ある人が。
ある日、死んでしまったとして、それでも誰かが覚えていて、さらに欲を言えば、たまに、ふとしたときに思い出してくれたり、よぎることがあったりするなら、それは生きていることにかなり近いように思う。
ある、通りを歩いていて、ふと立ち止まるのは、そういう時だったりしないだろうか。
風がざわざわと吹くときであったり、何かの花の匂いが鼻を掠めたときであったり。
そんなとき、誰からも見捨てられたように見えた人であっても、誰かの心の中で思い出されるなら、その人はちゃんといたし、いるのだ。この世界に。
そういう風に見えるからといってその人が見捨てられているなんて言ってはだめだ。
お前はどうなんだ。
お前はほんとうに生きているのか。
生きていても、誰からも思い出されないことを恐怖してしまう。ひとりでご飯を食べてるときとかにね。