日本から我が街の連邦大学へ、語学留学に来ている交換留学生たちは、厳しい(?)選考を潜り抜け、1ヶ月6万円という返済義務のない給付型奨学金を受け取っているらしい。ブラジルレアルにして約2,000レアル。最低賃金が月額700レアルちょっとといわれているブラジルの地方では、青春を謳歌するに必要な娯楽も少ないから不足のない額だろう。

 

私のように、将来、日本の発展に貢献することもおそらくないであろう、海外の現地公立校に通う一中学生には夢のまた夢。地理の教師ダニーロの陰謀により、いつも、知らぬ間に勝手に決められてしまう日本紹介の草の根交流。鄙びた山間部にある寂れた小学校に赴き、オリジナルプログラムを披露しようと、国際交流基金からの助成すらびた一文としてなし。まー、勝手にやってるんだから当たり前か…。草の根と言うぐらいだから、日の目を見ないのは致し方ない。しかし、そこは懐の深いブラジルのこと、日々の努力が実り(?)、中学生ながら給付奨学金の受給決定!

 

ブラジルでは、OBMEP(Olimpíada Brasileira de Matemática das Escola Pública)という全公立学校を対象とした数学オリンピックが毎年開催されてる。6,7年生(小6,中1相当)のカテゴリー1、8,9年生(中1,中2)のカテゴリー2、そして10年生から12年生の高校生のカテゴリー3に分かれて試験は行われる。2016年度で12回を数える比較的歴史の浅い大会だが、そこは規模のブラジル。99%以上の公立学校が参加し、全受験者数は1800万人を上回るマンモス大会だ。

 

このOBMEPでのメダル受賞者が、翌年、PICプログラムという月一合同授業及び、ネット授業の受講と課題提出で、月額100レアルの奨学金が1年間支給されるのだ。円に換算すると…、そこはショボくなるので割愛。日本だと、ブラジルからのサッカー留学生や、ケニアからの駅伝留学生たちが活躍するご時世だ。おそらく、日本でちょっと気が利くレベルの子が、申し訳ないが、それほど水準の高くないブラジルに渡れば、数学留学生として大活躍…、って、逆に考えたら日本のサッカーや駅伝はそんなレベルか…。

 

秘かな草の根交流の努力が実ったというわけではないが、とりあえず、奨学金は奨学金だ。でも、せっかくの奨学金、連邦大学で行われるメダリスト合同授業の交通費(なんと2016年度から自腹に…)、ネット接続の初期費用とランニングコストを考えたら赤字じゃん…。

 

ところで、ちょっと気になる留学生の奨学金は、「日本学生支援機構奨学金」というものらしい。海外留学支援制度というのがあり、日本の在籍大学との間で実施される交換留学の指定校へ留学する場合、月額6万~10万円が支給される。期間は8日以上~12カ月以内。平成28年度の募集人数は23000名。今度、草の根交流手伝わせよっと…。

 

ついでに、応募資格が中学生以上のものも探してみると…、あった、山口育英奨学会奨学金。海外の高校留学時に受給できるものがある。日本国籍を有している者で2年以上留学する者。4月1日現在において既に留学している者、及び9月までに留学する者が対象だ。月額5万だが、んっ!要返済…。これはかなり志の高い中学生じゃないと…。

 

ほかには、「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム・高校生コース(文部科学省)」なるものがある。ネーミングのセンスはさておき、ずいぶん敷居が低そうな…。その名の通り、斬新かつ多様な活動も支援対象になるらしい。留学だけでなく、インターンシップやボランティア、フィールドワークなど、学校に行かない様々な活動もOKだ。留学内容、渡航先、期間(14日~1年間)を生徒が自由に設計できるらしいが、日本国内の学生ということで、私の場合はすで飛び出しているから、フライングにより対象外…、残念…。って、そもそも留学じゃないしね…。

 

 

国境無き数学オリンピック(団体戦のみ)の受験からかれこれ2カ月。試験機関がフランスだからといってもブラジルと大差なく、やっぱり、皆が忘れたころに結果発表。なんと、我がメルセデス学園9T3(9年3組)+α(他組の希望者数名)は、見事、銀メダル獲得\(^_^)/。そして8年生有志組はみごと入賞。

 

我が街では、国立ブラジル軍士官学校の10年生、11年生が同じく銀メダル、士官学校3年生は銅メダルだったらしい。軍関係者は、かつての軍事政権時代の名残もあってか、教育から年金に及ぶまで、一般庶民と比べると厚遇を受けているといわれている。軍の士官学校の教育レベルも必然的に高くなるわけだ。それと肩を並べるメルセデス学園も、普通の州立校でありながら、なかなかの健闘だ。

 

ブラジル軍士官学校は、高等部3学年がメダルを獲得したということもあり、なんと、22nd International Competition for Science, Mathematics, Mental Ability and Electronics、通称Quanta 2016 なるものにご招待を受けたらしい。数学や化学の国際大会だ。今年はメダルの受賞校から10校が選抜され、各校7名の選抜チームで大会に挑む。ちょっと差をつけられたが、まー、理科の実験設備さえ整っていないばかりか、給食さえままならない公立中学校が派遣されるような大会ではなさそうだ。でも、なんか羨ましいな…。

 

他にも 7th International Young Mathematicians’ Convention (IYMC 2016) に派遣される学校もメダル受賞校から選ばれている。どちらの国際大会も、例年インドを舞台にして行われる…、って、てっきりフランスだと思っていたが、インドに招待されてもな…。なんか、過酷な国際大会のイメージだけが脳裏をよぎる。お守り代わりに、抗生物質(寄生虫、細菌用の他、切り傷用もある)は必携の国だから、心身共に鍛えられる舞台で、一段と成長が促されそうな大会だ。もちろん旅費も自腹だから、公立学校の場合、派遣決定後は渡航費を稼ぐべく、募金活動は必至。これで、死者もバンバン出る猛暑の5月開催だったらシャレにならないが、大会は12月だからお腹を壊しつつも国際交流は出来そうだ。ちなみに試験は英語で行われる。国際交流は語学力よりはコミュニケーション能力だからブラジル人は問題ないだろう。

 

話はそれつつも、銀メダルという結果に満面の笑みの数学教師のフィリップ。だが、それを横目にクラスメートたちの目線はさらに先を行っていた。「サンパウロのバンデイランチスは?」

 

バンデイランチスというと、そう、泣く子も黙る(?)…、かどうかは分からないが、ボンボンの御子息が通うお坊ちゃま校として、その名を馳せている超有名私立学校らしい(㊟田舎の公立学校の生徒目線加味)。本校がサンパウロ市内の中心部にあるのはいいとして、「バンデイランチス=超一流校」の肩書が欲しい出来の悪いご子息を持つ強欲な親のために、郊外に分校も用意されているという。どこかで聞いたことがあるような話だが…、これって、実写版『暗殺教室』?マンガの無理やりな設定そのままの学校が存在するなんて…、興味津々だ。

 

フィリップが受賞校一覧に目を通すと、「バンデイランチス9年生…、金メダル…、んっ!、なんか8,9年生お利口さんミックス選抜チーム???…、のようだぞ…」一同唖然の受験形態。少数英精部隊にその他大勢のお客様というピラミッド構造の学校なの? ピラミッド底辺の情報は全くない分、様々な憶測が飛び交う。ますます、興味をそそられる設定だ。やっぱりマンガの実写版校、っていうか、ここまでくると、もはやその上を行くモデル校だ。侮れなし…。

 

 

◇メダルの授与は7月某日、リオオリンピック開催中と粋な計らいに。皆でメダルをかじって記念写真。ふんだんな資金をもとに開催された大会ではないようで、メダルも受賞校の希望買取方式。予算の乏しい公立校だが、教職員の募金により、なんとかその資金は賄われた。感謝、感謝!

 


リオ五輪も間近に迫ってきたが、一般市民のレベルでは一向に盛り上がる気配は感じられない。まー、ブラジル人気質を考慮すると、始まれば盛り上るんだろうけど…、きっと。

五輪記念コインも巷に出回っているが、地方に住む一中学生ともなると、ほぼ入手困難。でも、田舎だって小銭がチャラチャラ流通する場所にさえ行けば、1枚ぐらいは手にすることが可能なはずだ。というわけで、いつもの日曜朝市、フェイーラリヴリにGO! せっかくブラジルにいることだし、懇意にしている露店のおっちゃんやおばちゃんたちに頼んでみよう。

日曜の朝、幹線道路を通行止めにした巨大な市が立つ。一般的な生鮮食品だけでなく、度重なる取り締まりにもめげず、行くたびに無認可の蚤の市までもがどんどん規模を拡大していくフェイーラリヴリ。風呂敷を広げた上に海賊版DVDを並べる兄ちゃんたちはパトカーが近づくと、物の数秒で店じまいをして散っていき、安全を確認すると再び風呂敷を広げて商売再開する様などは一見の価値あり。警官を殺害した犯人が、犯行に使用した銃の入手経路がフェイーラだと供述したりしなければ、娯楽の少ない地方都市の日曜の午前中、なぜかここだけ、お祭り並みの人出で賑わうのだ。

まずは、フェイーラの看板娘ならぬ、今や貫禄も漂う八百屋のネギーニャおばさんにあいさつ。といっても孫もいるらしいから婆さんか…。口の悪さなら朝市きっての名物婆さんだ。ポルトガル語の上級会話をも超える有段者レベルの会話が繰り広げられる。だいたい、グレースというかわいい名前がありながら、ネギーニャと呼ばせる辺りからして曲者だ。初めはネギを売っているからぐらいに考えていたが、名前の由来が日本語であるはずがない(もちろん、カキ(柿)やポンカン、フジ(フジリンゴ)なんかは、日本語と同じだけど…)。

ブラジルでは日本語の○〇ちゃんの「ちゃん」に相当するのが語尾につける-inha(ィーニャ,男の子の場合はィーニョ-inhoになる)だ。ロナウドはロナウジーニョって具合だ。ネギーニャの場合は、Negra(ネグラ…アフリカ系の黒色人種)をかわいく呼んでいるっぽくも聞こえるが、はっきり言えば差別用語で、ニュアンス的には貧乏な黒人の意味合いが強い。だからといって、グレースおばさんなんて呼ぼうものなら、延々と教育的指導が執り行われる。こういう使い方によってはNGワードにもなりうる言葉がスマートに使えるようになると、会話も自然と弾むんだけどな…。こういうところで楽しめるようになるには、まだまだ年季が必要だ。そんな横をジュランジーニョが「俺は黒んぼは嫌いだ」と笑い飛ばしながら私にだけあいさつして小走りに通り過ぎていく。

本日の本題をも忘れそうになるが、気を取り直してオリンピック記念コインに話題を振る。ネギーニャ婆ちゃんはそんなの見たことも聞いたこともないと人を小馬鹿にするが、すぐさま無造作にコインが入れられているミカン箱サイズの小銭箱を調べてくれる。これで、見つからなかったら老眼だよとの周りの言葉に発破をかけられたのかはわからないが、やっぱり、あるところにはあるもの。一気に3種類ゲット。手持ちの普通の1レアルコインと交換してもらう。でも、ネギーニャ、茶色のスパッツは遠目から見ると裸に見えるから止めようよ。


リオ五輪記念コイン1


競泳は分かるが、後は何の競技だろう? 肉の串焼き屋台のジョナタンのところで、鶏肉の縁にベーコンを巻き付けたメダリョン(medalhão…オリンピックの便乗商品ではなく昔からの定番商品)を焼いてもらいながらいろいろと聞いてみる。陸上のコインは、多分三段跳びらしい。水泳にパラリンピックのトライアスロン。最近新しいコインが4種類増えて、全部で17種類。サッカーや五輪旗のコインはレアで高値で取引されているらしい。出回っているのは1レアルコインだけになるけど、記念貨幣は他にも5レアルと10レアルのものがでているそうだ。ふむふむ。お釣りの1枚を見てみると、ゴルフのコインと心憎いばかりの演出もついていた。その上、釣銭が足りなくなったとき、皆が両替してもらうというベッカーさんの屋台に連れて行ってくれる。

ベッカーだから、名前からするとドイツ系でパン屋かなと思いきや、一つ20キロはあろうかと思われるスイカを販売している恰幅のいいおっさんだ。味見に一切れ切ってくれるが、デカいんだけど…。頬張ってからウン百枚のコインをチェック。

リオ五輪記念コイン2


バスケットボール、ヨット、カヌーのオリンピック記念コイン発見…、というより、発掘。その他、オリンピック以外の記念コインも「ブラジル銀行40周年記念コイン」など結構あるが、こっちはいいや。

さらにあちこちで聞いて回ると、「美容院をやっているおばさんがチップを1000枚以上貯めているから今度調べてきてあげるよ」等々、話もどんどん膨らんで来週以降の楽しみも出来てしまった。

本日の収穫はさらに

リオ五輪記念コイン3


パラリンピックの陸上、レアといわれたサッカー、バレーボール、みんなはレスリングと言っているけど、どう見ても柔道の4枚を合わせて11枚。こんなにすぐ集まるんだから、やっぱり盛り上がってないようだな…。

そして、頼んでいたのも忘れて、再びフェイーラに出かけた2週間後…。

リオ五輪記念コイン5


パラリンピックの水泳とリオ五輪マスコット???

リオ五輪記念コイン4


さらに、マイナーすぎて何の競技かわからないけど…、と逆に聞かれてしまったラグビーも入手。どんなスポーツかって、私もルール良く分からないんだけど…。
 


娯楽の少ない地方都市の日曜日、市内の多くの商店が休業の中、唯一賑わっているのが市役所前の大通り。フェイーラ(許認可ありの路上マーケット)に加えて、許認可無し、不法占拠の蚤の市がこの界隈の小路に広がり、毎週数万人の人出で賑わうのだ。

一度見つけたものは即買いしないと、再び同じ店に戻るのは至難の技といわれるタイ・バンコクのウィークエンドマーケットをも、敷地面積だけなら凌ぐ、世界最大規模(ちょっと言いすぎか…)のマーケットなのだ。なんてったって、後で戻ってまた買おうと思ったら、気の遠くなるような距離を歩かなければならないくらい、エンドレスの広がりようなのだ。今まで私の目の前で、2回ほど人が倒れるのを目撃した。水分補給は当たり前だが、塩分も適度に補給しよう。

銃声が鳴り響き辺りが騒然とすることもあるから要注意。その時は幸い死傷者は出ず、犯人も逃亡。予備知識がないと銃声すら雑音との判別がつかない。まー、まだ安全ボケ中の渡伯当初だったけど、今なら分かるかな…、きっと。

もちろん、一般的なブラジル人の生活に必要と思われるものは何でもそろう品揃え。たぶん不動産以外は揃いそうだ。ホベルトおじさんは、盗まれた家のシャンデリアを根気強く探し、買い戻したらしいし(泥棒マーケットか?)、子犬が5匹生まれたというクラスメートのブルーノも、貰い手を探しにフェイーラに繰り出し、当然のごとく1匹100レアルで5匹とも完売。赤点を取ろうが、落第しようが、こういうところは、中学生といえども、したたかでたくましい。残念ながら、味噌や納豆を目にすることはないが、聞けば「何処何処の誰々が作ってるよ」ぐらいの情報は手に入る。その他、特筆すべきことでもないが、他のフェイーラでは見かけない、ちょっと如何わしそうなエリアもあったりする。いいのか、日曜の真昼間から!


フェイーラ1
◇ドイツ系移民の伝統製法を受け継ぐリンギッサ(ソーセージ)だってこのとおり。ちょっとグロいが、一味も二味も違う本物の味だ。


フェイーラ2
◇喉が乾いたらサトウキビを絞ってもらおう。


フェイーラ3
◇ツウはサトウキビを刻んでもらってかじる。若いサトウキビは成長は早いが水っぽいことが多い。虫がついていることも多いから、じっくり吟味して美味しいのを選ぼう。
 


「この世に美しくない女性はいない」 おいおい、いつから詩人になったんだ、ヒカウド?

「でも、不細工な人もやっぱりいるよ」 と、ヒカウドのポエムに食いつく、イングリッジ。

「つまり、美しくない女性は女じゃないってことだね」 カイオ、お前の言うセリフか!