こんにちは。ステラです。



今から、もう十数年前の事になりますが

私がタロットのルーツを求めて

フランスに行った時のお話をしたいと思います。



私はタロット占いを通して



クライアントの運命を

正確に透視する事が出来たり、



クライアントすら気づかなかった

隠された問題点を見つけたり



クライアントやその周囲の人々の

心の奥底の機微までをも



鮮明に映し出したりする現場を

数え切れない程目撃してきました。



そんな体験を重ねる度に、

私はますますタロットの持つ神秘性に魅せられ



この不思議なカードは

何故これほどの占断力を持っているのか?



そして、いつ、誰によって作られたのか?

そのルーツを知りたいという思いに駆られたのです。



タロットのルーツを探求する為には

その生まれ故郷とされる南フランス、



特にマルセイユを訪れたい、

実際にその地の空気を肌で感じたい、

と思うようになりました。



タロットカードとして

流通しているカードの元祖は、

「マルセイユ・タロット」



私はその当時

アレイスター・クロウリー
という

魔術師の製作した「トートのタロット」を実占に用いていましたが



しかし、この「トートのタロット」もまた、

「マルセイユ・タロット」をベースとしてデザインされたものでした。



そんなあるときの事です。



現在のイシス学院の院長であられる

哲学博士の大沼忠弘先生から、



「マルセイユを中心に、

タロットに縁のある土地を探訪する旅に出掛けませんか」

というお誘いを受け



私は即答で「行きます!」と答えました。



大沼先生はずっと古くから

ギリシャ哲学をご専門に研究されていて、



そこから新プラトン主義、グノーシス、カバラ……と、

西洋神秘思想の裏の裏まで蘊奥を究められ、

権威ある百科辞典の執筆までなさっているという、



日本に於ける隠秘哲学研究家の第一人者。



タロットのルーツを探る旅のパートナーとして、

これほど頼もしい方は考えられません。



それともう一人、マルセイユで私たちを迎えてくださる、

フィリップ・カモワンさん。



大沼先生、フィリップ・カモワンさんと

           ↓




彼はもう何百年も昔から、

このマルセイユ・タロットを作り続けてきた家系の末裔で



古代から連綿と続く本物のマルセイユ・タロットの秘法を、

一子相伝で受け継いできた方。



おそらく、世界で最もタロットを

知り尽くしている方と言えるでしょう。



彼の家を訪れると




そこには先祖代々伝わるタロットの版木や、

古いタロットの実物など、









他では決して目にすることのできない珍しいものが

大切に保管されていました。



マルセイユに到着して

記念すべき最初のランチは、

海辺のカジュアルなレストランでの地中海料理。



出てきた料理の味は絶品だったのですが



いつ出来上がるのかな?



当時、お腹がペコペコだった私にとっては



料理が出来上がるまでの待ち時間が

とっても長く感じられたのを覚えています。



さて、

腹ごしらえを済ませた私達一行が

最初に向った先は



マルセイユの旧港南岸にあるサン・ヴィクトール教会。




タロットのもとになる教えをこの地にもたらしたのは、

この教会と深い縁のある人々との事。




  地下納骨堂の入口にある聖水盤。

          ↓




この教会の一番古い部分は地下墳墓で、



霊感の強い私は、そこへ入った瞬間、

ド~ンと重たい空気を感じてしまいました。



そうなるともうダメで、

カモワンさんの説明を最後まで聞くことができず、

一人で先に外へ出てしまいました。



この日は天気が悪く、この教会に入る前は

どんよりと曇っていたのですが、



出てきてみると、空はカラリと晴れ、

マルセイユの港が一望できました。



その日の夜の食事は、

カモワンさんが予約してくださった、

海辺の素敵なレストラン。




海に沈む夕日を眺めながら、

おいしい魚介料理をいただきました。



ーーーーーカタリ派と呼ばれる人々ーーーー



カタリ派は一般には

キリスト教の「異端」と言われています。



昔は北イタリアから南フランス、

そして、ピレネーを越えてスペインまで

この「異端」のキリスト教が栄えていました。



実はこのカタリ派の人達が

タロットととても深いつながりを持っていると

言われています。

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その翌日

カタリ派にゆかりのある場所求めて

最初にやってきたのが、ミネルヴです。




絵に描かれたように美しい場所!




中世の城塞都市がそのまま残っていて、

昔々の時代にワープしてしまったように感じました。



とても質素で

それでいて隅々まで神経が行き届き

気品のあるたたずまい。



私は一目見て

気に入ってしまいました。



また、そこで売っていたワインのおいしいこと!



なんでも、おじいさんが、

裏畑で取れたブドウをそのままワインにしているのだとか。



とてもキュートで初々しい味わいでした。



それから私たちは、

モワサック修道院、トゥールーズ大聖堂等

カタリ派の足跡を辿りました。



  モワサック修道院

       ↓






そこで驚いたのが、

タロット図像というものが、



実にさまざまな教会建築、彫刻、

絵画などに見られるイメージを引用しているということ!





















これはいったい、どういうことなのでしょうか。



詳しいお話しをすると長くなってしまいますが

昔のヨーロッパの建築家、彫刻家、画家などは、

「ギルド」と呼ばれる同業者組合と、

厳しい徒弟制度の中で仕事をしていました。



当然、その技術やデザインに込められた象徴などは、

ギルドの仲間以外には漏らしてはならない

絶対の秘密だったのです。



そんなわけで、

ギルドは単なる同業者の寄り合いというものではなく、

むしろ秘密結社のようなものになっていたのです。



秘密結社と言えば「フリーメーソン」が有名ですが、



その「フリーメーソン」も、

元来は石工(メーソン)たちのギルドから発達したそうです。



また、彼らの間には、エジプトのピラミッドや、

イスラエルのソロモン神殿を築いた古代の叡智が、

密かに伝承されていた、とも言われています。



昔のマルセイユ・タロットは全て木版画であったことを考えると、

タロットと教会建築に見られる図像イメージが共通しているのは、

当然と言えるでしょう。





トゥールーズ大聖堂の入口の

地面に描かれていたカタリ派の十字架

         ↓






トゥールーズ大聖堂の壁画

「運命の輪」をはじめ、タロット的図像が多く見られます。

           ↓




カタリ派と言えばここを外すわけにはいかない、

という大沼先生のご提案で、

私たちはモンセギュール城を見に行くことになりました。








ここはカタリ派の人たちが最後まで立て籠もって抵抗を続け、

最後には500人の人々が皆殺しにされてしまったという、

峻険な山上の要塞。





お城までの道のりは

上に行くほど道が狭くなるので、とても大変でしたが



何とか頂上の城まで辿り着くことができました。



山上はとても狭くって

少しでも足を踏み外すと



たちまち崖下に落ちてしまいそうな

切り立った崖です。



そこで私は、カタリ派の人たちが、

こんなところに籠もって



戦ってまでも守りぬこうとした、

尊い教えがあったのだと、深い感慨に打たれました。




その場所からは

とても悲しげなエネルギーが感じられて



私にはカタリ派の人達が口伝として伝えてきた

その尊い教えのメッセージを、

カードという形で残してくれたのだ、という気がしたのです。



タロットカードを手にして以来

私は私なりにずっとこのカードの謎を研究してきましたが、



それがこの山を登ったときに

初めて体得できたような気がしました。



多くの人々の思い、

そして高い次元の意識からのメッセージが

タロットカードには込められているのです。



下山の途中、カタリ派の石碑の前で、






大沼先生が神道の祝詞をあげ、

参加者全員で供養をしました。



すると、そこにいた魂たちがとても鎮まって、

喜んでくれているような感じがして



私は、タロットカードを取り扱っている

私達にとって、とても大きな意味のある

まさに今回の旅のメインイベントだなと思いました。



今回の旅で明らかになったこと、

それは、タロットの持つ神秘の、

ほんの氷山の一角に過ぎないでしょう。



しかし、その背景にあった人々の思い、

境遇の一端に触れたことで、



私はまた一歩、確実にタロットの世界に

踏み込むことができたのだと思います。