パンダ 黄色い電車の南武線


「長い座席は7人掛け、短い座席は3人掛け…」

南武線…立川行きの電車で、アナウンスが流れる。


車内は満員。

帰りを急ぐ、サラリーマンや学生、学習塾の帰りの子供。

いつもの風景・いつも似たような車内。


しかし、とある座席にだけ…奇跡が起きていた。

私は、起きた奇跡を伝えねばらない。


長い座席に座る…8人の人々。

あれ?

多少、苦しそうだが特に問題はない状態。

よく観察すると、左端にいる女性がかなり細身。

それ以外でも、全体的に細身が揃っている。

なるほど。

やせている人々が集まれば「8人座れる」そう思った。


しかし…


「次は武蔵小杉~武蔵小杉…」

このアナウンスで事件が起きた。


端に座る女性が、次の駅で降りるため立ち上がった。


( 現在、7人掛けの席に7人⇒正しい )


その空いた席に、一人の中年サラリーマンが座るがため、腰を降ろした。

"席が空いたのだから座れる!"

この常識が仇となる。

席の人数なんて、数えて座る人はいない。

常識だけが体を動かす。

腰の辺りで、座れない事に気が付き、お尻が宙に浮き止る。

隣の人は、「はぁ?」って感じで横にずれる。

さらに横も・・・横も…横も。

みんなの協力で、ほんの少々腰が下がる。


( 現在、7人掛けの席に7.3人⇒不正解 )


サラリーマンは、恥ずかしいのか、強引に腰を振る。

「んん・・・・ぅぅうううう」

隣の人も

「んんん…」

隣の人も

「んんんんん」


( 現在、7人掛けの席に7.5人⇒かなり不正解 )


電車が発進。

せっかく空いた少ない隙間が、なくなる…。


「あっ!あぃたたたたたた」

サラリーマンが声を出した。

車内の視線が、サラリーマンに集中。


彼は…浮いている。

確実に…浮いている。

なのに、苦しそう。


周りは、サラリーマンが強引に座り込んでいると見受ける。


…結局、サラリーマンの横の人が立つ。

みんな、サラリーマンが悪いように見る。


違うんだ。

僕は気が付いている。

それを伝えておかねば。