さて今回取り上げる子供達と暮らしていると、こんな場面に遭遇することがあります。例えば問題を抱えた子供が「えー!プールできなくなったの?!昨日はそんなこと言ってなかったよ!」と大騒ぎした時に教師は思わず「仕方ないでしょ!算数が遅れてるんだから。そんなことで泣かないの! 」等と言ってしまいがちです。私も以前はそうでした。
しかしそれではこの子供の症状は改善するどころか一層深刻なものになってしまいます。では一体どう対応するのが良いのでしょうか?
同様に、子供が「俺、今日は給食一人で食べる」と言った時に教師は思わず「どうしてそんなわがままを言うの?!早く自分の班のところに戻りなさい!」等と言ってしまいがち。しかしやはりそれでは問題は一層深刻なものになってしまいます。どう対応するのが良いのでしょうか?
「お前、今俺を叩いただろ」と友達に言った時には思わず「○○君は『ちょっと手が触っただけ』と言ってるでしょ!あなたはオーバーです!」等と言ってしまいがち。しかしそれもやはり上手くいきません。
「あいつの顔、馬に似てる!」と言った時には思わず「どうしてそんな失礼な事を言うの?!○○君に謝りなさい!」と言ってしまいがち。やはり上手くいきません。
さて、これまで挙げたような場面の際には、この子がどうしても出来ないこと、いわゆる困難特性は何か、つまり「この子はなぜこんなことを言ってしまうのか(してしまうのか)」ということを知ることができて初めてその子に相応しい支援を考えることができます。
しかしこの岩手県では昨年に「あなたは特別支援学級に行きなさい」等と高圧的な指導をしたり、「注意しても思い通りにならないから」という理由から不適切な指導をしたりした教師の事例が報道されました。私は特に「注意しても思い通りにならないから」という発言に注目しています。つまりこの教師達は全ての子供に対して不適切な指導をしているわけではなく、教師の指導が通りにくい俗に「困った子」と言われる子供達、つまり正にここで取り上げている「周囲から受け入れられにくい子供達」に手を焼いていて、ちょうどここで紹介したスライドの左側のような指導が行われた末に不適切な指導に走ってしまったのではなかったかと考えています。直接その指導現場を見ているわけではないにも関わらずそう思えるのは、私の経験上でも、やはりそういう子供達に対して不適切な発言をする教師を何人も間近で見てきたからです。
そこで次のスライドから子供達がどんな障害特性を持っているのかについてお話しします。
(上記各スライドの右箱枠「?」の適切な指導の仕方については後で紹介します。)