられた、桃源郷マラソンだって、130m。
しかも、スタートから4キロは上りっていうではないか。だから「坂がつらい」って思うより、「いい練習になる」って思うしかない。心肺機能をきたえるぞー。そんなつもりだった。
そして、スタートして、すぐ、その上りを体感することになる。参加者はおよそ3000人。これまでのレースと比べるととても少ない。しかも、3キロ、5キロの部とある。そして、3キロ、5キロはコースも厳しくないらしいんだけど、10キロは、いきなり上りから始まる。
ひたすら、上る・・・。
スタートしたばかりなのに、まるで10キロ以上走ったかのような、息遣い。
今回は、ダーリンと一緒に参加したのだけれど、いきなり分かれる。やはり男の子は心肺が強いのかもしれん。
仕方ない。ひとりで、走る
いや、一人じゃないか。いつものレースと同じく、わたしの周りにはいろんな人がいる。誰をペースメーカーにしようかと考えるか、遅すぎたり、速すぎたりして、みつからない。
喘ぎ声のような激しい息遣いのおじさんが、私を追い抜いていく。あんなに苦しそうなのに、速い。わたしも、がんばらねば・・・。でも、追いつけない。
10キロだから、オーバーペースとかいってる場合ではない。とにかく速く走らないといけないのだけれど、坂が目の前にせまってて、なかなか進めない。しかもカーブになると、右や左に大きく傾いていて、とても走りにくい。
2キロ地点で時計をみると、14分。キロ7分か・・・、かなり遅い。
心臓はバクバクと音をたて、喉がからっからになるくらい息をすったり、吐いたりしている。
でも、キロ7分でしかすすまない。
菜の花畑や、崖下の町並みを眺めながら、坂は4キロまでのはずだから、あと2キロとふるいたたせる。でも、ふるいたたせたところで、スピードをキープするのが精一杯。
ぜいはあ、ぜいはあ。
3キロ地点で、21分。きっちり、7分できざんでる。
そこで、頭の中で計算したのだけれど、この後、挽回したとして、キロ7分で3キロまで走っちゃったってことは、かなりの借金。下り坂も嫌いだから、このままいくと、1時間オーバーか?
その瞬間、やる気がなくなりそうになった・・・。練習より遅いタイムで、なんでレースにでてるんだ!?
「これも、練習、練習!坂があるから仕方ない」と、悪魔がささやくが、実は、前日、湯河原に向かう電車の中で、先日ブログにも書いた吉田誠一さん著「ヨムマラソン」を読み終えたばかり。
甘ったれた練習しかしてないで、レースでいきなり結果を残すのは無理。って書いてあったじゃないか。
ここで、ペースをあげなかったら、たとえ練習といえども、甘ったれた練習におわる。・・ってことは、長野は撃沈ですよ。それもいいか?
4キロでも、28分。きれいに、刻みすぎだろっ!(やや怒り気味)
そして、4キロ頃から下り坂がはじまったので、下りの走り方について、マラソンおたくの知識がふる回転した。「ブレーキをかけずに走れ!」というサインがでる。
「下り=足が痛い」というイメージが強く、いつも上手に走れず、下りでぬかれることが多かったわたし。上りもキライなのに、下りはさらに遅くなるってことは、去年の青梅でも体験している。
でも、10キロだから、足が痛くなるわけがない。
ブレーキをかけなで走るのがベストって本で読んだが、実際、どんなものかよくわからなかったけど、とにかく走った。
イメージとしては、「飛ぶ」かんじ。たったかたったか、もうかけっこだ!
上りにくらべて、肺はすごく楽だったので、スピードをあげて、かけおりた。
すると、ぐんぐん人を追い抜いていく。長野がどうした?足がどうした?そんなの知ったことじゃない。今、この瞬間をきちんと走れなかったら、何にもならないんじゃないか。
いけいけー。ぐんぐん、人を追い抜いていく。誰にもぬかれない。
上りでみつけた、喘ぎ声おじさんもぬいた。
あれ?下りって、こんなに面白かったっけ?わたしは、何を今まで怖がってたんだ?
いっぱい人をぬいたのに、そんな中、なかなか抜けない人を発見。すごく速い。フランクショーターのロゴがちりばめられたショッキングピンクのランスカのマダム。
その人に暫くついていくことにした。
下りなのに、息切れするくらいスピードをあげないと、ついていけない。5キロで給水しているうちに、危うく見失いそうになる。止まらないと水が飲めない自分がもどかしい。
抜いていった人たちが、わたしをどんどん追い抜いていく。
でも、「ヨムマラソン」にも書いてあった、給水で体の力はだいぶ回復すると・・・。
回復したことを信じて、さらに、スピードアップ。どんどん人を追い抜いていくと、さっきのフランクショーターランスカのマダムに追いついた。
「ヨムマラソン」の著者、吉田さんは、コバンザメ方式っていってたな。一人じゃ走れなくても、くらいついていくのなら、気持ちも楽。
そして、また、7キロすぎて、給水。どんだけ、飲んでるの?と思われるかもしれないけれど、私はすごく汗っかきで、真冬に皇居2周するんだって、「水」がないと無理な体なのです。また、ランスカマダムは遠くへ行ってしまった。。
そして、8キロ地点、スタート地点までかえってきた。
つまり、上ってきた4キロの坂を全部、下りきったことになる。
そこからは、平坦な道と、ゆるやだけどジョブのようにきく嫌な上り坂の2キロ、
1キロ街中を走り、折り返してくるコース。
折り返しの人達の中に、ダーリンを探すが、なかなか現れない。
フランクショーターのランスカのマダムは、遠い先に行ってしまった。
どっと疲労が押し寄せてくるのを、「なにさ!」とはじき返す力もないまま、足を進める。
「1時間はきらないと、やだ」と心が訴えてくる。そして、どうせ、1時間きれないなら・・・と、悪魔がささやく。悪魔の出番、多すぎ!(わたしの心は8割くらい悪魔に支配されているんじゃないだろーか)
でも、できる範囲で、ベストを出そう!と、珍しく天使が声を上げた。いや、天使じゃなかったかも、まただけど、昨日読んだ「ヨムマラソン」の著者、吉田さんの影響だ。
一応、断っていきますが、これ、先日、人に借りて、知った本。だから吉田さんは、私の知り合いではありません。そして、宣伝ではありません。なのに、吉田語録が頭の中に響き始める。「いい走りをすれば、体は記憶する」と。
がんばろう。ここで、がんばって、いい走りをして、体に記憶してもらって、長野をちゃんと完走するのだ!今、がんばれば、それは、長野に返ってくる。・・・と、何の根拠もないのに、思えてしまうのが、私のB型気質。よかった~、B型LOVE♪
そして、同じB型のダーリンとすれ違う。ハイタッチをする。
また最後の最後まで、給水でとまりながら、そこでも給水はパワーの元なんて、時間のロスもしながら、ポジティブシンキングで、気にせず、走ってったら、係りの人に、角を曲がったら、フィニッシュゲートだよ。って言われた。
「えっ?もう、ゴール?そんなら、さっき給水せねば、よかった・・・。走ろう」
ゴールゲートには、デジタル時計がついている。
56分台後半の時を刻んでいる。そういえば、4キロから、一回も時計、見てなかったけど、どうにか、1時間たたずに返ってくることができたようだ。
ゲートをくぐり、腕の時計をとめる。
ネットで、56分20秒。グロスで、57分14秒。
決して、いいタイムではなかったけど、今の私にしてはかなりがんばったと思う。上り坂でキロ7分で4キロまでいっちゃった時は、どうなるかと思ったけど、その後、激しく挽回したらしい。最後の2キロはたいして速くなかったので、下り坂が相当速かったのかな?
大嫌いだった「下り」が、大好きになったのも収穫。
また、前回の湘南で、「自分は、足ではなく、心が弱いだけで、本当は走れる!」と自覚できたこと、そして、吉田さんの本の力も大きかったようだ。(Tさん、かしてくれて、ありがとね)
久しぶりに、満足できるレースだった。今シーズンめちゃくちゃだった私にとって、この満足感は、1年以上ぶり。(初フルの湘南以来じゃない?)
あと、取材とか仕事が入ってなくて、カメラをもたず、集中して走れたのもよかった。
そう、だから写真が一枚もない。
走った後、宿に戻り、またお風呂に入って、駅前の蕎麦屋さんで、天ざる食べて、帰宅。
疲れたけれど、ここちよい。写真は、帰ってからとったこの1枚のみ。
今回の参加賞は、オレンジマラソンだけに、オレンジ2つ(イヨカン?)あとウエストポーチでした。ウエストポーチもってるけど、ドリンクが入るタイプの大きいやつは、もってなかったので、よかったかも。
Tシャツではなくて、よかった~。Tシャツだらけなんだも、うち。
実は、これが36歳のラストラン!
なので、気持ちよく走れて、本当によかった。そう、明日、誕生日なんですよね。37歳になる・・・。(さばよみたい気持ちをこらえました)
完走&誕生日のダブルでおめでとう、自分!・・・と、めでたい私でした。