素人短編小説 飛行慣熟訓練 -5ページ目

素人短編小説 飛行慣熟訓練

元運航従事者の素人小説です。
飛行機に興味のある方は是非優しい目で読んでやってください。
なお、文中に出てくる団体、個人名はフィクションです。
また、小説自体も、事実を基にしたフィクションです。

5分前お願いします」整備さんに、矢野君から無線が入った。整備さんがコックピットに、「5分前です」と伝えると、PM(Pilot Monitoring:無線等を担当するパイロット)の井上さんが、管制にエンジンスタート5分前を伝える。

既に、ドアーはクローズされている。私達の立場から言えば空港側の仕事は終わったのだ。この後どれだけ遅れようが全て乗員側の責任となる。

お客様にとっては、どうでも良い話ではあるが。

 

すぐに。エンジンスタートの許可とフライトプランの承認が出て、予定通りフライトプランは承認された。

プッシュバックの許可も出たので、いよいよブロックアウトだ。

ご存知のように、この時刻が、時刻表の出発時刻だ。

実際は、私達が、システムに入力した時刻がスマホ等に表示される時刻になる。

 

プッシュバック中にエンジンはスタートしている。プッシュバックが終わり、パーキングブレーキをONにする。

アフタースタートチェックリストだ。

『パックス-ON、アイソレーションバルブ-AUTOAPU-OFF、オートブレーキ-RTO、リコール-CHK』素早くチェックが終わる。

全てノーマルなので、タグ車の切り離しをリクエストし、整備さんとのインターフォンの切り離しも行う。

この間を利用して、メモを走らせる。

 

Capがパワーを入れると、機はゆっくりと動き出す。左の窓から、整備士やグランドハンドリング、見送りのお客さんが手を振っているのが見えるので、手を振り返す。

この

この頃から、私の頭の中は離陸に切り替わる。

『フラップ5』、『フラップ5Capがオーダーし、Copが応える。

機が安定した所で、フライトコントロールチェックだ。

Capが計器を見ながら、操縦桿を押し引き、左右に一杯に切り、正常に作動しているか確認する。

『タクシー&テイクオフチェック』を終え、RWY25に近づくと、管制から、『Jet Japan 252 Wind 270 at 7 RWY25 Cleared for Takeoff』と離陸許可が下りた。

Copは、客席に向け、4chimes と言って、4度チャイムを鳴らす。

いよいよ離陸だ。

この瞬間が、大の苦手だという話も良く聞くが、私は、コックピットでの、この緊張感がたまらなく好きだ。

 

滑走路に正対してCapがパワーを入れる。両方のエンジンが揃ったところで、『スタビライズ!』とコールした後、私も一緒に『宜しくお願いします!』と言って、クルーとしての一体感を作り出す。

Capが、TO/GAボタンを押すと、急激にエンジン音が高まり、加速して行く。

80!』『チェック!   V1!』『ローテーション!』『V2!  『ポジティブ!』『ギアアップ!』『ギアアップ!』、この間約30秒、最も緊張する瞬間だ。

この30秒間に、約250km/hまで加速するのだから当然か。

ボーイング機の場合、暫くはこのまま、フォローFDで上昇して行く。