ステラ薫子です。

先日、少彦名命のお告げを受け、久しぶりに出雲のことも思い出しました。
今、出雲まで行くことは叶いませんが、私はこれまで、出雲も数多く訪れています。
中でも出雲ならではの神事といえば、何が思い浮かびますか?

 

世間では、10月のことを「神無月」といいますが、それは、この時期全国の八百万の神々が出雲の国に集まるから。
神様が留守になるので「神無月」ですが、ここ出雲は、この時期日本で唯一神様が集まっている場所。
ですから、出雲だけは、10月のことを「神在月(かみありつき)」と呼ぶのです。
そして、出雲では、神在月ならではの神事で、全国の神々を出雲にお迎えするのです!
(旧暦の10月で開催されるので、実際は11月に行われます)

 

私は今まで「神在祭(かみありさい)」、神送祭の「神等去出祭(からさでさい)」を体験してきましたが、昨年2019年に初めて、最後のひとつ「神迎祭(かみむかえさい)」に参加することが叶ったので、その時のお話をしたいと思います。


◇◆神迎祭◆◇

因幡の白兎の話に出て来る、大国主命がウサギを助けてあげようという場面の稲佐の浜、そこで神迎祭は行われました。
7時になると、稲佐の浜に大きな焚き火が焚かれます。
神職たちが、結界をはったところで、約30分間、祝詞をずっとあげ続け、『おー』という言葉で、海から渡って来る神々を迎えます。
7時ちょうどになると、周囲のあかりが全部消え、シーンとなったところに、神職の足音と祝詞の声が聞こえてきて、それ以外は波の音しか聞こえません。神様が海から上がってきて、迎えた神様を白い生地の中に入れていきます。
神職が持つ横断幕のような白い布に神様を乗せて、松明に導かれて、出雲大社まで歩いて移動します。
約30分かけて、伊耶佐の浜から出雲大社まで戻って、神楽殿で待つ千家宮司のところまで行きます。そこでまた神迎え祭の祝詞をもう一度あげ、神様たちを、出雲大社の1週間(七日間)だけ開く神さまのお宿を開いて、その中へ神様をお迎えするのが、神迎祭ということなのです。

当日は1万人以上の人が集まっていたようで、私も砂浜に行きましたが、すごい人でした。
まず目にした行列は、白い紙の神迎御幣(しんげいしへい)を頂く列だったようですが、すごい人だったため並ばずに浜辺へと向かうと、自然とついた先で頂くことが出来てしまいました。
 
そのまま先頭の方で神事を堪能しましたが、出雲大社に戻る段になると今度は、一番後ろの人が先頭になります。しかし、後ろから押されるような感覚でスイスイと前に進んだ私は、帰るときもまたいつの間にか先頭集団へ。
出雲大社につき、神楽殿には100人くらいずつ入って下さいと言われたのですが、なんと無事に中に入れたのです。800人くらいしか入れないようでしたが…。VIPのすぐ後ろに座れてしまいました。
稲佐の浜で迎えた神を、また、神楽殿でお迎えして終了ですから、そこまでが神事です。途中で帰ってはいけません。
浜でも先頭にいたはずの私が、神楽殿でもまた先頭のほうになっていた不思議。
最後にお餅を頂いて帰ります。

びっくりしたのは、神迎え祭の千家宮司の祝詞の声の素晴らしさ。
常々神田明神の清水権宮司の祝詞が素晴らしいと感動していますが、甲乙つけがたい素晴らしさでした。神がかりと言ってもいいほどです。
その声とその場の力が共鳴し、グッとうごくその感覚は、鳥肌が立つほど。

「神在祭」、神送祭の「神等去出祭」と参加してきた私は、この神迎祭で、神在月の儀式コンプリート!
最高の出雲滞在となりました。


そして翌日、あらためてじっくりと、日中に出雲大社にお参りさせて頂きました。
 
出雲大社といえばまず印象深いのが、この立派な大しめ縄。
これは結界です。
ここからは神様の国。

 

そしてここが、お迎えした神様達が1週間滞在するお宿。
 
神様のホテルですね。神迎神事で伊耶佐の浜から戻ってくると、ここが開いていて、神様を中へといざないます。

そして出雲大社の裏には、スサノオノミコトのお社、『素鵞社(そがのやしろ)』があります。
 
出雲大社の御祭神『大国主命』の祖先であり、古事記によると六代前、日本書紀によると親にあたるとされている関係で、立派な大社の裏でひそかに、しかし大きな力で子供を、子孫を護っているようですね。
このお社の存在を知って私は、須佐神社に行きたいとずっと思っていて、このとき時間を取って出雲大社近くの気になる神社を巡ってきたので、そのお話はまた後日。
色々な伝説の割に、素朴な佇まいの素鵞社(そがのやしろ)。御霊のある須佐神社もまた、似たような佇まいだったことがとても印象的でした。
今回の出雲参りで念願叶い、最高の旅となりました。


◇◆神在月の珍事◆◇

そして思い出したのが、今から10年ほど前、出雲大社の神在祭に参加した時のこと。
ここには、八百万の神々が全て集まるということで、色々な神様が集まるため、神事が始まる前に、天候が荒れるということをよく聞いていました。
前日からホテルに泊まって、朝起きるとなんと、雪が降っていました。10月のことです。
歩いて行くうちに、ひょうに変わり、傘を急いで買ったものの、強風が吹き傘はおちょこになり、
そして、太陽が急に出て晴れたと思ったら、また大雨。
いくつもの天候を、神在祭の場所につく前に味わい、私は行くまでの間になんと傘を三本ダメにしました。

元々よく天候が変わるといわれていますが、なぜだかわかりますか??

それは…
八百万の神々がいらっしゃるから!
中には嵐の神もいれば雨の神も風の神も。

しかし、話には聞いていたものの、あのすさまじさは、今でも忘れられません。
皆様も、神在月に出雲を訪れるときは、ぜひともお気を付けください!