怪、その六(快) | stelvio:小言の多い傍観者

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好きなことを好きなときに好きなだけって‥そりゃワガママだ。

数日後…

「あ、エアコンパネル付きました」
「取り敢えずこれで乗ってみて下さい」

(おおおお、ついに、ついにその時が…)

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土曜の午後、なんとか段取りをつけ引き取りに行くと
430が此方を向いて佇んでいた。
お店の御主人は楽しそうにそれまでの修理内容について
語ってくれた。

「これ見て下さい、ほら」

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「メーカーも番手もバラバラです。それでも片バンクずつでも
そろってたならちょっとはマシだったかも知れませんが、
全然バラバラですからねぇ」

初めて見る光景だった…。
その時私も笑って応じたが、心の奥で少し悲しかった。
今までこの430はこんな有り様で歩んできたのか?と
(可哀想なことしたな…)
ブログ上で書けない話も色々ある。
全くすべてが間違っていたわけでもない。
今はそれらを追求し反省ばかりしてても仕方ない。
これからの事を考えよう!過去は問うまい。
お店では思いの外たくさんの項目について直して頂けた。
(有難う御座いました。感謝、感謝です!)
(どこの世界でもスゴイ人はいるもんだ)

さて、偶然にも次の日はリエゾンだ。
ピアッツァでのエントリーをしてたのだがここは一発…

コースは六甲の上り下りもあるし一般道や高速も走る。
ちょうどいいテストランとなりそうだ。

〜〜(ラリー詳細については後日記載)〜〜

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…感無量だった。
旧車の世界の愉しみとは何だろう?
魅力的な過去の車を所有し走らせること…
私はときどき考えるのだが、それだけではあるまい。
同趣味の方々との出会い、触れ合い、またこのようにして
トンデモな事態に遭遇し色々な人の助けを借り、協力し
乗り越えられたときの達成感。
たとえ自分の手を汚し整備する訳ではない素人の私でも
その気持ちは全く同じである。
当然道程はときに厳しいものであったりもする。
心が折れそうになることもある。また
「実弾切れ」という
決定的な撤退を迫られることもある。
実際、深みにハマればハマるほど実生活に影響するくらい
根を下ろしている事に気づき我ながら驚く。
フリークとかジャンキーとかマニアとか
おおよそ表される表現にはネガティヴな意味を含むものだ。
しかしだからこそ、
普通では得られない感動とロマンに満ちている。
私は“それ”を求めずにはいられない。
苦労したく無いなら新車に乗ればいい。
(どこかで聞いた名文句である)
さらには、その中の人間関係で鍛えられる精神的多様性。
感謝、忍耐、寛容、理解、許し、献身、慈愛。
人間社会でも大海原でも奥深い経験をつめる舞台である
ことに変わりはないのだ。
マセラティ430、縁あって我が家に来た子だ。
それにまつわる様々な出来事が、走馬灯として駆け巡る…
そして、いま確実にひとつの山を乗り越えた気がする。
その実感がある。
新たな課題もみつかり現在進行形の道半ばではあるのだが
この道には、今や多くの支えてくれる方、助けてくれる方の
暖かい存在を感じる。
だから私はまだこの430に乗り続けようと思うのだ。

「俺達の戦いはこれからだッ!」



…クサい連載にお付き合いいただき
ありがとうございました、終わりですw

p.s.
良いご縁を下さった友の方々に
この場を借りて深く御礼申し上げます。