【今回の記事】
《恐ろしい…親の「よかれと思って」が少年犯罪につながる理由【犯罪心理学者が解説】》

【記事の概要】

「ああしなさい」「これをしてはダメ」といった、社会性を身につけさせるために親が言った言葉の数々が子どもをがんじがらめにし、非行へ向かわせていることがあります。「よかれと思って」、非行少年の保護者から何度聞いたかわかりません。

 子育てを放棄しているわけでもない、虐待をしているわけでもない、自分なりに一生懸命やってきた。子どものためを思って、よかれと思っていろいろな言葉をかけてきた。そう思っている親も多いのです。(犯罪心理学者の出口保行氏)


【感想】

「自分なりに一生懸命やってきた。子どものためを思って、よかれと思っていろいろな言葉をかけてきた」

このことを聞いて「自分はそうではない」という親御さんはいらっしゃるでしょうか?逆に、ほとんどの方がそう思われるのではないでしょうか。なぜなら、子供に助言や注意をすると言うのはれっきとした親の仕事だからです。しかしいつの間にか口を出し過ぎ、過干渉や過保護になっていて、子供の主体性を奪っていたと言うのです。

 さて、そうならないためには、助言や注意つまり“指導”はどんな場面で行い、どんな場面では控えなければならないのかを知る必要があります。そんな時に必要になるのが、子供を“指導”する父性と子供を“受容”する母性とを使い分ける際の目安となる、下記の「子育ての全体像」「子育て三場面表」です。(何れも拙ブログ記事「まとめプレゼンテーション」シリーズより)



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 まず、基本的に子供のする事に口を挟まず見守っていなければならない場面は「活動場面」です(上図「子育ての全体像」の①)。
 それは具体的にどんな生活場面かと言うと、私の中では、
・子供が遊びや趣味等に熱中して取り組んでいる場面
・既に一人で活動できる課題(身支度、手伝い等)に取り組んでいる場面
自分でできるようになろうと努力している場面です(上図「子育て三場面表」の「活動場面」の「具体的な生活場面」)。
 私は、この場面では父性の働きとしての「見守り4支援」によって子供の様子を見守ることを基本にしています(ただし、子供からSOSを求めてきた時には“指導”を行うことにしています)。なお、この「見守り4支援」の詳細については、下記記事の2枚目のスライドをご参照ください。


 因みに、初めから子供に“指導”することを前提にしているケースは、「不安場合」の中でも“問題が深刻ではない”場合(約束の時間を過ぎてもテレビを見ている、「イヤイヤ」をする、スーパー等で駄々をこねる等)です。(上図「子育ての全体像」の②ーA)

 ただしその場合でも、いきなり“指導”するよりは、始めに子供の気持ちに“受容”(母性)する(例〜いつまでもテレビを見ている子供に対して「面白そうな番組ね」等と言葉をかける)方が、子供はその後の“指導”(父性)の言葉(「でも、もう時間だからそろそろ消そうね」等)を受け入れやすくなります。その指導例については下記記事の2枚目のスライドをご参照ください。

 仮に、忙しくて“受容”する余裕がない場合でも、普段から「安心7支援」を意識していれば、“微笑みながら指導する”という母性と父性の同時使用でも十分対応可能です。


   また、同じ「不安場面」の中でも“問題が深刻な場合”(登園渋りがある、同じ問題行動が繰り返される等)には、母性によって“受容”した後は、父性の“指導”は行わず自力回復力を待ちます(上図「子育ての全体像」の②ーB)。深刻な問題を抱えた子供に“指導”も加えると、子供に大きなダメージを与え、問題は更に深刻になるでしょう。指導例については、下記記事の3枚目のスライドをご参照ください。


 一方、リビングルームでくつろぐような「日常場面」では「安心7支援」を継続して施し“安心貯金”を行います(同図の③)。これは交流分析学で言うところの「ストロークバンク」に当たります。この「安心7支援」については下記記事の3枚目のスライドを、その中でも特にお勧めの2つの支援については同記事4枚目のスライドをそれぞれご参照ください。


 この支援が不足すると、親が気づかない間に子供の心が栄養不足となり、ある日突然、原因不明の精神的な問題症状(不登校や最悪の場合自殺に至る可能性も含)を発症する可能性もあることが、ある調査結果から示唆されています。詳しくは下記記事の3枚目のスライドをご参照ください。



 世の中には、「褒める子育て」という名の“叱らない子育て”や、「見守る子育て」という名の“見守り過ぎて何も指導しない子育て”等、母性か父性のどちらかに偏る子育ても見受けられます。

 今回の記事の件に限らず、生活場面に応じて、母性と父性を適切に使い分けることが大切です。