また来年 | stella d'argento /silver star

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銀星は瞬き、遥か彼方をも照らす。




お迎え火を炊いた夜



私以外の家人は不在。



いつもは小さな物音にもびくつくノミの心臓な私。




でも。




夜中に  カチカチカチ   と廊下に音。




ぼんやりと何の音か考える。



この時期の1人の夜は怖いなぁ と思っていて



はた と気が付いた。






あれはあの子の足音。



あの気配はおばあちゃん。



きっとおじ様も一緒。



帰ってきたんだ と分かったら怖さなどどこへやら。






送り火の支度をして火を点けると



お迎え火の時と同じように風が吹き出して



でも。





来た時には煙がすぅっと家に入っていくのに



帰る時には身体にまとわり付いて離れない。




まるで別れを惜しむかのように。






汗だくで送り終わってシャワーを浴びると



髪から体から煙の匂いがした。





また来年、待ってるからね。