今日することは昨日の内に決めていた
勿論身体的な面から許されていれば の話だけれど
淡い光がカーテンの隙間から差し込んで
時計を確認すると家を出るはずにしていた時刻を指していて
寝坊してしまったという一抹の後悔を抱きながら
出掛ける準備を始めて最高気温をチェック
電車に揺られながらやさしい人たちにメールを返し
できたらにしよう と当初の予定を変更
人の多い店内で探しものを見付けて会計を済ませると
観たかった映画は始まってしまっていて
そこで初めて何も食べていないことに気が付いた
ゆっくりと でも確かな時間を過ごそうと持参した本を広げ
頁を捲る指が休まることはない
温められた甘いワインを喉に滑り込ませながら
山梨で見上げた星空や公園で見渡した桜や紅葉に思いを馳せる
巡っていたたくさんの想いを
ひとりの時間の中で消していく作業
店内ではBGMと一組のカップルの話し声と
料理を続けるスタッフがたてる泡立て器の音が響いている