ただそこにあっただけの空っぽな箱は
あなたの手で彩色(さいしき)された部分から息づき始めた
ただ視界に入っていただけの退屈な文字と数字の羅列が
あなたの入力した暗号によって意味あるものに変換されていった

空っぽでもなく退屈でもない
理解できないことは憂いるべきことではなく
その世界が「在る」のが見えたら
そのことそのものだけが喜びなのだ

black boxのすきまから薄い紙を入れておいたら
美しく印刷されたはがきが出てきていた
それはあなたの世界から届いた言葉
なにが綴られているのかわからない
なにを考えているのかわからない
よくわからないのだけれどもそのはがきは淡く輝いていた
あなたが大切にしているものについて少しだけわかった

ひとことずつ確かめながらわたしは書き連ねていく
今日東に見た星が美しかったことを
思い浮かんだあなたへのおもいを
何にも変換されることなくまっすぐに
そちらへ向かっていきますようにとただ願いながら