お迎え火を炊いた夜
私以外の家人は不在。
いつもは小さな物音にもびくつくノミの心臓な私。
でも。
夜中に カチカチカチ と廊下に音。
ぼんやりと何の音か考える。
この時期の1人の夜は怖いなぁ と思っていて
はた と気が付いた。
あれはあの子の足音。
あの気配はおばあちゃん。
きっとおじ様も一緒。
帰ってきたんだ と分かったら怖さなどどこへやら。
送り火の支度をして火を点けると
お迎え火の時と同じように風が吹き出して
でも。
来た時には煙がすぅっと家に入っていくのに
帰る時には身体にまとわり付いて離れない。
まるで別れを惜しむかのように。
汗だくで送り終わってシャワーを浴びると
髪から体から煙の匂いがした。
また来年、待ってるからね。