先々週の金曜日のことだった

過去問演習が終わり、塾の入っているビルから
出てきたむすめの表情は冴えなかった

受験勉強を始めて、約一年と三か月
その間をふりかえっても
これまでのむすめとの関わり全てを
ふりかえっても
あんな風にこらえている顔をしたむすめを
見たのは初めてだった

駅の改札を入り、始発の発車を待つ間
むすめがぽつりぽつり言葉を発するあいだに
むすめの目からは
ぽろりぽろりと涙がこぼれた

今、調子がわるい教科について弱音のことばを
少しだけ小声でつぶやき
わたしに不満をのべるでもなく
静かに泣いていた

そばにいるだけしかできない
もうやめたくなった?など気軽に言うことは
もうできなかった
ただ隣に座って
背中に手をあてさするくらいしかできなかった

次の塾の面談で先生に相談しなきゃかなと
その夜は思っていた

帰ったその夜も少しだけ算数を解き
次の日も理科を解き、算数を解き
理科の計算問題特訓にでかけていった

結局わたしは先生に相談しなかった

次の週もまた机に向かっていった
特に何も言っていなかった
あの白く血の気をなくしたような
おさえた表情を見たのは、あの夜だけだった

時間があればひたすらに机に向かっていた
そして昨日も塾に出かけて行った

昨日は第一志望の過去問をやったという
合格最低点には少しばかり届かなかったらしい
でも、むすめは泣かなかった
むしろ意外と解きやすいと感じたのだという
先々週の金曜日よりむすめはきっと強くなったのだろう

成長していくことを目の当たりにしたできごと